24 竹林ダンジョン①
今回のメンバー……。
メインメンバー:ステラ レッド ブルー グリーン ブラック ピンク
控え :なし
「控えがいないんだが。パーティーは四人編成じゃなかったのかよ」
「情報が少ないんです。ダンジョンはともかく、ミリアさんの能力は未知数。対策法も不明なので、必要なメンバーも分からない。というわけで、今回は六人です」
「へえ。その魔物カッテ……」
「魔物活性化体質です」
「ああ、それだ。その魔物ナンタラっていうのは、そんなヤベーものなのか」
レッドはわくわくしている。とても楽しそうだ。
私は、はあっと大きなため息を吐いた。
「レッドはいいよね。考えないから」
「なんだ? ケンカ売ってんのか?」
「これに失敗したら、ギルドをクビになるかもしれないんだよ。明日からホームレス生活。もうイヤ。消えてなくなりたい」
「……おい」
「大げさに言ってるだけですよ。どうとでもなりますから」
さて、すっごく今更だが、この町について説明しておこう。
この町の名は、『アルムス』。
王都。港湾都市。二つの都市のだいたい中間に位置しており、交易が盛んな町である。
あと、周りには洞窟や森と言ったクセのないダンジョンが多い。
そのため、新米冒険者たちの拠点として使われることがよくある。
で、町の構造についてだが。
アルムスには、東西南北に四つの出口あり、それぞれには門がある。
門には衛兵が立っている。
当然だが、町の外にはモンスターもいるので、入ってこないように見張っているわけだ。
そして、物見やぐらがあり、外の監視をしている。
これらは交代制で、見張りは24時間おこなわれている。
要するに、何が言いたいかというと……。
ミリアは町の中にいるのか。それとも、外に出たのか。
もしも外出したなら、東西南北のどの方角から、外に出たのか。
この二つは衛兵に聞けば、すぐに分かるのだ。
「みんな。どうだった?」
「当たりでした」
「……ん……ん……」
「違ったぜ」
「はずれー」
ミリアは東から外に出たようだ。
次は地図。
冒険者は地図を重要視しているので、ダンジョンに行く場合は基本的に持っていく。
ダンジョンは地形が変動するので、地図は更新される。
ミリアはきっと最新の地図を買おうとするはずだ。
というわけで、地図屋に行く。
町の中央あたりに座り込む露天商。
いつも、彼が冒険者に地図を売っている。
「らっしゃい」
「女の子が一人で地図を買いにきませんでしたか? 私より、頭一つ分ぐらい小さい子なんですが」
「来たよ」
「どの地図を買って行きましたか?」
『女の子が一人』というのは、店員の記憶にも残りやすかったのだろう。
すぐに教えてもらえた。
聞いたところ、地図は三枚。
方角はバラバラだが、彼女が出て行ったのは東側。
東側にあるダンジョンは……。
「これだああっ!」
竹林!
竹ばっかり生えてるダンジョンだ。
「……竹林ですか」
「竹の化け物か? 楽しみだぜ!」
では、準備を整えて出発。
☆
「うぅ……。葉がチクチクして痛い……」
笹の葉は鋭いからね。
特にピンクの踊り子の衣装は、肌の露出が多いので、切り傷ができやすい。
「ああ、ピンクの柔肌が! 笹の葉さんの餌食に!」
これは、大惨事。
あんまり血だらけだと、ピンクじゃなくてレッドになっちゃう。
「……ん……」
そこで、ブラックがすかさず薬を取り出した。
ポーション(傷薬)。
消毒処理がされていて、肌に塗りこんで使用するタイプ。
「準備いいねブラック」
「……ん……」
でも、ヒールでいいんじゃないだろうか。
魔法を使えば、一発だよ?
「……ん……ん……」
「へえ。うっすら傷が残っちゃうの? 知らなかったよ」
魔法ばかりに頼るのもよくないな。
ポーションは値段も手ごろだし、たまにはアイテムを使うってのもいい。
そんなわけで、ピンクの肌にぬりぬり。
これでよっし。
他の人はどうかな。
この中ではレッドがけっこう薄着だ。
スピードが落ちるし、動きにくいから。
そう言って、彼女は布よりも重い防具を付けたがらないのだ。
「レッド。傷ができてるよ。貸してみて」
「ああ? ツバつけとけば、治んだろ」
「また、ベタなセリフを。いいから、貸して」
そう言って、彼女の腕をぬりぬり。
「……ん……くぅ」
「ごめん。しみた? 痛かったよね」
「こんなの痛くねーよ!」
「でも、涙目だよ?」
「少し油断しただけだ!」
私たちは竹やぶをかきわけながら、ダンジョンを前に進んでいる。
地図を確認するが、トラップなどはなく、迷いそうな分かれ道もない。
「いなーい」
「ありがと、グリーン」
彼女の感知能力は優れているが、それでも見つけられないようだ。
前のグールのように、変わった動きをするモンスターも見当たらないし。
せめて、目印になるようなものでもあればいいんだけど。
「ピンク。心当たりはない? あの子と訓練中に変わったこと言ってたり」
「うーん。心当たりか……」
その場でグルグルと回って逡巡している。
「わーい。竹だー」
「ちょっとダメだよ。今はピンクが考えてるんだから」
「……竹? そうだ、竹だよ」
何か思い出したのか。
ピンクは興奮するように言った。
「あのね。ミリアちゃん、私にタケノコ料理をごちそうしてくれるって言ってたの」
「タケノコって、竹の下に生えてくるあのタケノコのこと?」
「うん。おいしいから、私に食べて欲しいって言ってた」
たしかに、今回の話と関係ありそうだな。
自分の力でタケノコを取って、ピンクに褒めてもらいたかったと。
「それなら、彼女の居場所は絞れそうですね」
つまり、タケノコが収穫しやすいエリアということか。
グリーンに聞いてみよう。
彼女は昆虫採集が上手かったので、タケノコにも詳しいかも。
地図を見せてみる。
「どこか教えて」
「うんとね……ここー!」
ビシッと指し示した。
まったく、迷いがない。というか、適当に選んでないか?
「その根拠は?」
「なんとなくー」
「……言うと思ったよ」
とにかく、行ってみよう。




