33 ハーフエルフと古酒(その7)
<エルフ長老サイド>
「ぎゃ~っ!」
遠くで同胞のエルフの叫び声が聞こえる
ど、どうしてコンナことになったんたんだろうか?
エルフの長老ココ=デ=シニマッ=センは暗闇の中、逃げながら考えた
昼ごろに若いエルフ達がケガをして村に帰ってきたことが始まりであった
なんでもエルフの森の外に出たところで人間に襲われたそうだ
一人は目を潰され、一人は腕を砕かれていた
そんな二人を体中ボロボロにされた一人が両側に抱えるようにしてフラフラになりながら村まで帰ってきた
村の中央の広場まで歩いたところで力尽き、抱えた二人と一緒に倒れた
手の空いている者がかけより、いそいで治療する
しかし、酷くやられた二人は手の施しようがなく、普通の生活に戻れる見込みはなかった
治療の最中に人間に襲われた時の話を聞いた
その理不尽さと、ケガをさせられたエルフの惨状を見て怒り出す村人たち
もちろん、長老たる我も同じ気持ちである
我々エルフは、長命で、魔力が強大で、賢く、見目麗しいといった至高の存在である
それゆえ、すべての生物の上位に君臨することができる
しかし、無意味にその力をひけらかすことはない
まあ、わざわざ判り切った弱いものイジメをしたとしても何も得る物がないというのもある
しかし、同胞のエルフに手出しされたとあっては見過ごすことはできん
下等生物である人間どもは、調子にのりやすく、一度甘い顔をすればつけ上がることこの上ない
昔のようにエルフの森まで攻めてきたり、木を切り倒されたりして、騒ぎを起こされたりしたらタマランからな
そう思い、戦える若い男のエルフを中心に、夜ではあるが人間のところまで出向いていった
不思議なことにエルフの森のすぐ外に見知らぬ小屋が作られていた
やられたエルフの言葉通りではあるが、いつの間に?と感嘆を禁じえない
我らエルフならできるだろうと思えることだが、力も弱く、魔法もロクに使えない愚かな人間風情が数日のうちに作れるとは思えなかった
一応、警戒くらいはしておこうか
慎重に対応することにした
ところが出てきた人間は、ただの人間ではなかった
人間の格好をした悪魔であった
村一番の戦士をあっという間に倒した
いやそれどころか笑い声をあげながらグチャグチャにした
く、狂っている
そして次々に殺戮を始めた
あまりのことに皆で逃げ出した
人間は夜になると目が見えなくなるため、エルフとは違い動けなくなる
暗闇の中なら追いかけられないだろうと思った
ところが次々に
「ぎゃっ」
「た、たすけてくれ~」
と悲鳴が聞こえてくる
そしてすぐに声が聞こえなくなる
どうしてこうなった?!




