15 パーティー強化
「じゃじゃじゃじゃーん。見てみて」
前回、私たち『エレメンタルクラウン』は無事に試験を突破することができた。
そして、今回、ついに手に入れたのだ。
「冒険者ライセンス~」
ギルドで発行される冒険者の許可証。
つまり、私たちのパーティー『エレメンタルクラウン』が冒険者として公に認められたということだ。
「しかも、なんとゴールド仕様。黄金色に輝くカードなのだ~。かっこいいね!」
「ただの紙切れだろ。大げさな奴だな」
「金ピカフラッッシュ!」
「ぐぉっ。まぶしい 何すんだよ」
「悪口を言ったから、罰が下ったのだ!」
グリーンが興奮した様子でやってきた。
「わたしもー! わたしもそれやるー!」
「いいよ。そこに立って」
グリーンにライセンスを手渡して、標的のレッドを確認。
「金ピカフラッッシュー!」
「ぐおっ。なんで、あたしばっかり」
「すっごーい。たのしー」
こんな遊びだけではなく、冒険者ライセンスにもきちんとした使い道があるのだ。
入れないダンジョンに入れるようになったり、他では聞けないような話が聞けるようになったり。
そういった特典のようなものが付いてくるのだ。
そして、ゴールデン! 黄金色!
この派手なかっこよさが、冒険者たちの心を掴んで離さない。
「ステラさん。楽しんでるところ悪いですが、ミーティングやりませんか」
「あっ、ごめん。それじゃあ、始めるね」
今日のミーティングの主題は、パーティーの強化。
これから、私たちは凶暴な敵ともどんどん戦っていかなければいけない。
戦略や戦術も役には立つが、それにも限界がある。
特訓などをして、実力の底上げをしていかないと。
「資金でしょうね。資金が潤沢にあれば、それだけ多くの選択肢が生まれます。パーティーを強化するうえで欠かせないものでしょう」
なるほど。お金か。やっぱり、お金は大事だよね。
「でも、なんかブルーの意見って普通すぎるんだよね。つまんない。もっと、面白いやつないの? お腹をかかえて笑えるような奴がいいな」
「……そんな意見ありませんよ」
他にはないだろうか。笑えなくてもいいので。
「はいはーい!」
「おっ、グリーン。何か思いついたの?」
「合体技ー。デルタアタックー!」
……合体技……だと!?
その発想はなかった。たしかに、それは面白い。
ソロではなく、パーティーを組んでることの意味も出てくる。
数が多いことの優位を活かすことができるはずだ。
「六人の心が一つになったとき、初めて使うことができる究極の必殺技『ファイナルエレメンタルバースト』。いいよ。すごく良い。冒険的にも盛り上がるよ」
やりたい。超やりたい。
それで敵を倒すことができたら、すっごく楽しそうだ。
「待ってよ、ステラちゃん。その合体技ってどうやるの?」
「どうやるのって……」
ああ、そうか。
スキルや魔法は、すでにあるものを使っている。
でも、合体技はない。今まで使ってる人を見たことがないから。
もし、やるなら、自分たちで一から考えないといけない。
「ですが、前例はあるかもしれません。過去の資料でも調べて、探しておくことにします」
「お願い」
「えー。合体技できないのー」
「ごめん。今はまだ無理なの」
でも、私個人としては、その発想は大好き。
いつかはやってみたいな。
「他にはないかな? どんな意見でもいいよ」
すると、レッドが手を上げた。
そういえば、さっきから黙ってたな。何か考えてたんだろうか。
「レッド。私たちパーティーを強化する方法を見つけたの?」
レッドがムスッと不機嫌な顔をしている。
あれ? 怒ってる?
「剣が欲しい」
「剣?」
「ブラックから聞いたぞ。高価なアクセサリーを貰ったって」
「うん。私があげた。欲しがってたから」
「それズルいだろ? あたしにも強い剣をくれよ。バリバリ活躍するからさ」
もっともな意見だ。こういう場ではっきり言うところも、いかにもレッドらしい。
剣か。つまり、強い武器が欲しいと。
「良い機会なので、全員の装備を新調したらいいんじゃないでしょうか? 装備を強化すれば、パーティーも強くなれるかと」
それで、みんながやる気になってくれれば、パーティー全体の士気も上がる。
いいかもしれない。
「ようし。分かった。次にやることは、強い装備を手に入れることだ!」
☆
日が暮れて、夕方になった。
私はみんなと別れて、町にある酒場まで足を運んだ。
「おっ、いたいた」
酒場で食事をしている男。
地図作成士のおじさんだ。前に仕事を受けて、ダンジョンの地図を作成したことがある。
「……ん? おまえは」
「お久しぶりです。というほど、日が経ってませんけど」
「なんの用だ。地図を描いてくれる気になったのか?」
「はい」
「ほう。やってくれるのか」
「私に釣り合った仕事、用意してくれるんですよね?」
「ああ。探してあるぜ。やってもらえるなら助かる」
作成士はこちらに体を向けると、私を見て笑った。
「だが、今日の用事はそれじゃないよな」
「はい。実は……」
私はこのおじさんに装備についての話に来たのだ。
地図作成士は冒険者ギルドとは違って、個人での事業者。
ギルドでは手に入らない情報を持っていることも多い。
「そうか。レアな装備が手に入るダンジョンが知りたいと」
「はい。パーティーの強化をしたくて」
「おまえにぴったりの話があるぜ。なあ、サタニウムって知ってるか?」
「いえ」
「最近、流行の新素材でな。性能は上の下ってところだが、加工のしやすさがピカ一で、応用が効きやすい。あとは軽さだな。魔法使いのような職の装備にも使えるんだと」
それは便利かもしれない。
全員の装備を整えたい私たちには、打ってつけだと思う。
「実はな。その素材が採れるダンジョンが、この近くにある」
「本当ですか?」
「ああ。穴場だぜ。これはお前にだから話してるんだ」
「そのダンジョンはどこですか?」
「よく聞けよ……」
教えてもらえた。
準備ができたら、行ってみよう。




