↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日から俺は君のカノジョ  作者: もち大福


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/35

第23話:ドウカ

★前回のあらすじ

心の傷。


ーー約4年前


「優衣ー。今日みんなで遥の家に行くんだけどさ、優衣も来る?」


「うん、行く。」


「OK。じゃあ放課後玄関前集合ね。」


「わかった。」


……あれから、私は中学校へと進級した。


年数が経つにつれ、離婚のことはだんだんと心の整理がつくようになってきたけれど、いまだにあの日のことは時々夢に見る。


お母さんとも、あまり話さなくなった。


仕事が忙しくて、家に帰らない日が増えたのもあるけど、それ以上にあの人と話す気にはなれなかった。


だから私もなるべく家にいないようにした。


その分、友達と一緒にいるようにした。


あまり仲良くないことの集まりにも参加するようになった。


楽しいか、楽しくないかと問われると正直楽しくない。


でも、それ以上に嫌だった。


独りになるのが怖かった。


「ねぇ、今日誰来るの?」


「えっとね………と、……と、それから優衣。」


「え?優衣ちゃん?」


「うん、ダメだった?」


「ダメってわけじゃないけどさ…あんまり話したことなかったから。」


………。


「……ねぇ。」


「っ!あれ?優衣、どうしたの?」


「……優衣ちゃん、もしかして今の話聞こえてた…?」


「話?何のこと?」


「う、ううん。何でもないの。」


「そう。あ、それでね。さっきの話何だけど、私今日用事があったのを思い出しちゃって。」


「ごめんなんだけど、なかったことにしてもらっていいかな?」


「え?わかった。」


「そうなんだ、残念だね。」


……嘘つき。本当はほっとしているくせに。


「うん。私も残念。また機会があったら誘ってほしいな。」


「勿論。」


……今日、どうしようかな。









「……ここ、どこだろう。」


結局、学校帰り、当てもないままふらふらと歩いてたら、見覚えのない場所まで来てしまった。


まぁいいか。そう遠くへは来てないはずだし、検索すれば帰り道も分かるだろうし。


……少し歩き疲れたし、ベンチで休もうかな。


「……ふぅ。」


「…私何してるんだろう。」


空を見上げれば、憎たらしいほど澄み渡った青空が広がっている。


私の心とはまるで正反対だな。


「そこの学生さん。」


「え?」


突然、背後から声をかけられた。


慌てて後ろを振り向くと、そこには私と同じ制服を着た女の子が立っていた。


「えっと…あの…もしかして私に話しかけました?」


「はい〜そうですよぉ〜。」


……なんだか独特な話し方をする子だな。


「…私に何か御用ですか?」


「用、と言うよりもぉ〜。」


「元気がないように見えたのでぇ〜大丈夫かなぁ〜って思いましてぇ〜。」


「…ぇ、あ…まぁ大丈夫、ですけど。」


「そうですかぁ〜。」


何なんだろう。この子。


正直今は虫の居所があまり良くないし、これ以上話していたくない。


……離れよう。


「それじゃあ私もう」


「ならぁ〜私のモデルになってくださ〜い。」


「……は?モデル…?」


「はい〜。ほらぁ〜、こっちこっち〜。」


「え、ちょ、ま、離してくださいっ。」


話し方とは反対に、行動があまりにも強引すぎるっ。


というか力強すぎない!?


抵抗も虚しく、あれよあれよと手を引かれ、公園の雑木林を進んでいく。


「ねぇ、一体どこへ連れてく気ですか!というかいい加減離してください!」


「は〜い。」


「え、わ、わぁっ!」


私の訴えに彼女は笑顔で答えるとぱっと掴んでいた手を離す。


急に手を離されて前方の支えがなくなったせいか、バランスを崩し、私はそのまま地面へと倒れ伏した。


……最悪だ。本当に何なのだろうかこの子。


ストレスが限界値に達し、イライラでどうにかなってしまいそうな気持ちを何とか鎮めるため、深呼吸をする。


このまま思いの丈をぶつけたとて、後々面倒臭いことになっても困る。


何しろ同じ学校の生徒だ。波風はなるべく立てたくない。


「あの…一体何なんですかっ、急に引っ張ったりしてっ。」


「ふふ、ごめんなさい。」


「いい撮影スポットがあったものですから、ついそこで撮りたくて。」


「ほら、綺麗でしょう?」


「撮影スポットって……。」


「……。」


息を呑んだ。


言葉が出なかった。


……そこには白い花園があった。


視界を埋め尽くす程広がる真っ白な花々。


風に吹かれ空を舞う白い花弁。


それらに寄り縋る鮮やかな羽をもつ蝶たち。


確かに、ここは絶好の撮影スポットかもしれない。


「いいところですよねぇ〜。」


「あまり人も来ないところなのでぇ〜私のお気に入りの場所なんですぅ〜。」


「……良かったんですか。」


「……?何がですかぁ〜?」


「そんなところに…赤の他人の私なんかを連れ来て。」


「……ふふ。」


「勿論です。」


そう言うと、彼女は鞄からカメラを取り出し、パシャリと私にレンズを向けてシャッターを切る。


「もっといいものが見れましたから。」


そう、彼女が笑って見せてくれた画面にはーー


ーーかすかに笑みを浮かべた私が写っていた。


「……こんなのの、どこがいいんですか。」


意味がわからない。


「えぇ〜、この良さがわからないなんてぇ〜まだまだですねぇ〜。」


でも、一つだけわかることがある。


「あ、そういえばぁ〜。自己紹介がまだでしたねぇ〜。うっかりうっかりぃ〜。」


きっとこの人は。


「私、雲山琴葉と言いますぅ〜。」


「よろしくお願いしますねぇ〜、学生さん。」


底抜けの、お人好しなんだ。


「……学生さんはやめてください。」


「海晴優衣。」


「それが、私の名前です。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。