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118 勇者様とハンバーガー(その28)

「貴様っ!娘を返せっ!」


宰相様が突撃してきた


オレが宿屋の1階で夕食を食べている時に、だ





・・・押し掛けてくる奴らって、なんでわざわざ食べている時にくるんだろうな


食事時になる確率って結構低いと思うんだが


ひょっとしてイヤガラセのためにタイミングを見計らっているのかね?






胸倉を掴まれてギリギリと締め上げられた


もっとも文官様なので全然苦しくない


残念だったな




しかしここまで怒るとは想定外だ


でも我ながらイイ仕事したと思う








状況を説明しよう




勇者(おれ)は魔剣を手に入れた


魔力を溜めると異世界に行けるという優れもの


いやー、イイ仕事してますな




ところが一つだけ問題があった


今まで行けた異世界に地球がなかったのだ




簡単に言うと・・・







<ビュッ>


剣を振るうとその軌跡に沿って空間が歪んだ





<ビュッ>


<ビュッ>


<ビュッ>


剣を振るうたびに歪んだ空間が広がっていった





できた空間の裂け目の向こうには別世界の景色が見える


ところがその別世界というのは地球ではありませんでした



と言う訳だ






それが10回くらい続いた所で気が付いた


だめだこりゃ


orz





結構悩んだ


そしていろんな人 ~魔法に精通している貴族とか、魔剣を作った人達とか~ からアドバイスを貰いいろいろ試してみた


・・・困り果てて、怪しげな呪術師にまですがったな




しかし悉く失敗した


絶望したな





なまじ帰れそうだというのがタチが悪い


諦めがつかんとですよ


・・・師匠、これはだれのマネなんですかね?






そこでオレは気が付いた


場所と時間が大事なのではないか?





・・・本当は師匠(異世界酒場店主)の受けうりだけどな


師匠が言っていたんだ


十干十二支がキーワードのタイムスリップ物がある




・・・マニアックすぎて弟子(おれ)はついていけてないぞ





もっと早く思い出せよ、オレ!


そう自分自身にツッコンだね




もっとも師匠はどこかの古本屋の店員が作ったという異世界転移リストの頭から最後までの100件以上の詳細を延々と休みなく喋っていたんだ


その詳細を全部思い出せるかと言われると自信がない


ある日突然、頭に思い浮かんだんだ


・・・良く思い出せたな






うん、師匠が悪い


どこから出したのかアロハシャツにわざわざ着替えて喋っていた


多分、オレの事はお構いなしに趣味に走ったのだろう


・・・師匠、元ネタがわからんぞ?





魔剣を作った人達にも聞いたら


「その可能性はある」


だった





早い話、オレがこの世界に召喚された場所で、特定の時間に魔剣を使えば地球につながるということだ


やったぜ!、と思ったが召喚の場所を知らなかった




そりゃそうだ


初めての場所で、いきなり召喚されてパニックになっていたんだ


それで正確な場所と行き方を知っていた方がおかしい





そんなわけでイロイロと聞いて回ったら宰相様が知っていることが判った


・・・本当は知っているヤツが他にもいるそうだけれど、誰だか判らなかった




そんなわけで仲間の貴族に売られた宰相様の所に無理矢理押し掛けて聞いてみた


ところが


「そんなことは知らん」


だよ





人を召喚、いや拉致監禁しておいてこの返事


イイ性格をしている





魔族と戦ってやったよな?


オレ役立ったよな?


そう言うと


「当然の仕事だ!」


などと言う始末




絶対に自分を中心に世界が回っていると思っているな


人は自分にかしづき、役に立て、だな


どう見ても、人のことを代わりがいる使い捨ての道具としかみていない




終いにはオレが


「死ぬかもしれない危険をおかしてまで闘かった」


と言ったら


「今、生きているではないか」


などと言いやがった





完璧に見下されているな


宰相様(そっち)がそう ~終わりよければすべてよし、犯罪だって帳消しだ!~ なら手加減はしない




師匠(じっちゃん)の名にかけて!


・・・師匠が言えというんだよ





その後のことだけれど宰相様の娘が行方不明になったそうだ


自宅のお庭 ~とても広い~ で遊んでいたらいつの間にかいなくなっていたそうだ






ワータイヘンダー


そう思っていたら宰相様が突撃してきた






「娘を返せ」と言われたから


「知りません」と返事したら


「ウソをつくな!ウソをっ!」と言われた






証拠もないのに失礼だよな






だから


「元気だね、なんかイイ事あったのかい」


と師匠から教えて貰った返事をしてみた


そうしたら宰相様の顔が怒りで真っ赤になった





さすが師匠、人を怒らせることに関しては一級品だ


そこに痺れる、憧れるっ!


・・・師匠、リアクションはこれであっている?






「娘さんいなくなったの?でも大丈夫だよ、きっと見つかるよ?そうすれば問題ない、犯人も無罪だね」


言ってやった




「このっ!」


宰相様がさらにヒートアップした




うんうん


イイ感じになってきた




やられたらやり返す、倍返しだっ!


師匠に言われているからな


師匠の教えに従ってやってみました




あ、やったのは口論に関してだけだぜ?


娘の方は知らない




たぶん、どこかの廃屋で見つかることだろう


無事に保護されればそれで解決さね


宰相様が言っていた


終わりよければすべて良し


犯罪だって咎められることはない





え?


勇者(おれ)はムカンケイだよ


オレがそんなことをする人間に見える?

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