表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/15

第八話「文化」

第八話「文化」


--------------------


その日も、仕事が一段落してから来ることが出来た。


からくり箱の前に座り、昨日の続きを開いた。


すると田中殿が椅子を持ってきて隣に座った。


田中殿と座る位置を交代すると、

堀田殿も椅子を持ってきて、

私は逆の田中殿の隣に座った。


-------------------


248 名無しさん

YOMI2020昨日感情移入してたな



249 名無しさん

>248 あれはちょっと笑った

いつも淡々としてるのに



250 名無しさん

>248 前橋出身説ほんまにありそう



251 名無しさん

ていうか諸国山川掟って初めて知ったわ

江戸時代にそんな法令あったんか



252 名無しさん

>251 ワイも知らんかった

YOMI2020来てから色々知れてええな



253 名無しさん

次何投げかけてくるか楽しみやな



254 名無しさん

>253 禿同

このスレYOMI2020待ちになってるわ



255 名無しさん

離脱しますノシ



256 名無しさん

>255 ノシ



--------------------



私は画面を眺めた。

「わし待ちになっている、か。」


田中殿が言った。

「待ってくれている人がいるということですよ。」


「……そうだな。」


今日届けたい内容を田中殿に伝えた。


--------------------



257 名無しさん◆YOMI2020


おはようございます。


今日も話を投げかけさせてください。

本朝通鑑という書物をご存知でしょうか。

家綱の治世に編纂された、日本初の官撰歴史書です。


神代から後陽成天皇までの歴史を記録したものです。



258 名無しさん

また来た

おは



259 名無しさん

本朝通鑑?

なにそれ



260 名無しさん

>259 たのむぐぐれ



261 名無しさん

歴史書とか地味すぎやろ

実績としては弱くない?



262 名無しさん

>261 それな

治水とか農政と比べると地味やな




263 名無しさん

>261 でも歴史書って大事やろ

記録がなかったら何も残らんし



264 名無しさん

>263 まあそれはそう



--------------------



私は画面を見た。

「地味すぎる、か。」


田中殿が言った。

「忠清さま。反論しますか。」


「する。」


「地味ではない、ということですか。」


「そうだ。

 明暦の大火で、どれだけの記録が失われたか。

 歴史を残すことの意味が分かっておらぬ。」



--------------------



265 名無しさん◆YOMI2020


>261 >262

少し補足させてください。


本朝通鑑の編纂が始まったのは、


明暦の大火、1657年の後のことです。

あの火事で、江戸の膨大な記録が焼失しました。


歴史書、公文書、寺社の記録……

失われたものは数え切れません。

その反省から、歴史を正式に記録し後世に残すという


国家としての意思決定がなされました。

地味に見えるかもしれませんが、


記録が残らなければ、歴史は消えます。




266 名無しさん

>265 また長文きた



267 名無しさん

>265 明暦の大火そんな影響あったんか知らんかった



268 名無しさん

>267 江戸の大半が焼けたやつやろ被害えぐかったらしいな



269 名無しさん

>265 「記録が残らなければ歴史は消える」か

それはたしかに



270 名無しさん

>269 それな

このスレも記録やな言うたら



271 名無しさん

>270 草

2ちゃんねるを歴史書と同列にするな



272 名無しさん

>265 この人絶対歴史好きやろ

「歴史は消えます」とか言い方が好きすぎる



273 名無しさん

>272 それな

研究者とかやないの



274 名無しさん

>273 にしては文体が古いときがあるんよな

ここ数日はそんな感じがせんのやけど

前は古臭いな思ってた



275 名無しさん

>274 江戸時代の人間説また出てきた



276 名無しさん

>275 草

それはないやろさすがに




277 名無しさん◆YOMI2020


>265への補足です。


編纂がどれだけ大変だったか、少し話させてください。

史料を集めること自体が、まず難題でした。

諸大名、朝廷、寺社……


それぞれが所蔵する記録を提出させるよう

幕府から命令を出す必要がありました。

老中連署の奉書、つまり全老中の印が揃った命令書で


各所に史料の提出を求めたのです。




278 名無しさん

>277 老中連署また出てきた




279 名無しさん

>278 このスレの定番やな



280 名無しさん

>277 大名とか寺社って素直に出すもんなん?

大事な記録やろに




281 名無しさん

>280 それな

出したくない記録とかあるやろし




282 名無しさん

>281 門外不出とかありそう


--------------------


私は画面を見た。


「二八〇番の方、良いところを突いている。」


田中殿が言った。

「そうですね。実際どうだったんですか。」


「難渋した。

 簡単には出てこぬ。

 寺社は特にそうだ。

 代々守ってきた記録を、おいそれとは渡さぬ。」


「それでも集めたんですね。」


「集めるしかなかった。

 失われた記録は、もう戻らぬのだから。」



--------------------


283 名無しさん◆YOMI2020

>280 >281


おっしゃる通りで、史料の収集は難渋しました。


寺社や諸大名が代々守ってきた記録は、


簡単には出てきません。

それでも幕府として命じるしかなかった。

明暦の大火で失われたものは、


もう二度と戻らないからです。

編纂所となる国史館も幕費で建て、


7年かけてようやく完成したのが本朝通鑑です。




284 名無しさん

>283 7年もかかったんか



285 名無しさん

>284 それだけ大変やったってことやな



286 名無しさん

>283 幕費って幕府のお金ってこと?

国家プロジェクトやったんか



287 名無しさん

>286 それな

歴史書って地味やと思ってたけど

規模でかいな



288 名無しさん

>283 でも完成したあと活用されたん?

作っただけじゃない?



289 名無しさん

>288 それは気になる



290 名無しさん

>283 この人絶対歴史好きやろ

「失われたものは二度と戻らない」とか



291 名無しさん

>290 研究者やろやっぱり



292 名無しさん

>290 いや前橋出身の歴史オタクやろ



293 名無しさん

>292 どっちやねん



--------------------



私は画面を見た。

「二八八番……活用されたか、か。」



堀田殿が静かに言った。

「どうなったのですか。活用は。」


「正直に言えば、広く読まれたとは言えぬ。

 漢文で書かれた全三一〇巻だ。

 読める者が限られる。」


「……では、作った意味は。」


「残した意味がある。

 読まれなくとも、記録は残る。

 残れば、いつか誰かが読む。」



堀田殿はしばらく黙っていた。

「確かに、現代語に誰かがしてくれたものを私は手に取ったことありますよ。」


私は少し間を置いた。

「お主は歴史の本が好きで読み漁ったと言っておったものな。」



--------------------


294 名無しさん◆YOMI2020


>288


広く読まれたとは言えないかもしれません。

漢文で書かれた全310巻は、

読める者が限られていました。

ただ、読まれなくても記録は残ります。


残れば、いつか誰かが読む。

明暦の大火で失われたものが二度と戻らなかったように、


残すこと自体に意味があると思っています。




295 名無しさん

>294 またきた



296 名無しさん

>294 「残せば、いつか誰かが読む」か



297 名無しさん

>296 なんかええこと言ってるな



298 名無しさん

>294 このスレも残ったら誰かが読むな



299 名無しさん

>298 2ちゃんねるのログを本朝通鑑と同列にするな笑



300 名無しさん

300ゲット



301 名無しさん

>300 おめ



302 名無しさん

YOMI2020って結局何者なんやろな



303 名無しさん

>302

歴史研究者

前橋出身

江戸時代の人間

どれかやろ




304 名無しさん

>303 草

3択が雑すぎやろ


--------------------



時間が来た。


田中殿が静かに言った。

「298番の方、またこのスレも残ると書いていましたよ。」


「……そうだな。」


「前も同じようなことを書いていた方がいましたね。」


「そうだ。」

私はしばらく黙っていた。


名前も知らぬ者が、そう書いた。

本朝通鑑を編んだとき、


誰かに読まれるかどうか、分からなかった。

それでも残した。


「田中殿。」


「はい。」


「残すことと、伝えることは、違うのかもしれぬ。」


「どういうことですか。」


「残しても、伝わらないこともある。

 だが、伝えようとしなければ、残ることもない。」


田中殿は静かに頷いた。

「……だからここに書いているんですね。」


私は何も言わなかった。


静かに立ち上がった。

一時間ずつ、届けていく。

それだけだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ