89 老騎士と安酒(その14)
「大体、貴族というやつは腐りきっておる!」
老剣士が酒を飲みながらクダを巻いている
・・・もはや只の酔っぱらいである(笑)
<老剣士の回想>
あれは姫様の領土を無事に帝国から獲り返した後のことじゃった
これからのことを姫様と、姫様が無事と知って集まってきた貴族達と話し合っていたのじゃ
「そう言えば何でも敵に捕まった者を助けたものがいるとか・・・」
とある伯爵がこちらを見ずに呟いた
「一体何を考えているのか、下の者が勝手に動くとこちらの戦略というものが台なしである」
腰ぎんちゃくの子爵が追従する
「当然、上のものがしっかりしていないから、舐められているんでしょうな」
腰ぎんちゃく、その2の男爵がワシの方を見ながら言う
御貴族様特有の嫌味というのは、いや人間の悪意というものは際限がない
おまけにこちらはただの騎士、つまり平民である
天と地の差があるので言われるままじゃ
「そういえば人質を助けるのに商人が手助けしたとか・・・」
見知らぬ貴族が言い出した
また貴族が増えておった
勝ち馬に乗ろうと続々と集まってきている貴族の一人じゃな
仕事はしないくせに、口を出す
いや、人のアラを探して嫌味を言って、足を引っ張る、じゃな
この国の貴族は本当に腐りきっておるわい
「それはいけませんな、庶民にまかせておいては台なしにされますぞ!」
「まさにまさに!」
「我々がきちんと管理して使ってやらないといけませんな!」
貴族達が次々に勝手なことを言い出した
商人とのつながりを手に入れて金をせびるか、物を寄越せと言う気マンマンである
人の功績を分捕って、自分のモノにして当然という厚顔ぶり
人、いや御貴族様の欲望には際限がないようである
<回想終わり>
「あいつ等は腐っておるわい・・・」
そんなことを言って老剣士はカウンターに突っ伏した
どうやら潰れたようである
それを見てオレ(酒場店主)は『どこの世界も中間管理職は大変だ』と思ったね
リアル(地球)での勤め先でも係長(中間管理職様)は朝、誰よりも早く来て、夜に誰よりも遅く帰っているからな(苦笑)
しかしあなた(老貴族)はこの後、盛大な功績の褒美として、騎士から男爵の御貴族様になるんだよ
言ってらどういう顔をするかな?
言ってやりたいものである(笑)




