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今日から俺は君のカノジョ  作者: もち大福


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第32話:キョリ

★前回のあらすじ

疲れたときは一休み。

一通りの話が終わると暁月は手元の茶を口に含み、言葉を続ける。


「それから蒼也とはよく遊ぶようになった。」


「やれゲームだ漫画だサッカーだと連れ回されたものだ。」


「……喧嘩とか…合わないとか感じたりしなかったんですかぁ〜?」


「勿論あったさ。衝突だってしょっちゅうだった。今はそれほどでもないがな。」


「仲が深まったからってこと?」


「いや。まぁそれもあるかもしれないが一番は…。」


「距離があるからかもしれないな。」


「距離…ですかぁ〜?」


「あぁ。」


「なんかそれ、逆に仲が良くない風に聞いて取れるんだけど……。」


「聞こえはそうだろうな。だがオレが考えているのは違う。」


「距離とはすなわち世界であり関係であり視野だ。」


「……幼い頃、オレの世界は狭く、交友関係もそれほど広い方ではなかった。」


「視野だって、今と比較すれば明らかに狭く、見えてないもののほうが多かっただろう。」


「だが…。」


「知識を増やし、研鑽を積み、経験を重ね、数多の人と関わっていく中で、たくさんの見方が出来た。」


「"これしかない"と思っていたことに"それだけでは"ないと、オレに教えてくれた。」


「……好きだからと言って、常にそれとともにいなければならないわけではない。」


「一心でいることが思いの証明ではない。」


「一心でいないことが裏切りの証左ではない。」


「空木、雲山。」


「……。」


「……。」


「お母様も、お父様も、お祖母様も、お祖父様も、オレにとって大切な家族だ。」


「蒼也はオレの親友で大切な人だ。」


「そして。」


「二人もオレにとって大切な友人だ。」


「……燐君……。」


「………っ。」


「蒼也もオレと同じだ。」


「例え形を変えども、今までのことが全てなくなるわけでも否定されるわけでもない。」


「少なくとも…オレはそう思う。」


「さて話が長くなってしまったな。箏だったな。曲は何が……。」


「いや、この流れでさらっとそっちの話に戻るの!?」


「?元々そういう話だっただろう?」


「そうだけども!頼んだのはこっちだけども!え、嘘でしょ。今のしんみりした空気全部ガン無視する?普通。」


「…暁月さんってぇ〜、急に爆弾発言するタイプですからねぇ〜。」


「そういえばそうだったね…そんなタイプだった……。」


「以前も言われたがオレはそんなタイプになった覚えは…。」


「うん、ないだろうね。養殖じゃない天然だもんねそれ。」


「………?」


「はぁーー。まぁでもなんていうか…うん。それでこそ君って感じ。」


「わぁ〜振り回されてる紫鶴とか…ふふ…ちょっと胸がすくような気分になりますねぇ〜。」


「あんまり調子に乗るなよ琴葉。」


「ふふ……あはは!」


「こんのっ!」


『燐、入っていいか?』


「お祖父様。はい、どうぞ。』


"スッ"


「急に押し入ってすまないな、ご友人の方々。」


「あ、いえ……。」


「お構いなく。」


「どうかされたんですか?お祖父様。」


「何、実はな……これをお前に渡そうと思ってな。」


"ペラッ"


「……これは。」


「県を跨いだところある温泉宿の券らしくてな。何でも知る人ぞ知る秘湯らしい。」


「近くに大きな神社もあるようだし、忘年旅行と思って…どうだろうか?」


「それは…良い提案だと思いますが、何故オレに?お祖母様と一緒に行かれないのですか?」


「椿さんは仕事が入ってしまってな。私はあまりこういった遠出は好かんし、良ければご友人たちとどうかと思ってな。」


「わぁ!いいんですか?」


「ちょ、ちょっと紫鶴!」


「僕すっごく行きたいです!ね、いいよね燐君。」


「あなたね!何勝手に…。」


「あぁ。」


「暁月さん!?」


「?何か問題があっただろうか?」


「問題…といいますか……。」


「あ、これ最大5人までOKだって。1人は諸星君として、んー諸星君も来るんだったら海晴さんも呼んだほうがいいよねー…となると後1人…。」


「……。」


「…なんですか…。」


「ほら僕って優しいからさ。」


「記憶喪いました?」


「しょーがないから琴葉も仲間に入れてあげるよ。」


「結構です!そもそもどうしてあなたが仕切っているんですか!」


「まぁまぁそう照れずにさ。」


胡散臭い笑みを浮かべ、空木は雲山の方まで歩み寄ると耳元に顔を寄せ、ぽつりと言葉を漏らす。


「早いうち、海晴さんと話しておいた方がいいんじゃない?」


「……っ!」


「諸星君のこと、琴葉が仕組んだってきっと気づかれてるよ。」


「別に…気づかれたって何も…。」


「琴葉ちゃんはもしかして私が嫌になったのかな。」


「一緒にいたくなくなったのかな。」


「私から離れちゃうのかな。」


「っ!」


「今のあの子の思考回路じゃこんなこと考えてても不思議じゃないよね。」


「……。」


「で、どうするの?」


「……私…。」


「あなたのこと嫌いです。」


「奇遇だね、僕もだよ。」


「……暁さん、その旅行。」


「……私もご一緒していいですか?」


「あぁ、勿論だ。」


「……なら、決まりだね。」


「お祖父様、ありがとうございました。」


「あぁ。……燐。」


「はい。」


「楽しんで来なされ。」


「はい!」

★次回更新について

『今日から俺は君のカノジョ』の次回更新は10月23日(金)となります。


ープロフィール③ー

暁月燐

一人称:オレ

呼称:お前

男子→苗字+呼び捨て 

女子→苗字+呼び捨て

※蒼也のみ名前+呼び捨て

 

学年クラス:扇ヶ丘学園1年1組

誕生日:2月14日

血液型:AB型

身長:170cm

部活:剣道部

趣味:囲碁・将棋

得意な事:和楽器全般・料理

苦手な事:絵を描くこと

服の趣味:シンプル系

家族構成:祖母(箏曲家元)・祖父(剣道師範)

好みのタイプ:頼り甲斐のある人

好きな食べ物:鯛茶漬け

苦手な食べ物:ハツ

得意科目:現代文・古典

苦手科目:美術

選択教科:美術


質実剛健、真摯一貫な努力家男子。ムードメーカー的存在ではないが、その真面目さと義理高さ、ステータスの高さも相まって、生徒・教師から、絶大な信頼と尊敬を得ている。

人間関係は広く深く。

一見融通が効かないタイプに思われることが多いが、物事に対する柔軟性は結構高い。

生きた嘘発見装置。

蒼也とは小学校からの幼馴染で、互いに信頼を寄せている。



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