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第十話「蝦夷」

第十話「蝦夷」



-----------------


その日は、からくり箱の左前に座るまでに、少し時間がかかった。


田中殿がからくり箱の前に座りながら言った。

「忠清さま。」


「なんだ。」


「今日は遅いですね。」


「……少し、気が重い。」


「何かありましたか。」


私はしばらく黙っていた。

「今日投げかけようとしている話は、

 誇れることばかりではない。」


堀田殿が右側に座りながら静かに言った。

「蝦夷地の件ですか。」


「そうだ。」


「……避けますか。」


「避けては通れぬ。

 都合のよい話だけ並べるのは、

 誠実ではない。」


今日書き込みたい内容を一通り、田中殿に伝えると、

田中殿は昨日の続きを開いた。



-----------------



344 名無しさん

YOMI2020今日も来るかな



345 名無しさん

>344 毎日来とるやん



346 名無しさん

前回の外交の話面白かったな

2年前から準備してたとか用意周到すぎる



347 名無しさん

>346 それな

YOMI2020忠清のことになると詳しすぎやろ



348 名無しさん

>347 前橋出身の歴史オタク説が一番しっくりくる



349 名無しさん

>348 やっぱり江戸時代の人間説も捨てきれん

詳しすぎ



350 名無しさん

>349 草

それはないって



351 名無しさん

離脱します

ノシ


352 名無しさん

>351 ノシ


--------------


私は画面を眺めた。

「江戸時代の人間説、まだ言われているか。」


田中殿が苦笑した。

「気をつけますね。」


「……頼む。」



-----------------



353 名無しさん◆YOMI2020


おはようございます。


今日も話を投げかけさせてください。

少し重い話になりますが、


シャクシャインの戦いについてです。

1669年、蝦夷地で起きたアイヌの大規模な蜂起です。




354 名無しさん

また来た

おは



355 名無しさん

シャクシャイン?なにそれ



356 名無しさん

>355 アイヌの首長やで。松前藩に反乱起こした



357 名無しさん

アイヌかわいそうなやつやろ

松前藩にひどい扱いされてたんやろ



358 名無しさん

>357 それな

一方的に不利な交易押し付けられてたんやろ



359 名無しさん

みんな結構しっとるんやね

幕府はどう対応したん



360 名無しさん

>359 鎮圧したんやで。でも松前藩がアイヌ惨殺したんよ。



361 名無しさん

>360 うげ~。まじかよ。きっしょ。

当時はそれが正解なん?


--------------


私は画面を見た。

「アイヌかわいそう、か。」


私は静かに言った。

「そうだな。」


田中殿が少し驚いた顔をした。

「同意するんですか。」


「事実だ。

 松前藩の交易は、アイヌにとって不利なものだった。

 それは分かっていた。

 だが幕府として、松前藩の交易独占は認めた上での話だった。」


「複雑ですね。」


「複雑だ。 だから気が重い。」



-----------------



362 名無しさん◆YOMI2020


>357 >358


アイヌが置かれていた状況については、おっしゃる通りだと思います。


松前藩との交易は、アイヌにとって著しく不利なものでした。


ただ幕府の立場からお話しすると、

東北諸藩に援軍と兵糧を命じ、松前藩を支援する形で対応しました。


治安の安定が第一だったからです。


これが正しかったかどうかは、今でも難しい問いだと思います。



363 名無しさん

>362 また来た



364 名無しさん

>362 「正しかったかどうか難しい」って

YOMI2020にしては珍しい言い方やな



365 名無しさん

>364 いつも淡々としてるのに

今日はちょっと違う感じがする



366 名無しさん

>362 幕府が松前に援軍出したってことは アイヌを見捨てたってことやろ結局



367 名無しさん

>366 まあそうなるな



368 名無しさん

>366 でも幕府としては治安優先やから仕方ないんちゃう



369 名無しさん

>368 仕方ないで片付けていいんかって思うけどな



-----------------



私は画面を見た。


堀田殿が静かに言った。

「369番の方の言葉、どう思いますか。」


「……正しい問いだ。」


「答えは。」


「ない。

 当時も、答えは出なかった。

 治安を守ることと、不当な扱いを正すことを

 同時にはできなかった。」


堀田殿はしばらく黙っていた。

「それでも、投げかけたんですね。今日。」


「都合のよい話だけ並べるのは誠実ではない。

 誠実でなければ、伝える資格がない。」



田中殿が静かに頷いた。


ガチ勢の方が長文を投げかけた。



-----------------



370 名無しさん


ここで歴史ガチ勢ワイが補足するで

シャクシャインの戦いの背景は複雑やで

①松前藩はアイヌとの交易独占権を幕府から認められてた


②でも交易条件はアイヌに一方的に不利


③子供を人質に取るような強硬策まであった


④アイヌ内部でも部族争いがあって、その混乱が蜂起につながった

つまり松前藩の搾取だけが原因ではなく

アイヌ内部の対立も絡んでた複雑な事情があった


幕府が松前藩を支援したのは

蝦夷地の安定が北方防衛にも関わってたからや




371 名無しさん

>370 長文乙



372 名無しさん

>370 でも面白い

そんな複雑な事情があったんか


373 名無しさん

>370 北方防衛って言われると

たしかに幕府としては無視できんな



374 名無しさん

>370 でもやっぱりアイヌがかわいそうっていう気持ちは変わらん



375 名無しさん

>374 それはそう 正しかったかはまた別の話やし



376 名無しさん

>362 YOMI2020今日なんか違う

いつもより迷ってる感じがする



377 名無しさん

>376 それな

「正しかったかどうか難しい」とか言うし




378 名無しさん◆YOMI2020

>370

補足ありがとうございます。


おっしゃる通り、背景は複雑でした。

アイヌ内部の対立、松前藩の強引な交易、


北方の安定という幕府の事情……


それぞれが絡み合っていた話です。

ただ、一つだけ言えることがあります。

アイヌの人々が不当な扱いを受けていたことは

当時も分かっていました。

それでも止められなかった。


その事実は、変わりません。





379 名無しさん

>378 またきた



380 名無しさん

>378 「止められなかった」か

なんか今日のYOMI2020重たいな



381 名無しさん

>380 それな いつもと違う



382 名無しさん

>380 でもこういう話も向き合うとこが誠実やと思う



383 名無しさん

>382 禿同

都合のいい話だけじゃないのがいい



384 名無しさん

YOMI2020って結局何者なんやろ

こういう話も淡々と調べてるんか



385 名無しさん

>384 それが気になる

歴史好きにしては妙に当事者感がある



386 名無しさん

>385 また江戸時代の人間説か笑



387 名無しさん

>386 詳しすぎて否定しきれんのよな最近



-----------------



時間が来た。


しばらく、誰も何も言わなかった。


田中殿が静かに言った。

「382番の方が、「向き合うことが誠実だ」と書いていましたよ。」


「……そうか。」

私はしばらく黙っていた。


止められなかったことは、事実だ。

だが、なかったことにもできない。

「田中殿。」


「はい。」


「誠実であることと、正しくあることは、違うのかもしれぬ。」


「どういうことですか。」


「正しくなかったことがある。

 だが、正直に伝えることはできる。

 それだけだ。」

田中殿は静かに頷いた。


私は静かに立ち上がった。


一時間ずつ、届けていく。


それだけだ。

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