第九話「外交」
第九話「外交」
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その日は、少し遅くなった。
からくり箱の前には、昨日残したまま、椅子が3つ並んでいた。
私はからくり箱の左側に座り、昨日の続きを開いた。
田中殿が私が座ったことを見つけて、急いで駆け寄ってきた。
田中殿がからくり箱の前に座り、堀田殿も急いで田中殿の右側に座った。
二人とも楽しみにしてくれているのがわかる。
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305 名無しさん
YOMI2020最近毎回来るな
306 名無しさん
>305 日課になっとるやろもう
307 名無しさん
前回の本朝通鑑の話よかったな
「残せば、いつか誰かが読む」
308 名無しさん
>307 それな なんか刺さった
309 名無しさん
>307 このスレも残るといいな
310 名無しさん
>309 2ちゃんねるのログを歴史書と同列にするな笑
311 名無しさん
>310 でも誰かが保存しとるかもしれんやろ
312 名無しさん
りだつノシ
313 名無しさん
>312 ノシ
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私は画面を眺めた。
「三〇七番の方、覚えていてくれたか。」
田中殿が言った。
「前回の話、響いた方がいたんですね。」
「……そうだな。」
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314 名無しさん◆YOMI2020
おはようございます。
今日も話を投げかけさせてください。
1673年、リターン号という船が長崎に来航したのをご存知でしょうか。
英国が50年ぶりに通商再開を求めてきた事件です。
315 名無しさん
また来た
おは
316 名無しさん
リターン号?なにそれ
317 名無しさん
>316 ぐぐれオナシャス
318 名無しさん
英国って今のイギリスやろ なんで50年も間が空いたん
319 名無しさん
>318 内戦とかあったんちゃうの
320 名無しさん
50年ぶりに来て通商求めるとか図々しすぎやろ
321 名無しさん
>320 それな 上から目線すぎやん
322 名無しさん
幕府はどう対応したん受け入れたん?
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私は画面を見た。
「上から目線、か。」
田中殿が言った。
「忠清さま。実際どうだったんですか。」
「拒絶した。」
「即座にですか。」
「いや。
リターン号が来る二年前から、動きは掴んでいた。
英国王が船を出したという情報が、
蘭国を通じて入ってきていた。
だから来たときには、答えは用意してあった。」
「2年前から。」
「備えることが政の基本だ。
来てから考えるのでは遅い。」
「蘭国というのはオランダでいいですか?」
堀田殿が答えた。
「オランダのことですね。」
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323 名無しさん◆YOMI2020
>322
幕府は上陸を拒絶しました。
ただ、これは突然の判断ではありません。
リターン号が長崎に現れる2年前、
英国王が船を出したという情報を
幕府はオランダを通じて既に得ていました。
来航に備えて、対応を協議する時間があったのです。
324 名無しさん
>323 また来た
オランダ、出島か。
325 名無しさん
>323 2年前から知ってたんか
用意周到やな
326 名無しさん
>323 オランダが教えたんか
ライバルの邪魔したかったんやろ
327 名無しさん
>326 それはそうやろな笑
オランダも商売やし
328 名無しさん
>323 拒絶の理由は何やったん
329 名無しさん
>328 鎖国やからやろ普通に
330 名無しさん
でも鎖国って結局デメリットしかなくない?
開国してたら日本もっと発展してたんちゃうの
331 名無しさん
>330 それな
開国してたら明治維新ももっと早かったかも
332 名無しさん
>330 後からそう言うのは簡単やけどな
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私は画面を見た。
「鎖国のでめりっと、でめりっとはなんじゃ。」
いぎりすとは英国のことか、」
堀田殿が答えた。
「デメリットは短所です。
メリットが長所になります。」
続けて堀田殿が静かに言った。
「330番の方、一理あると思いますか。」
「一理はある。
だが、当時の判断を今の目で測るのは難しい。
あの頃、英国と蘭国は争っていた。
どちらかと組めば、もう一方と揉める。
貿易より、安定を選んだということだ。」
「安定を。」
「民が戦に巻き込まれるより、
商いが少し減る方が、まだましだ。」
私は前の書かれている内容を見ながら
田中殿に内容を伝えた。
私が伝えた内容を聞いた田中殿が
堀田殿に尋ねた。
「南蛮、南蛮、南蛮ってどこのことでしたっけ?」
堀田殿は少し考えて答えた。
「ポルトガルのことだったと思います。」
「ポルトガルですね。」
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333 名無しさん◆YOMI2020
>330
後世から見れば短所に見えるかもしれません。
ただ当時、イギリスとオランダは複数回の戦争を繰り返していました。
どちらか一方と組めば、もう一方と対立する。
貿易の利益より、争いに巻き込まれないことを
幕府は優先したとも言えます。
また拒絶の理由として表向きには
「国王妃がポルトガル出身でカトリック系である」
ことが挙げられましたが、
これは口実であったと見る向きもあります。
334 名無しさん
>333 またきた
ポルトガルまで絡むんか。
335 名無しさん
>333 口実って言い切るんかい笑
336 名無しさん
>335 YOMI2020にしては珍しい言い方やな
337 名無しさん
>333 まあ外交って建前と本音があるもんやしな
338 名無しさん
>333 でも2年前から準備してたなら最初から断るつもりやったってことやろ
339 名無しさん
>338 それはそう
準備してたってことは答えも決まってたってことやし
340 名無しさん
>338 用意周到すぎてちょっと怖い
341 名無しさん
YOMI2020って外交にも詳しいんか
守備範囲広すぎやろ
342 名無しさん
>341 忠清について調べてたら全部繋がってくるんやろな
343 名無しさん
>342 確かに
忠清って色んなとこに関わってるな
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時間が来た。
田中殿が苦笑いしながら言った。
「国名は堀田さんがいてくれて助かります。
僕は日本語の国名は疎くて」
「あと、忠清さま。」
「なんだ。」
「342番の方、「調べてたら全部繋がってくる」と書いていましたよ。」
「……そうか。」
私はしばらく黙っていた。
繋がっている。
合議制も、殉死禁止も、戸籍も、海運も、農政も、治水も、歴史書も、外交も。
全て、同じ時代の話だ。
一人でやったのではない。
だが、その時代に確かにいた。
「田中殿。」
「はい。」
「伝わってきているかもしれぬ。」
「はい。少しずつ。」
私は静かに立ち上がった。
一時間ずつ、届けていく。
それだけだ。




