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第一話「降臨」

黄泉の政、また取りまとめ申す。〜大老・酒井忠清の冥府改革〜全71話+閑話「忠清の、忠清による、忠清の為の調査書」が第1部で、こちらは第2部になります。


よろしくお願いいたします。


第一話「降臨」


-------------

閻魔様から、一日一時間の下界通信を許された。


私は自分の名前を始めて検索した日の内容が忘れられずにいた。


「権力の亡者……私か。」


検索したその後、堀田殿に私の事が書かれている本の事を聞いた。


その本が黄泉の国にないかどうか、数日探し、数日間本を読み漁った。


「やはり、黒幕。。。」


読み漁った後の数日、なんともいえぬ虚しさに襲われた。

しかし、同時に闘争心のようなものも沸いていた。


--------------------


気を取り直して、一日一時間だけ。

数日にわたり、下界の検索という物を行った。


私の評価はあまり変わっていなかった。


数日は、ただ画面を眺めていた。


下界の情報が、次々と流れてくる。


速い。


文字が、画像が、動画が、次々と現れては消える。



--------------------


「忠清さま。」


田中殿が来た。


「なんだ。」


田中殿は少し間を置いてから言った。


「まだ、検索結果の事をきにしていますか?」


「うむ。。。。権力の亡者、か。」

私は静かに言った。


「何かされますか?」


私はしばらく考えてから言った。

「反論したいことが、言いたいことがある。」


田中殿は少し困った顔をした。

「2ちゃんねるのことですか。」


「そうだ。」


「……忠清さま……書くんですか。」


「書く。」


田中殿はしばらく黙っていた。

「一つ、お願いがあります。」


「なんだ。」


「自分のことだと、絶対に分からないようにしてください。」


「なぜだ。」


「閻魔様に、熱くなるなと言われておられましたよね。

 冷静に書くためにも第三者を装ってください。」


「第三者を装う。」


「はい。忠清さまのことを調べている歴史好きの人間、

 というくらいでいいと思います。」


「それくらいならできる。」


「本当ですか。」


「三百年以上、取りまとめ役をやってきた。

 人前で感情を出さないことは得意だ。」


田中殿は少し笑った。

「……それは確かにそうですね。」


--------------------


翌日。


私はからくり箱の前に座った。


時間を確認した。


一時間しかない。


文字打ち板に手を置いた時、画面に並ぶ数字が目に入った。


「田中殿。」


「はい。」


「これは何だ。」


画面の中の数字を指さした。


「ああ、算用数字です。

 下界では数字はこのように書きます。

 1、2、3……というふうに。」


「漢数字ではないのか。」


「2ちゃんねるでは算用数字が普通です。

 漢数字で書くと、また江戸時代の人間説が強くなります。」


「……分かった。」


意を決して田中殿から教わった方法で「掲示」を立てた。


----------


【歴史】酒井忠清ってどう思う?【下馬将軍】


1 名無しさん◆YOMI2020

歴史が好きで

酒井忠清について調べている者です


下馬将軍と呼ばれ

権力の亡者と言われているようですが

実際のところどうだったのか

皆さんの意見を聞かせてください


こちらも調べた内容を少しずつ投げかけていくので

一緒に考えてもらえると助かります


--------------------


画面を見た。


しばらく、何も起きなかった。


「……誰も来ぬのか。」


私は少し不安になった。


だが、しばらくして。


文字が現れた。



--------------------


2 名無しさん

権力の亡者やろ

将軍すら自分で決めようとしたんやぞ


3 名無しさん

下馬将軍w

駕籠から降りなかったやつやん


4 名無しさん

「樅ノ木は~~」の悪役やん

あいつ黒幕やろ


5 名無しさん

>1 wiki見て書いてるだけやろどうせ


6 名無しさん

>4 「樅ノ木は~~」って、それ何?


7 名無しさん

>6 ググれよ。それか一生ROMってろ


--------------------


私は画面を見た。


「権力の亡者。」


「黒幕。」


田中殿が後ろから言った。

「こんな感じです。2ちゃんねるは。」


「……そうか。」


「最初はこういうものです。

 腹を立てないでください。」


「立てていない。」


「顔が少し怖いですよ。」


「……これが普通の顔だ。」


田中殿は苦笑した。

「では、返信しますか。」


私はしばらく考えてから、文字を打った。



--------------------


8 名無しさん◆YOMI2020

情報ありがとうございます

やはり権力の亡者という印象が強いようですね


ただ、少し気になることがあります

酒井忠清の時代に行われた政策について

皆さんはどこまでご存知でしょうか


樅ノ木は残ったは作り物ですので

史実とは分けて考えた方が良いかもしれません


--------------------



時間を見た。


もう三十分が過ぎていた。


「田中殿。」


「はい。」


「一時間では、短いな。」


「そうですね。」


「書いて、返事が来るまでに、もう時間が終わる。」


「はい。

 今日書いたことへの返事は、明日確認することになります。」


「明日か。」


「はい。毎日一時間、少しずつ進めていくしかありません。」


私はしばらく画面を眺めた。



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9 名無しさん

>8 史実と分けろって言われてもなあ印象って大事やし




10 名無しさん

>8 でも権力の亡者感は否めんやろ


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時間が来た。



「また、明日か。」


私は静かに言った。


「はい。」


田中殿が言った。

「大丈夫ですか。」


「大丈夫だ。」


「腹は立っていませんか。」


「立っていない。」


私は静かに立ち上がった。

「三百年以上、待ってきた。

 一日くらい、待てる。」


田中殿は静かに頷いた。

「……そうですね。」


「明日、また来る。」


私はからくり箱の前を離れた。


言いたいことは、まだたくさんある。


一時間ずつ、届けていく。


それだけだ。


ようやく第2部を投稿することが出来ました

忠清さまを調べて、あまりにも理不尽なことが多かったので、

微力ながら、忠清さまの汚名を晴らしたいと思いこの第2部を目標に書いてきました。

第1部はこの第2部に繋げるために必要だと思い、書かせていただきました。


第2部もよろしくお願いいたします。

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