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今日から俺は君のカノジョ  作者: もち大福


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25/35

第25話:ウラギリ

★前回のあらすじ

頑張るよ。

「わ、私、芝崎くんのことが好きです。」


「だから…その…。」


「ふーん。なら俺ら付き合おっか。」


「い、いいの?」


「うん。俺も海晴のこと好きだし。」


「そ、そっか!ならこれからよろしくね。」


「よろしく。あ、付き合ったんだから苗字で呼ぶのもあれだよな。」


「これから優衣って呼ぶけどいい?」


「う、うん勿論。私も裕大くんって呼んでいいかな?」


「おう。じゃあそういうことで。」










「それで…裕大くんと無事付き合うことになったんだ。」


「わぁ〜おめでとうございますぅ〜。良かったですねぇ〜優衣ち。」


「うん!琴葉ちゃんのおかげだよ。」


「いえいえ〜。私はただお話を聞いてただけですからぁ〜。」


「それでもだよ。すっごく心強かった!だからありがとう。」


「ふふ。」


「あの…それでね、しばらく一緒に帰ったりとかできなくなっちゃうんだけど…でもこれは決して琴葉ちゃんから距離を置くとかじゃなくて…。」


「わかってますよぉ〜。彼氏さんとのラブラブタイムを大切にしてくださいねぇ〜。」


「ら、ラブラブタイムって‥…。」


「あれ?違いましたぁ〜?」


「うぅ…そうだけど…その言い方は流石に恥ずかしいっていうか…もう!」


「ふふ。」


……あぁ、幸せだな。


好きな人と両思いになれて。大切な友達がいて。


ずっとこんな時間が進めばいいのに。


……終わってほしくないなぁ。


…終わらせたくないな。


そのためにも、私はたくさん頑張らないと。










「あのね、裕大くん。もし良かったら今週の日曜日遊びに行かない?」


「今週の日曜日…あぁ、ごめん無理だわ。その日は先に友達と遊ぶ約束しててさ。」


「……それ、断れない?」


「え?」


「ただ遊ぶだけならさ、別に他の日でもいいでしょ?」


「そうだけどさ…それは優衣とだってそうだろ?」


「来週なら空いてるからさ。その日に遊びに行こうぜ?」


「……わかった。」


「んじゃあ約束な。」


「……裕大くんはさ…私のこと好き?」


「そりゃあ勿論。」


「…そっか。」


うん。大丈夫。まだ大丈夫。










「ねぇ、裕大くん。なんで昨日メッセージ返してくれなかったの?」


「ごめんごめん俺疲れて寝ちゃっててさ。」


「嘘。既読付いてるじゃん。」


「だからアプリ開いたまま寝落ちしたんだって。」


「つーか別にいいだろ、返信の一つや二つ。そんなに大事な用件でもないんだし、どうせ会うんだし必要ならあって話せばいいじゃん。」


「返信云々くらいでそんな怒んなよ。」


「……わかった。ごめんね、強く言い過ぎちゃって。」


「ねぇ、裕大くんはさ、私のこと好き?」


「……はいはい好きだよ。最近そればっかだなお前。」


大丈夫。大丈夫。










"ピンポーン"


「…はーい…って優衣?どうしたんだよ。」


「返信。」


「は?」


「返信なかったから。会って話しに来たの。」


「返信って……はぁ!?お前こんなこと聞きに、わざわざこんな遅くに訪ねて来たのかよ!?」


「だって……。」


「はぁ、呆れた。会って話せばいいってそういうことじゃねーんだよ。」


「……でも。」


「取り敢えずさ、お前今日は帰れよ。話ならまた明日学校で聞くから。」


「こっちは眠いんだよ。じゃあな。」


「っ待って!」


「……なに?」


「……裕大くんは、私のこと…好き、なんだよね?」


「……好きにも限度があんだろ。」


"バタンッ"


……大丈夫、なんだよね?


まだ、好きでいてくれてるよね?


もし、そうじゃないなら…。


「もっと…頑張らないと。」










「優衣ち。ちょっとお話いいですか?」


「なにかな?私今から裕大くんのところに行かないと。」


「あの、ですね…。」


「最近」


『なぁ、裕大。最近海晴さんとはどうなわけ?』


『どうって…。』


『ぶっちゃけさ、ヤバくね?もはやストーカーじゃん、あれ。』


『話の最中に無理矢理割り込んでくるしさ、空気読めてないっつーか、過干渉すぎるっつーか。』


『で、どうなのよ?』


『……正直、もう別れようと思ってる』


「……え?」


『返信の催促もしつこいし、夜家にまで押しかけられるし、行動に自由がないっつーか…めんどい。』


『だよなー。あれはキツイ。』


「ゆ、優衣ちっ。」


"ガラッ"


「……裕大くん。別れるってどういうこと?」


「優衣っ!?もしかして今の話聞いて…」


「ねぇ!別れるってどういうこと?なんで?私のこと好きじゃないの!?」


「ねぇ、私頑張るから。もっと一緒にいられるよう、好きになってもらえるよう頑張るから!だから…!」


「……無理。」


「…ぇ…。」


「悪いけど、無理だわ。」


「なんつーか…付き合いきれない。」


「ごめん。別れよ。」


「……っ!」


「…あっ!優衣ち!」










なんで?


なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?


私たくさん頑張ったよ?なのにどうして好きじゃなくなっちゃったの?別れようなんて言うの?


私、足りなかったのかな


それとも最初から間違ってたのかな。


そもそも私は愛されるような人間なんかじゃ


「優衣ち!」


「……琴葉ちゃん」


「はぁ…はぁ…良かった…ここに…いたんですね。」


「…なんで。」


「なんで私なんかのところに来たの?」


「だって私は……。」


「……ふぅ。全く。」


「…そんなの、優衣ちのことが心配だったからに決まってるじゃないですか。」


「心配…?」


「えぇ。大切なお友達が悲しんでいるんですから当然じゃないですか。」


「大切…?琴葉ちゃんは、私のことが大切なの…?」


「勿論。大切で大好きなお友達ですよ。」


「……っ。」


「あぁ、もうほら、泣かないでください。」


「っく…わた、私っ、もねっ。」


「琴葉ちゃんのこと、大切で大好きなお友達だって思ってるよ。」


「だからっ、だからねっ。」


「琴葉ちゃんだけは…いなくならないで。」


「私のっ味方でいて。」


「お願い…お願いだから…。」


「……優衣ち……。」


「……はい、勿論。」


「私はずっと優衣ちの味方で、優衣ちの一番の友達です。」


「っうん!…約束、だよ?」


「はい、約束です。」











「琴葉ちゃん、一緒に……」


「琴葉ちゃん今日はね……」


「琴葉ちゃん、次だけど…」


「琴葉ちゃん、今誰と話してたの?」


「ねぇ琴葉ちゃん。」


「琴葉ちゃん!」


「琴葉ちゃん?」


「琴葉ちゃんっ。」


「琴葉ちゃん。」









「琴葉!」


「っ!?」


「あのさ、寝るならリビングじゃなくて部屋で寝なよ。邪魔。」


「紫鶴……。」


「っあのですねぇ、そもそもここは私の家なんですけど!何殿様気分で居座りこんでるんですか!」


「あっれー?雲山家では客人は丁寧にもてなせって言う常識は教えてないのかな?」


「生憎と、無礼者は客人には含めないのがうちの常識ですから。」


「でも智樹おじさんと美根子おばさんは快く歓迎してくれたけどな。」


「っぐ!はぁ、もういいです。あなたの相手をしてると一気に疲れます。」


「それは優衣ちって友達よりも?」


「…は?なんで紫鶴がその名前を…。」


「だってほら、スマホ、ずっと鳴っててさ。うるさいからなんだろーって思って見てみたら…。」


「この子ヤバいね。この短時間にどんだけメッセージ送ってくるんだか。」


「何だっけ、これ。メンヘラって言うんだっけ?」


「返してください!」


「……ちょっと、急に大声で叫ばないでくれる?」


「いいから返して!」


「……で、返してどうすんの?」


「そんなの勿論…」


「この子に返信するの?やめといたら?」


「なんで紫鶴にそんなこと言われなくちゃいけないんですか。関係ないでしょ。」


「まぁ、確かに関係…いや現在進行形で騒音被害という被害を被ってるから関係あるね。うん。」


「ふざけないでください。」


「ふざけているのはそっちでしょ?」


「正直異常だよ。この子も君も。」


「こんなの友達じゃなくてただの依存関係じゃん。」


「それも一方的に君が吸われる側のさ。」


「そんなことっ!」


「なくないでしょ。」


「だからこんな騒音にも気づかないほど寝入っちゃってた訳だしさ。」


「…それは、別に…。他のことが重なってたまたま疲れがたまっていただけで……。」


「呆れた。もう完全なDV被害者のそれじゃん。」


「優衣ちをそんな風に言わないでください。」


「ほら、モロじゃん。」


「はぁ…そもそもなんでそんなにこの子を庇うのさ。そんなに大事?」


「自分を壊してまで加担するほどの価値があるの?」


「……っ。…だって…優衣ちは…私の大切な友達で…。」


「約束、したんです。」


「ずっと味方でいるって。一番の友達だって。」


「そうしないと……優衣ちは、優衣ちは……。」


「……壊れてしまうから。」


「……何言ってんの?」


「っ紫鶴にはわからないと思いますけど優衣ちは」


「もうとっくに壊れてんじゃん。」


「……ぇ…。」


「琴葉はさ。傍にいてやれば傷はきっと癒えてくれるーとか思ってたんだろうけど。」


「傷なんてもんはさ、塞がらないんだよ。」


「どれだけ保護して覆い隠したってさ、結局それで何とかなるのは見てくれだけ。」


「痛みも辛さも消えたりしない。」


「……まぁ、一緒にいたいっていうんなら止めないけど。」


「友達ごっこ。好きに続けなよ。」


「ただし僕は巻き込まないでよね。」


「…ぁ…。」


"ガチャリ"


「………。」


「……私、は…。」


「どう、したら……。」


「……酷い顔…ですね。」


「……ごめんなさい。優衣ち。」










「あ、おはよう!琴葉ちゃん!」


「………。」


「…ぇ…。」


「おはよう雲山。」


「おはよう!雲山さん。」


「おはようございますぅ〜岡島さん、小野田さん。」


「……琴葉、ちゃん?」









「琴葉ちゃん、一緒に…。」


「荒巻さん、次科学室でしたよねぇ〜。一緒にいいですかぁ〜?」


「勿論。行こう行こう。」










「琴葉ちゃ」


「皆さん、今日一緒にカフェに行きませんかぁ〜?」


「お、いいね!」


「何食べる?」


「私エッグタルトがいいなぁー。」


「……っねぇ!」


「……海晴さん?」


「琴葉ちゃん。カフェなら私と行こうよ。ね?」


「……あの…私は…。」


「あのさ。いい加減にしなよ。」


「……あなたには聞いて」


「芝崎の時もそうだったけどさ、あんたおかしいよ。」


「うん、琴葉が可哀想。」


「ここまで粘着されると怖いわ。」


「……そ、そんなこと!だって私と琴葉ちゃんは友達なんだよ!あなたたちにどうこう言われる筋合いはないの!」


「ねぇ、そうだよね?琴葉ちゃん。」


「……琴葉ちゃん。」


「残念だけど、琴葉はあんたと話したくないってさ。」


「嘘。嘘だよ。」


「嘘だよね!?琴葉ちゃん。だって約束したもんね?」


「琴葉ちゃんはあの人たちとは違うでしょう?」


「ねぇ?」


「ねぇってば!?」


「……。」


「……どうして…?」


















「はぁ、面倒くさいな。琴葉もあんな子とっとと見切りつけて離れたらいいのに。」


「……ん?」


「ねぇ、君何してんの。」


「ここの家に何か用?」


「…ぁ…あの。ここ琴葉ちゃんのお家です、よね。」


「あなたは琴葉ちゃんの何ですか…?」


「別に。ただの従姉弟だけど。それより質問に答えてくれない?」


「私は…ただ琴葉ちゃんに会いに来ただけで…。」


「そう?そんな話琴葉してなかったけど?」


「大丈夫です。友達なので。」


「ふーん。」


「……あのさ、君。」


「……?」


「琴葉のこと、ちゃんと見てる?」


「そんなの見てるに決まってるじゃないですか。」


「見ててそれなんだ。」


「…え?」


「あはは、気にしないで、こっちの話だから。」


「はぁ…。」


「それじゃあ、バイバイ。」


「……何だったんだろう…あの人。」


「…あ。」


"ピンポーン"


"ピンポーン"


"ピンポーン"


"ピンポーン"


"ピンポーン"


「……どうして?」


「どうしてでないの?」


『私はずっと優衣ちの味方で、優衣ちの一番の友達です。』


「……嘘つき。」


「嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき。」


「約束したのに。」


「また」


『……あのさ、君。』


『……?』


『琴葉のこと、ちゃんと見てる?』


「……あ、れ……。」


「おかしいな…なんで…私……」


"ガチャリ"


「……琴葉ちゃん。」


「……優衣ち。」


「……ぁ。」


私、馬鹿だ。


最低な人間だ。


ずっと近くにいたのに、何も見ていなかった。


目の下に浮かぶひどい隈。


蒼白い顔。


ボサボサの髪。


ヨレヨレの服。


出会った頃は、あんなにも見た目に気を遣っていたのに。


今はそれができなくなってる。


それはきっと……私のせい。


今、ようやくわかった。


私は……こんなにも……友達を追い詰めていたんだ。


「はは……。」


何を…してるんだろう。私。


私のやって来たことは全部間違いだった。


何が一番の友達だ。


そんな資格、私にはない。


「…優衣ち、私は…。」


「ごめんなさい。」


「優衣ち……?」


「たくさん、たくさん傷つけてごめんなさい。」


「苦しい思いをさせてごめんなさい。」


「私、琴葉ちゃんのこと、何も考えてなかった。」


「本当にごめんなさい。」


「……私の方こそ、無視してごめんなさい。」


「……うん。」


「それで…その、ですね。」


「大丈夫。」


「…え?」


「もう、琴葉ちゃんのこと絶対傷つけたりしないから。」


「優衣ち……?」


「だから安心して。」


大丈夫。


今度は間違えないようにするから。


この約束だけは裏切らないから。


だから…だからどうか。


離れないでほしい。


嫌いに…ならないでほしい。


ごめんなさい。


本当は、離れるべきなんだとは思う。


こんなことしておいて友達ヅラなんて、調子が良すぎるってわかってる。


でもでも。


やっぱり…独りぼっちは嫌なの。


…ごめんなさい。


本当にごめんなさい。


このわがままだけは…どうか許してください。




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