第八話「文化」
第八話「文化」
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その日も、仕事が一段落してから来ることが出来た。
からくり箱の前に座り、昨日の続きを開いた。
すると田中殿が椅子を持ってきて隣に座った。
田中殿と座る位置を交代すると、
堀田殿も椅子を持ってきて、
私は逆の田中殿の隣に座った。
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248 名無しさん
YOMI2020昨日感情移入してたな
249 名無しさん
>248 あれはちょっと笑った
いつも淡々としてるのに
250 名無しさん
>248 前橋出身説ほんまにありそう
251 名無しさん
ていうか諸国山川掟って初めて知ったわ
江戸時代にそんな法令あったんか
252 名無しさん
>251 ワイも知らんかった
YOMI2020来てから色々知れてええな
253 名無しさん
次何投げかけてくるか楽しみやな
254 名無しさん
>253 禿同
このスレYOMI2020待ちになってるわ
255 名無しさん
離脱しますノシ
256 名無しさん
>255 ノシ
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私は画面を眺めた。
「わし待ちになっている、か。」
田中殿が言った。
「待ってくれている人がいるということですよ。」
「……そうだな。」
今日届けたい内容を田中殿に伝えた。
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257 名無しさん◆YOMI2020
おはようございます。
今日も話を投げかけさせてください。
本朝通鑑という書物をご存知でしょうか。
家綱の治世に編纂された、日本初の官撰歴史書です。
神代から後陽成天皇までの歴史を記録したものです。
258 名無しさん
また来た
おは
259 名無しさん
本朝通鑑?
なにそれ
260 名無しさん
>259 たのむぐぐれ
261 名無しさん
歴史書とか地味すぎやろ
実績としては弱くない?
262 名無しさん
>261 それな
治水とか農政と比べると地味やな
263 名無しさん
>261 でも歴史書って大事やろ
記録がなかったら何も残らんし
264 名無しさん
>263 まあそれはそう
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私は画面を見た。
「地味すぎる、か。」
田中殿が言った。
「忠清さま。反論しますか。」
「する。」
「地味ではない、ということですか。」
「そうだ。
明暦の大火で、どれだけの記録が失われたか。
歴史を残すことの意味が分かっておらぬ。」
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265 名無しさん◆YOMI2020
>261 >262
少し補足させてください。
本朝通鑑の編纂が始まったのは、
明暦の大火、1657年の後のことです。
あの火事で、江戸の膨大な記録が焼失しました。
歴史書、公文書、寺社の記録……
失われたものは数え切れません。
その反省から、歴史を正式に記録し後世に残すという
国家としての意思決定がなされました。
地味に見えるかもしれませんが、
記録が残らなければ、歴史は消えます。
266 名無しさん
>265 また長文きた
267 名無しさん
>265 明暦の大火そんな影響あったんか知らんかった
268 名無しさん
>267 江戸の大半が焼けたやつやろ被害えぐかったらしいな
269 名無しさん
>265 「記録が残らなければ歴史は消える」か
それはたしかに
270 名無しさん
>269 それな
このスレも記録やな言うたら
271 名無しさん
>270 草
2ちゃんねるを歴史書と同列にするな
272 名無しさん
>265 この人絶対歴史好きやろ
「歴史は消えます」とか言い方が好きすぎる
273 名無しさん
>272 それな
研究者とかやないの
274 名無しさん
>273 にしては文体が古いときがあるんよな
ここ数日はそんな感じがせんのやけど
前は古臭いな思ってた
275 名無しさん
>274 江戸時代の人間説また出てきた
276 名無しさん
>275 草
それはないやろさすがに
277 名無しさん◆YOMI2020
>265への補足です。
編纂がどれだけ大変だったか、少し話させてください。
史料を集めること自体が、まず難題でした。
諸大名、朝廷、寺社……
それぞれが所蔵する記録を提出させるよう
幕府から命令を出す必要がありました。
老中連署の奉書、つまり全老中の印が揃った命令書で
各所に史料の提出を求めたのです。
278 名無しさん
>277 老中連署また出てきた
279 名無しさん
>278 このスレの定番やな
280 名無しさん
>277 大名とか寺社って素直に出すもんなん?
大事な記録やろに
281 名無しさん
>280 それな
出したくない記録とかあるやろし
282 名無しさん
>281 門外不出とかありそう
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私は画面を見た。
「二八〇番の方、良いところを突いている。」
田中殿が言った。
「そうですね。実際どうだったんですか。」
「難渋した。
簡単には出てこぬ。
寺社は特にそうだ。
代々守ってきた記録を、おいそれとは渡さぬ。」
「それでも集めたんですね。」
「集めるしかなかった。
失われた記録は、もう戻らぬのだから。」
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283 名無しさん◆YOMI2020
>280 >281
おっしゃる通りで、史料の収集は難渋しました。
寺社や諸大名が代々守ってきた記録は、
簡単には出てきません。
それでも幕府として命じるしかなかった。
明暦の大火で失われたものは、
もう二度と戻らないからです。
編纂所となる国史館も幕費で建て、
7年かけてようやく完成したのが本朝通鑑です。
284 名無しさん
>283 7年もかかったんか
285 名無しさん
>284 それだけ大変やったってことやな
286 名無しさん
>283 幕費って幕府のお金ってこと?
国家プロジェクトやったんか
287 名無しさん
>286 それな
歴史書って地味やと思ってたけど
規模でかいな
288 名無しさん
>283 でも完成したあと活用されたん?
作っただけじゃない?
289 名無しさん
>288 それは気になる
290 名無しさん
>283 この人絶対歴史好きやろ
「失われたものは二度と戻らない」とか
291 名無しさん
>290 研究者やろやっぱり
292 名無しさん
>290 いや前橋出身の歴史オタクやろ
293 名無しさん
>292 どっちやねん
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私は画面を見た。
「二八八番……活用されたか、か。」
堀田殿が静かに言った。
「どうなったのですか。活用は。」
「正直に言えば、広く読まれたとは言えぬ。
漢文で書かれた全三一〇巻だ。
読める者が限られる。」
「……では、作った意味は。」
「残した意味がある。
読まれなくとも、記録は残る。
残れば、いつか誰かが読む。」
堀田殿はしばらく黙っていた。
「確かに、現代語に誰かがしてくれたものを私は手に取ったことありますよ。」
私は少し間を置いた。
「お主は歴史の本が好きで読み漁ったと言っておったものな。」
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294 名無しさん◆YOMI2020
>288
広く読まれたとは言えないかもしれません。
漢文で書かれた全310巻は、
読める者が限られていました。
ただ、読まれなくても記録は残ります。
残れば、いつか誰かが読む。
明暦の大火で失われたものが二度と戻らなかったように、
残すこと自体に意味があると思っています。
295 名無しさん
>294 またきた
296 名無しさん
>294 「残せば、いつか誰かが読む」か
297 名無しさん
>296 なんかええこと言ってるな
298 名無しさん
>294 このスレも残ったら誰かが読むな
299 名無しさん
>298 2ちゃんねるのログを本朝通鑑と同列にするな笑
300 名無しさん
300ゲット
301 名無しさん
>300 おめ
302 名無しさん
YOMI2020って結局何者なんやろな
303 名無しさん
>302
歴史研究者
前橋出身
江戸時代の人間
どれかやろ
304 名無しさん
>303 草
3択が雑すぎやろ
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時間が来た。
田中殿が静かに言った。
「298番の方、またこのスレも残ると書いていましたよ。」
「……そうだな。」
「前も同じようなことを書いていた方がいましたね。」
「そうだ。」
私はしばらく黙っていた。
名前も知らぬ者が、そう書いた。
本朝通鑑を編んだとき、
誰かに読まれるかどうか、分からなかった。
それでも残した。
「田中殿。」
「はい。」
「残すことと、伝えることは、違うのかもしれぬ。」
「どういうことですか。」
「残しても、伝わらないこともある。
だが、伝えようとしなければ、残ることもない。」
田中殿は静かに頷いた。
「……だからここに書いているんですね。」
私は何も言わなかった。
静かに立ち上がった。
一時間ずつ、届けていく。
それだけだ。




