131 おぼっちゃまと蜂蜜酒(その10)
盗み聞きはいいね、リリンの生んだ文化の極みだよ
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「そう言えばココに住んでいた民はどうなったんだ?」
貴族弟が執事に聞いた
魔導炉なんてとんでもないものが爆発したんだ
当然あたり一面は不毛の地と化して人が住めなくなった
いや住んでるだけで体調が悪くなる、だな
右の地平線から左の地平線までのすべての土地がそんな感じだ
当然、住んでいた人間の数は膨大だろう
それがどこにいったのか?
当然の疑問だ
「各町に分散して疎開したそうですよ」
執事が答えた
この執事は何でも知っているな
・・・そのうち帽子をかぶってLLサイズの洋服着て「何でも知っているよ」とか言いそうだ
「だったらよかったな」
そう言って貴族弟が安心した
・・・貴族弟は結構人が良い?
ところが執事が答えた
「それがそうでもなかったのですよ・・・」
そう言って首を振る
そりゃそうだ
いきなり見知らぬ人間が大量に押し掛けてきたんだ
住む所も食事も足りなくなるだろう
おまけに仕事だってない
食べるだけの人間が増え、働く人間が増えない
早い話厄介者の誕生だ
おまけに帰る予定がないとくれば破たんする未来しか見えない
それくらいは判らないと貴族はできないと思うぞ、貴族弟よ
ここからは執事が言ったことの要約だ
ある避難民は鼻から血が垂れるのに気付かずに話続ける
・・・シュールだな
歩いていた避難民が何の前触れもなくいきなり倒れる
・・・ビックリだな
避難民が歩いていると髪の毛がボロボロと勝手に落ちる
・・・後ろを歩いていた人、ホラーだな
その他、避難民に関する逸話多数
当然のことながら避難民というだけで気味が悪いと言われる始末
早い話、病原菌扱いの誕生だ
理性ではうつらないと判っていても、感情が納得いかない
近くにいるだけでイヤ
・・・判ってしまう自分が悲しいな
ほどなくして迫害が始まったそうだ
盗み聞きをしていた異世界酒場店主の予想を遥かに超えていた
ココまで酷いとは思いもしなかったな




