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129 おぼっちゃまと蜂蜜酒(その8)

まだまだ続きます


---------------------------------------


「ところで魔導炉を作ろうとした時、だれも注意しなかったのか?」


貴族弟が聞いた




「しなかったそうですよ」


これは執事




しかしこの執事は何でも知っているな


・・・「知っていることだけ」ですよ、とか言いそうだな




なんでもこの国 ~ヤマトン共和国~ というのは共和国といいながら7大氏族が権力を握っていたそうだ


選挙で国の代表が選ばれるが、当選するのは7大氏族の者かその関係者のみ





・・・共和国って詐欺じゃね?


思ったオレは悪くない




ところが共和国民はそうは思っていなかったそうだ


この世で一番優れた政治形態で、その国民である自分達は偉い


常日頃そう言っていたそうだ





・・・バカじゃね?


オレは思った




ところが愚かなことに誰も気がつかなかったそうだ


自分達でお互いに褒め合っていれば客観視できないってものだ


そのあげく、魔導炉を作るなんてバカをやらかしたそうだ





昔から話がある魔導炉


魔導炉を作るからと金を集めてドロンする詐欺の手段として有名な魔導炉


何回も詐欺話があり、被害総額がとんでもないことになっている魔導炉


眉つばな代名詞と化している魔導炉


それを7大氏族の技術担当のエルハリン家が提唱したというだけで「安全だ!」と勘違いした魔導炉


作った後の試運転で爆発した魔導炉


そして300年経った今でも変質したマギ(魔素子)を延々と垂れ流している魔導炉




・・・マギを半永久的に生成するってところだけは成功だね






「『等価交換』が頭にあればこんなバカなことにはならなかったのよ」


貴族姉が言い出した




「?」


貴族弟は意味が判らずポカンとした





「物を買う時に金を払うのが『等価交換』ですよね?それが何か関係しているのですか?」


貴族弟が姉に聞いた





「え~、どうしようかな~、「どうしても教えて欲しい」っていうなら考えようかな~」


酔っぱらった貴族姉はウザかった





異世界酒場店主(オレ)は判ったけどな


何かを得ようとするならば、同じ価値の何かが必要だ


と言う訳だろう




この場合は


得る物 = 半永久にマギを生成する魔導炉


危険(リスク) = 爆発して壊れた結果、変質したマギが延々と生成されて汚染区域が広がる


だろう





大体、上手い話には裏があるんだ


『等価交換』でそれ相応のリスクがあると想定していれば大抵の危機は回避できるってものだ





バブルの頃の土地ころがしとか


リーマンショックの元になった住宅ローンの抱き合わせとか


成人式の振袖詐欺とか


その他イロイロ





後になってみれば「なんて引っかかったんだ?」ってシロモノばかりだが、『等価交換』を知っていれば回避できたと思うぞ?




貴族姉が言っているのも同じ事だろう


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