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今日から俺は君のカノジョ  作者: もち大福


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第34話:ウタカタ

★前回のあらすじ

どうしたらいいんだろう…?

「……私たちは…友達ではいられなくなってしまう。」


……そう。


『私はずっと優衣ちの味方で、優衣ちの一番の友達です。』


触れてしまえば壊れてしまうような、脆くて弱いたった一つの私たちの繋がり。


『っうん!…約束、だよ?』


『はい、約束です。』


私たちを結ぶ唯一の約束。


壊したくない、失いたくないモノ。


だから逃げた。向き合うことから。


見たくないものに蓋をして、見えないふりをして、必死に縋り付いて。


私は……私たちは…。


「……怖いんです。」


「変わることが…変わってしまうことが…。」


『例え形を変えども、今までのことが全てなくなるわけでも否定されるわけでもない。』


わかってる。


『一心でいることが思いの証明ではない。』


わかってるんです。


『一心でいないことが裏切りの証左ではない。』


そんなこと。


「ずっとずっとわかってるのにっ…。」


「私は…ずっと変われないままでっ。」


「……いつもそうでした。」


「私はずっと…自分で選ぶことが怖かった。」


「自分が変わることが怖かった。」


「私のせいで、何かが変わってしまうことが怖かった。」


「他人を思いやるふりをして、自分では何も決断しない。」


「責任も、何もかも他人に投げつけて、自分は被害者を演じてっ……。」


「…そんなの嫌だって思っているのに…。」


『………。』


「…ごめんなさいあなたに当たるようなことをして。」


「今の言葉は忘れてください。」


『……雲山。』


「少し頭を冷やして来ます…すみませんが遅れる旨を紫鶴たちに伝えて…」


『何故、海晴の友達でいたいんだ。』


「……ぇ…。」


……何故……?


そんなの…。


『そこの学生さん。』


『え?』


『えっと…あの…もしかして私に話しかけました?』


「…初めは、ただのおせっかいだったんです。」


「…クラスも違う、小学校も違う、話したこともなければ共通の友達もいない。」


「それなのに…どうしてでしょうね…。」


「学校ですれ違うたびに、登下校で見かけるたびに。」


「あの子の姿が目に焼きついて離れなかった。」


「……私はずっとそれが不思議でならなかった。」


「なんでだろうって、ずっと考えていました。」


「でも。」


『…私何してるんだろう。』


「…あの時、気づいたんです。」


「あぁ…この子。」





「私にそっくりだなって…。」


「どうせ…自分の居場所なんてどこにもないって。」


「自分の言葉なんて聞いてもらえないって。」


「自分が望む結果なんて得られないって。」


「それなら…最初から期待しないほうがずっといいって。」


「諦めたように笑っていたんです。」


「だから…でしょうね。」


『元気がないように見えたのでぇ〜大丈夫かなぁ〜って思いましてぇ〜。』


『…ぇ、あ…まぁ大丈夫、ですけど。』


「つい…声をかけてしまいました。」


「ふふ、今思い返せばあの時の私、大分不審者じみてましたね。」


「……。」


「…暁月さん。」


「私はきっと…。」


「…あの子に…優衣ちに期待していたんだと思います。」


「もし…この子が自分の居場所を見つけられたなら。」


「自分が望んだ未来を歩めたなら。」


「…心の底から笑えたのなら……。」


「……私も…そうなれるんじゃないかって。」


「ずっと。」


「…優衣ちを通して夢をみていたんです。」


「…叶うことない泡沫の夢を。」


「バカですよね。」


「優衣ちは優衣ちで…私じゃないのに。」


「私は…勝手な期待であの子に幸せの形を押しつけたんです。」


「…それが間違いだったと気づいたのは。」


『ねぇ!別れるってどういうこと?なんで?私のこと好きじゃないの!?』


『ねぇ、私頑張るから。もっと一緒にいられるよう、好きになってもらえるよう頑張るから!だから…!』


『……無理。』


『…ぇ…。』


『悪いけど、無理だわ。』


『なんつーか…付き合いきれない。』


『ごめん。別れよ。』


ーーーーーー。


ーーーー。


『琴葉ちゃんだけは…いなくならないで。』


『私のっ味方でいて。』


『お願い…お願いだから…。』


『……優衣ち……。』


『……はい、勿論。』


『私はずっと優衣ちの味方で、優衣ちの一番の友達です。』


『っうん!…約束、だよ?』


『はい、約束です。』


「…ずっとずっと後のことでした。」


「私は…。」


「自分の幸せのために、優衣ちを壊したんです。」


『……。』


『雲山は。』


『その責任を取るために、海晴と友達でありたいのか?』


「……。」


私が……優衣ちと友達でありたい理由。


『私はずっと優衣ちの味方で、優衣ちの一番の友達です。』


『っうん!…約束、だよ?』


『はい、約束です。』


約束したから?


『もう、琴葉ちゃんのこと絶対傷つけたりしないから。』


『優衣ち……?』


『だから安心して。』


傷つけたくないから?


『それで…裕大くんと無事付き合うことになったんだ。』


『わぁ〜おめでとうございますぅ〜。良かったですねぇ〜優衣ち。』


『うん!琴葉ちゃんのおかげだよ。』


『いえいえ〜。私はただお話を聞いてただけですからぁ〜。』


『それでもだよ。すっごく心強かった!だからありがとう。』


責任があるから?











違う。


きっと…それだけじゃない。


『琴葉はさ。傍にいてやれば傷はきっと癒えてくれるーとか思ってたんだろうけど。』


『傷なんてもんはさ、塞がらないんだよ。』


『どれだけ保護して覆い隠したってさ、結局それで何とかなるのは見てくれだけ。』


『痛みも辛さも消えたりしない。』


『……まぁ、一緒にいたいっていうんなら止めないけど。』


『友達ごっこ。好きに続けなよ。』


…あーあ。


まさかあなたに気づかされるなんて。


「…本当…最悪です。」


『…雲山?』


「…いえ、こちらの話です。」


『そうか。』


「はい。……暁月さん。」


『………。』


「私は…今も後悔しています。」


「もしあの時こうしていたら、こうしなかったら。ちゃんと向き合えていれば。」


「それでも。」











「出会わなければ良かったとは一度たりとも思わなかった。」


「……私は、優衣ちと一緒にいたい。」


「だって…。」









「優衣ちのこと、大好きだから。」


「それは諸星さんの好きとも、優衣ちの好きとも違うかもしれないけれど。」


「…これが、私の中にある確かな想いです。」


『……そうか。』


『雲山。』


「…はい。」


『オレは、お前について知らないことの方が多い。』


『過してきた時間も、それほど多い方ではない。』


『だが。』


『オレは、お前自身が下した決断を何度もこの目で見ている。』


『故に、お前が他者に決断を委ねている人間だとは思わない。』


「そんなの…偶々で…。」


『そうかもしれないな。今後お前と過ごしていく中で、この考えだって変わっていくのかもしれない。』


「……。」


『雲山。以前言ったことを覚えているか。』


「……勉強会の時のことですか…?」


『あぁ。』


「…ふふ、まさか励ましの言葉でもくれるんですか?」


『まぁそんなところだ。』


『……雲山。』


『お前が海晴と話しづらいというのであれば話さなくても良い。』


「……ぇ……?」


『無理をしてまで全てを話さなければならないなんてことはない。』


「あ、暁月…さん?…」


『折角の忘年旅行なんだ。嫌なことは忘れて楽しく過ごせばいい。』


「ど、どうしちゃったんですか…?」


『安心しろ、誰もお前を責めたりしない。』


「っ暁月さんってば!」


『……と、こう言えば、お前の心は軽くなるか?』


「…ぁ……。」


「…………。」


「……暁月さん、そんなキャラでしたか…?」


『幻滅したか?』


「……いえ。」


「………ありがとうございます、暁月さん。」


「おかげでようやく向き合えた気がします。」


「自分の思いと…。」


『そうか。』


「…あ、でもできればさっきみたいなことはやめてもらえるとありがたいです。」


「どこかの誰かさんの姿が過ってしまうので。」


『……?』


「いえ、こちらの話です。」


「…暁月さん。」


「…集合時間、変更になったって皆さんに伝えていただいてもいいですか?」


『……あぁ、構わない。』


「ありがとうございます。」


『…雲山。』


「…はい?」


『頑張れよ。』


「……っ!」


「はいっ!」


★次回更新について


『今日から俺は君のカノジョ』の次回更新は11月6日(金)となります。

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