第22話:リマインド
★前回のあらすじ
元カレ登場。
昔々あるところに、一人の少女がいました。
少女の名前は海晴優衣。
寂しがり屋で、甘えん坊な女の子。
少女はお母さんとお父さんが大好きでした。
お母さんも少女とお父さんが大好きでした。
お父さんも少女とお母さんが大好きでした。
みんながみんなを大好きでした。
「ゆい、おかあさんとおとうさんとずっとずーっといっしょにいる!」
「あらあら。」
「じゃあ約束だな。」
「うん!ゆびきりりげんまんうそついたらはりせんぼんのーます。ゆびきった!」
少女はとても幸せでした。
ずっとずっとずーーーっと。
幸せが続くと思っていました。
ーー7年前。
「……りこん……って?…どういう意味?」
「っねぇ、お母さん!お父さん!」
「……ごめんな、優衣。でももう決まったことなんだ。」
「決まった、って何?…え?」
「だって…二人ともあんなに仲良しで…。」
「ずっと…一緒にって…。」
「……ねぇ、離婚だなんて嘘だよね?」
「私、お母さんとお父さんのこと、大好きだよ?」
「二人だって、お互いのこと大好きでしょ?」
「優衣。」
「……お母さん。」
「悪いけど、もう無理なの。」
「……無理って…?っおかしいよ!だってそんなのっ!」
「優衣!」
「……っ!」
「……お願い、これ以上お母さんを困らせないで。」
「なぁ、優衣。お前は賢い子だからわかってくれるよな?」
「何…それ?」
「……っそうだ!約束!約束は?」
「ほら、一昨年約束したよね!ずっと一緒に……って……。」
「………。」
「………。」
「……は……」
「あははは…!……はぁ……。」
「……嘘つき。」
「っお母さんも!お父さんも!嘘ばっかり!」
「……嫌い。」
「お母さんも、お父さんも大っきらい!」
「「優衣!」」
それが少女とお父さんとの最後の会話でした。
少女が交わした約束は、いとも容易く破られたのです。
その日から、お父さんは少女の元から姿を消しました。
彼が今、どこで何をしているのか。
少女は知りません。
興味もありません。
大嫌いな人がどうなろうとどうでも良いのです。
どうでも良いと、思いたいのです。
心の傷を。痛みを。
少女は見ないふりをし続けました。
だから少女は気づかなかったのです。
その傷が、痛みが
じくじくじくじくじくじくと
大きく大きく広がっていることに。




