表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/15

第二話「合議制」

第二話「合議制」


--------------------


翌日。


私はからくり箱の前に座った。


昨日書いたことへの返事が、来ているはずだった。


画面を開いた。


--------------------


9 名無しさん

>8 史実と分けろって言われてもなあ

印象って大事やし



10 名無しさん

>8 でも権力の亡者感は否めんやろ


11 名無しさん

つかこのスレ過疎りすぎやろ

もっと伸びてもええのに


12 名無しさん

>11 誰も興味ないんやろ

下馬将軍とか地味すぎやん



13 名無しさん

>1 の人まだおるん?



14 名無しさん

左様せい様って知ってる?

4代将軍家綱のあだ名やけど

結局忠清が全部決めてたんちゃうの

将軍がなんもしてないってことやん



15 名無しさん

>14 それな

忠清が好き放題やってただけやろ



16 名無しさん

>14 左様せいって言い続けるだけの将軍とか草

給料泥棒やん




--------------------



私は画面を見た。


「左様せい様……給料泥棒。」


田中殿が後ろから言った。

「給料泥棒というのは、現代の言葉で——」


「分かっておる。」


私は静かに言った。

「家綱様のことを、そのように書くとは。」


「2ちゃんねるはこういうものです。」


「……そうか。」


私は文字を打ち始めた。



--------------------


17 名無しさん◆YOMI2020


>14 >15

少し補足させてください



家綱の治世は「老中合議制と家綱自身の上意により幕政が運営された」

と記録されています

忠清一人が決めていたわけではなく

老中たちが合議で決定し

家綱が最終的に承認する仕組みでした


家綱様は独裁を許していたのではなく

合議制を信任していた証とも言えます




18 名無しさん

>17 長文乙

読む気しない




19 名無しさん

>17 どうせwikiやろ




20 名無しさん

>17 でも結局忠清が一番発言力あったんちゃうの?

合議って言っても形だけとちゃうん




21 名無しさん

>17 この人なんか詳しいな



22 名無しさん

合議制って今で言う内閣みたいなもん?




23 名無しさん

>22 まあそんな感じちゃう

将軍が総理大臣で老中が大臣みたいな




24 名無しさん

>23 ほーん

てことは忠清は官房長官みたいな感じ?




25 名無しさん

>24 官房長官より強い感じやろ

大老って老中の上やし




26 名無しさん

つかこのスレ急に伸びてきたやん

どこかから来たん?




27 名無しさん

>26 なんJから来たで




28 名無しさん

>27 なんJが江戸時代の話するわけないやろ笑




--------------------



私はしばらく画面を眺めた。


「内閣……官房長官……」


田中殿が言った。

「現代の政治の仕組みに例えているんです。」


「そうか。」


「忠清さまは官房長官より強い感じ、と書かれていますね。」


「大老は老中の上だ。それは正しい。」


「反論しますか。」


私は少し考えてから、文字を打った。



--------------------


29 名無しさん◆YOMI2020

>20

合議制が形だけという指摘については

記録を見る限り、老中それぞれが意見を出し

多数決ではなく全員の合意で決定していたようです



忠清一人の独断ではなく

松平信綱、稲葉正則、阿部忠秋ら老中と連署で

政策が発せられている記録が残っています


連署

というのは全員の印が必要ということです

一人では決められない仕組みでした




30 名無しさん

>29 また長文きた

この人絶対歴史オタクやろ




31 名無しさん

>29 連署とか初めて聞いた

ちょっと面白いな



32 名無しさん

>29 ソースどこ?




33 名無しさん◆YOMI2020

>32

江戸幕府の公文書記録に残っています

諸国山川掟など

老中連署で発せられた法令が複数確認できます




34 名無しさん

>33 それwikiに書いてないやつやん

どこで調べたん




35 名無しさん

>34 この人もしかしてガチ勢?




36 名無しさん

>29 でもさあ

合議制って言っても一番声でかい人間が勝つやん

結局忠清が一番声でかかったんやろ




37 名無しさん

>36 それはそう




38 名無しさん

つかそもそも忠清って良い人なの悪い人なの

どっちやねん




39 名無しさん

>38 悪い人やろ普通に

伊達騒動の黒幕やん




40 名無しさん

>39 それ小説の話やん

史実ちゃうで




41 名無しさん

>40 え?そうなん



42 名無しさん

>41 ほんまに知らんのか

樅ノ木は残ったはフィクションやで



--------------------



時間を見た。


残り十分だった。


急いで文字を打った。



--------------------


43 名無しさん◆YOMI2020

>36

声の大きさではなく

連署という仕組みが重要です

全員の印がなければ法令を出せない

それが合議制の肝です


もし忠清一人が独断で動けたなら

なぜわざわざ他の老中と連署する必要があったのでしょうか




44 名無しさん

>43 うーんたしかに




45 名無しさん

>43 でも実質的な主導権は忠清にあったんちゃうの




46 名無しさん

このスレ思ったより面白いやん




47 名無しさん

>46 同意

続きが気になってきた



--------------------




時間が来た。


「また、明日か。」

私は静かに言った。


田中殿が言った。

「少し、楽しそうですよ。」


「……そうか。」


私は立ち上がった。


「言いたいことが、伝わっている気がする。」


「そうですね。」


「だが、まだ全然足りぬ。」


「はい。明日も続きです。」


「そうだな。」


私はからくり箱の前を離れた。


連署の話は、少し伝わったかもしれない。


だが、まだ先は長い。


一時間ずつ、届けていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ