18 マイスターとアイスメロン酒(その2)
マイスターにとっておきのお酒(アイスメロン酒)を出しました
ところが、マイスターはお酒を無視して、何やら打ち込んでいます
酒が溶けた氷で薄まるだろうが!
さっさと飲め!
でもお世話になっているので言えない
言わないから飲まない
飲まないから氷が解けてお酒が不味くなる
それにガマンできず、思わず殴りそうになる
その右腕を力を入れて止めているためプルプルしてきた
オレ、結構頑張ってね!?
そう思っていると
「ああっ、しまったっ!」
マイスターが突然叫びました
そして携帯の端末をワタワタしながらテーブルに置きました
やれやれ、ようやく目の前のお酒を思い出したか
さっさと飲めや!
そう思ったんだけど、そんなささやかな願いは残念ながらかないませんでした
「え~っと、あれどこだっけ?・・・ん?ふぉ?」
上着やズボンのポケットを探ってなにやら探してます
お~いっ?!
「あれ~っ?ないってばよ?おかしいな~?」
なにやってるんだよ~っ
ようやくポケットからなにやら箱を取り出しました
そして箱から何やら細長いものを1つ取り出しました
なんか健康診断の時に尿検査するやつに似てます
そしておもむろにお酒に漬けました
ああ、そういえば安全かどうか調べてから飲んだり食べたりする人でした
マイスターのいる世界は、度重なる公害や、発電所の爆発や、津波や地震での工場の破壊で自然は壊滅的な被害を受けました
息をするだけで肺が痛くなる大気
真っ赤で魚が一匹もいない海
岩や石だらけの山
それがマイスターが住む機械化帝国がある世界です
水や食料はすべて工場で工業的に作られる
酒なんかエチルアルコール100%を水で薄めただけのものが普通
食べ物も工場で作られた栄養重視のものに科学的に味をつけただけのものが普通
当然、味なんて二の次
一応、汚染を免れた地域も世界に数ヶ所あります
そこでは魚の養殖や、牛なんかの放牧がなされています
でも数が少ないので大変高価です
最初に聞いた時は『どこのネバーランドだよ!』って突っ込みました
そうなると当然ときどきバッタモノが出回ります
ですが、汚染地域で育てたため、食べるだけで身体が悪くなる代物
だから工業的に作られたきちんと無菌パックされた食品以外を食べる時はチェックが必要です
身も蓋もない世界です
それがマイスターの世界
一度、魔王の呪いで飛ばされた時は大変でした
息するだけで肺が痛んだので驚きました
いや、死ぬかと思いました
そこを助けてくれたのがマイスターです
その節は本当にお世話になりました
「ひひっ・・・不純物多すぎ・・飲んだらやばそう・・・飲んじゃう?・・飲もうか?・・マジヤバイ?・・」
酒に漬けた検査紙を携帯端末で撮影し、画面に出てきた分析結果を見て何やら嬉しそうに呟いてます
いや、ヤバイのはあんたの頭だよ
普通に発酵させた酒だから!
普通に飲めるから
それ以上言うなら訴えるぞ
っていうか、早く飲めっ!
お世話になったのと酒の飲み方は別物です
これ以上、酒を薄めるなら口に漏斗を突っ込んで流し込んでやる
そう決心しました




