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117 勇者様とハンバーガー(その27)

「この剣は魔力を吸い取って力とするんだ」


そう言って勇者(おれ)は教皇の腹に剣を突き刺す


<ブスッ>





「ぎゃあああああっっ!」


身体中の魔力を強制的に吸い上げられる際の苦痛で教皇が絶叫を上げた




<グチャ>


勇者(おれ)が剣を引き抜くが腹に傷跡はない


相変わらずこの剣の特殊効果はスゴイ


イイ仕事しているな


・・・この決めセリフは師匠(異世界酒場店主)からの受け売りだ





「なあ凄いだろ?魔力を吸う魔剣だから身体に傷はつかないんだ」


勇者(おれ)は得意になって説明をする




もっとも身体中の魔力を吸い取られた教皇様はそれどころじゃなかったりする





え?


ひどい?


いやヒドイのはこの人(教皇)だよ


オレをこの世界に読んだ元凶その1


拉致監禁の犯罪者、だな





教皇(こいつ)が要らんこと考えなければオレは今頃高校生活をエンジョイしていたはず  ←古い


ひょっとして彼女だって出来ていたかもしれん


・・・すんません、盛りました、多分出来てなかったです、はい





それなのに何処かのアニメの少年兵さながらのブラック生活に叩き込んだんだ


自分達は安全なところでウマイもの食べて、暖かい布団でグッスリ寝てるんだぜ


ほらみなよ、このブヨブヨの身体


腹が出ていて、首なんて胴との境目が判らないくらい肉が付いている




こちとら粗末なペラペラの布を渡されて地面の上で寝させられたんだ


知っている?


地面の上で眠ると厚手の布を敷いてても冷気が地面から伝わってくるんだよ?


朝起きる頃には身体がすっかり冷え切っている


なんでオレがこんな苦労をしなければならないんだ、と毎朝思ったね





食べるものといえば乾燥肉やら、硬いパン


たまに村なんかでスープが出てくる程度


・・・街なんかだと人情がないからスープすら出ない、自己責任だとよ




それなのに教会関係者(こいつら)ときたらどいつもこいつもブクブク肥りやがって!


おまけに見るからにイイもの着ていやがる




だったら刀の錆、ではなく魔剣のエネルギー源となって貰おうではないか、というわけだ


もちろん魔剣は異世界に行けるという奴だ




いやね、最初は魔族をぶった切って異世界に行くためのエネルギーを溜めていたんだよ


そんでもって、たまるたんびに異世界、いや元いた世界に帰れるかという実験をしていた



ところが何回やっても地球につながらないんだよ




師匠(異世界酒場店主)曰く、池で泳いでいる魚を手づかみで掴んで当たりの魚をゲットするくらい、だと


ちなみに掴んで外れた魚は池に戻すという完璧に無理ゲー


・・・オレは地球に帰れるのだろうか?



失敗するたびにガックシ落ち込んだ


そんでもってしばらくすると帰りたいという気持ちをかき集めて魔族を討伐


そしてまたしても失敗する


以上を延々と繰り返した





勇者(おれ)が魔族を討伐するっていうと簡単そうにみえるけどそんなことはない


命がけ


誰だって死にたくはないからな


特に魔族なんて魔剣で切られて魔力を吸い取られると面白いように縮むんだよ


あるいは砂になる?


同族がそんな感じで殺されるのを見るとそりゃ死に物狂いで抵抗するよ


そうすると勇者(こちら)も無傷ではすまない




そこである時俺は気が付いた


魔族が難しいなら聖職者がいるじゃない




人間は魔力のみに生きるにあらず


よって魔剣で切って魔力を吸っても全然大丈夫


まあ、多少は、いや結構痛いみたい


でもまあ、そこは小さな犠牲ということで


・・・聖職者は好きだからね、小さな犠牲





俺が地球に帰れないのも


平民が魔族の犠牲になって死ぬのも


教会へのお布施したせいで ~ヒールで金貨3枚とるとかぼったくり~ 貧乏なのも


小さな犠牲


問題ない




だったらやってもらおう小さな犠牲




全員で提供してね、魔力をね   ←オレ渾身の作


っていうわけだ



教皇から牧師まで、独断と偏見で選ばせて頂きました


過去にオレに酷いことを言ったヤツ優先(ファースト)




そうしたらはかどる、はかどる


なんていっても戦闘がないからね


効率があがるってもんよ





まあ、吸い取られ過ぎで今後一切魔法が使えなくなることもあるかもしれない


ダメージを負ってしばらく寝たきりになるかもしれない


まあ、小さな犠牲


でいいんだよね?


返事は聞かないけどね




もっともオレが思いついたのではない


元ネタは師匠(異世界酒場店主)です


なんでも魔王の呪いを抑えきれない分を召喚した世界の御貴族様達に押し付けているんだとか


ときどき不幸な貴族が異世界に飛ばされて帰って来た時には茫然自失しているらしい


あるいは二度と帰ってこないこともあるとか


・・・南極とか火山に飛ばされたらそりゃ戻ってこないわな




やっているうちに楽しくなってきた


楽できる上に、復讐までできるという一石二鳥


笑いが止まりませんな


いや実際に笑いながら教皇様の腹に魔剣をブッ刺しているんだけどさ




完全に悪役?


いや正義の味方だよ


だって教皇(あく)を成敗しているから




しかし正義の味方はやめられませんな


日曜朝にノリノリでやっている訳が判ったね

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