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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
決戦魔獣王城
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討伐作戦


レミューズの目で3国全ての対象者の調査を行った。

最低基準の炎耐性をクリアした者は数十人存在していたが、

他の属性耐性は11人を上回ることは無かった。

これにより、討伐隊員が正式に決定することとなった。


カイン王、バーバラ、レミューズの3人は、

様々な作戦を吟味し、計画を練っていた。

中には一見有効でありそうな奇抜な作戦もあったが、

結局のところ、ルシード王の記憶で見た方法を

選択することに落ち着いた。

今まで繰り返し行われてきた方法。

その全てが成功している。

つまり、魔獣王を倒す事ができたのだ。

だからこそ、魔獣王が存在しない時代があるのだ。



連合暦20年8月5日、カイン王国軍議室


バーバラ:「これより魔獣王討伐隊員を発表します。」

既に内々では決定されていたが、正式発表という形では

初めてであった。

バーバラ:「討伐隊ですが、最初に呼ばれたものが

     隊長となります。

     まず、魔獣王と直接対決する討伐隊ですが、

     レミューズ、パイン、アリス、シェリル、

     ジェイル、サールの6人。

     続いて救出隊ですが、

     カイン王、ドレアル、キャスバル王子、エッグ王子、

     バーバラの5人となります。」

キャスバル王子:「よろしいですか?」

バーバラ:「何か問題でも?」

キャスバル王子:「マスターレミューズは、わかります。

        しかし、他の5人が選ばれた理由は

        なんですか?」

バーバラ:「パイン、アリス、シェリルは、巫女です。」

キャスバル王子、エッグ王子:「!!」


バーバラ:「そして、残りの3人は、巫女に選ばれた者。

     不服がありますか?」

キャスバル王子:「なるほど、分かった。

        では、12人ではなく、

        11人である理由を聞かせてほしい。」

バーバラ:「それは、この指輪が理由です。」

そう言って、宝石箱に入った指輪を見せる。

エッグ王子:「それは、感応の指輪!!」

それは、カルラドの地下水路で使用した指輪だった。

バーバラ:「そうです。

     古代の遺物でもあり、各国の王家の宝の1つでも

     あります。

     3国で保有しているもの、

     ザイムに有ったものを全て

     集めさせていただきました。

     残念ながら12個目は発見することが

     できませんでしたが。

     パーティーの呪文は、最大6人。

     その上、遠い場合は会話はできません。」

エッグ王子:「なるほど。

      討伐隊全員の連絡用という訳か。」

バーバラ:「キャスバル王子、よろしいですか?」

キャスバル王子:「わかりました。」

バーバラ:「まず、作戦開始日ですが、

     10日後の8月15日とします。

     魔獣王城への侵入手順ですが、

     壺の再設置期間はおよそ3日と推測されるため。

     まず、8月7日からザイム経路の壺の回収を

     禁止します。

     これは、壺の設置時期を制御するために必要な

     行為であり、余裕をもった日数となります。

     8月13日に先行部隊を派遣し、

     ザイムまでの経路確保および壷の回収を行います。

     経路確保にかかる期間は2日から3日程度です。

     この方法は、過去に十数回実施されており、

     その全てが成功しているため、

     有効な方法であると考えます。

     8月15日早朝、討伐隊11人がザイムに向けて

     出発します。

     順調に進んだ場合、魔獣と戦闘にならずに、

     8月15日夕刻にザイム到着となります。

     ザイムで野営し、8月16日早朝に出発しますが、

     ザイムからは、2部隊に分けて隠密行動をとります。

     先行は、カイン王隊とします。」


作戦の最終決定段階で、このカイン王隊の先行については、

レミューズが最後まで反対した。

目を持つレミューズであれば、魔獣の位置を特定できると

進言したが、カイン王がそれを聞き入れることは無かった。

そして、カイン王はレミューズに対して魔獣王城到達を

優先する旨を告げた。


バーバラ:「カイン王隊は隠密行動により山道までの経路を

     探ってください。

     魔獣に発見された場合は作戦は中止となります。

     なお、作戦中止の場合は帰還の巻物あるいは呪文で

     即座に帰還することとします。

     レミューズ隊はカイン王隊からの指示を待ち、

     作戦の続行および中止の指示に従ってください。

     順調に進んだ場合、8月16日夕刻には、山頂付近の

     山小屋に到着できます。

     夜間は闇属性が強くなるため、魔獣王の力が増大する

     可能性があります。

     そのため、山小屋で朝まで待機し、

     城の北門から侵入します。

     北門以外の門には門番が存在するため、近づくことは

     禁止とします。

     また、城の各部屋には壺が存在する可能性が

     高いため、部屋の探索も禁止とします。

     もし、壺を発見しても近づくことを禁止します。

     魔獣王との対峙までの間に魔獣と遭遇した場合は、

     本作戦は中止とします。

     なお、巫女の言葉が正しければ、城内に侵入時に

     シェリルの記憶が戻ります。

     短時間でも魔獣王との戦闘に関する助言を

     受けるようにしてください。

     記憶が戻らない場合は、本作戦は中止とします。

     

     その後、城の中心部へと向かいます。

     城の中心部には広間があり、

     血呪草が植えられています。

     血呪草は魔獣界に存在する草で、

     呪いの効果を維持する力をもっています。

     まず、この血呪草をレミューズ隊が、

     油と炎の魔法で焼却します。

     焼却には時間がかかりますので、

     その間にレミューズのみカイン王隊と合流し、

     西門へと向かい救出作戦を実行します。

     残りの隊員は血呪草が燃え尽きるまで、

     その場で待機となります。

     なお、レミューズ不在のため、

     一時的に隊長をパインとします。

     血呪草の間に魔獣は存在しないと思われますが、

     警戒は決して怠らないようにしてください。

     

     レミューズは、呪いを封じる処置を行ったのちに

     血呪草の間へ戻りパイン達と合流します。

     

     カイン王隊は救出作戦を実行します。

     対象の帰還を実行し、その後余力があれば、

     レミューズ隊の掩護へと向かいます。

     

     レミューズと合流の後、2階へと上がり、

     王座の間で魔獣王と対峙することになります。

     2階への階段は幻術で守られている可能性が大です。

     己を見失わないように気を付けてください。

     2階に上がると扉があるはずです。

     扉の前で戦闘準備を行った後に突入してください。

     魔獣王との対決は一瞬で壊滅の恐れがあるため、

     細心の注意を払ってください。

     アリスはこの場でシヴァの召喚を行ってください。

        :

        :

     」


説明は淡々と続いた。

命を懸ける戦いであるにも関わらず、

まるで、隣町に買い物でも行くような説明だった。

しかし、これは多くの者にとってはありがたい事でもあった。


多くの者は作戦中止が多い理由を理解していた。

現状知りえた情報から導き出した作戦。

それ故に作戦中止はやむを得ない事だった。

判断の誤りは全滅にもつながるのだ。


バーバラの説明が始まって少したった頃、

ジェイルは震えていた。

シェリル:「ジェイル様。

     大丈夫ですか?」

シェリルが小声で語り掛ける。

ジェイル:「あぁ、大丈夫。

     武者震いだ。」

そう答えながら、自分にはわかっていた。

この震えは武者震いなどではなく、

恐怖に怯える震えであることを、、、。


ジェイルは怖かった。

パイン達と出会い、魔獣とも戦った。

しかし、あれとは違うのだ。

そう、魔獣王なのだ。


『魔獣王』


魔獣の頂点に立つ者。

その称号は、破壊を尊ぶ魔獣達にとっては、

もっとも強い者が授かる位だろう。


バーバラの呼び出した魔獣。

あれはザイムの先に出現する魔獣であり、

その強さはバーバラに匹敵すると言っていた。

あの魔獣を従わせているのが魔獣王なのだ。

その強さは計り知れない。

果たして、シヴァとどちらが強いのだろうか?

ジェイルはシヴァとの戦いを思い出した。

あの時は、多くの傭兵や魔導士に守られていた。

自分は戦闘をせずに指揮のみだった。

いや、指揮すらしていなかった。

しかし、今回は違う。

自ら魔獣王と戦わなければならない。

作戦が開始されたら、後戻りはできない。

そう考えた時、体の震えが始まった。


そして、それを抑え込むように自らに刻み込もうとした。

ジェイル:(今までも魔獣王と戦い勝利してきたからこそ、

     魔獣王が復活したんだ。

     決して勝てない相手ではない。

     そう、シェリルを守らなければならない。

     ベルノを救出しなければならない。

     この恐怖に打ち勝ってこその勇気。)

ジェイルは同じことを何回も繰り返し考えた。


その時、バーバラがアリスの名前を読み上げた。

ジェイル:(そうだ、アリスがいる。

     そう、今回はあのシヴァが味方なんだ。

     あれだけの人数で勝利できなかった、

     あのシヴァがいるんだ。

     そうだ、レミューズ師匠もいる。

     パインもいる。

     サールもいるんだ。)

この考えはジェイルの体の震えを抑えるには十分だった。


しかし、カイン王がもしこのことを知ったら言っただろう。

 「人の精神は弱いものだ。

 何かを拠り所にすることは、一概に間違えではない。

 しかし己以外を拠り所にする事は、本当の勇気とは言えない。

 物や他者に頼った場合、それが崩れれば全てが崩れ去る。

 それを予想していなければ混乱するだろう。

 勇気とは自信から生まれる。

 但し、注意すべき事もある。

 自信からは過信も生まれ、過信からは無謀が生まれる。

 不可能と判断したら撤退する事も、また勇気である。

 自信とは努力、経験、そしてそれらの結果から生まれる。

 結果が失敗に終わったら何が問題かを探り、

 同じ過ちを繰り返さない事だ。

 そして、己のできる事を全てやり遂げ、

 準備万端の上、冷静に戦いに挑むのだ。

 そう、『人事を尽くして天命を待つ』のだ。」と。


C、A:「お久しぶりです。」

A:「最後のカイン王の下りは、かなり痛い言葉です。」

C:「生死の戦いを繰り返した英雄であるからこその

  発言でしょう。

  あくまで私の予想ですが、初めて魔獣王城に突入した時に

  キースとルキアが戦死していることが、

  心に残っているのでしょう。

  あの時、事前に迂闊な行動をとらないように言っていれば

  問題は起きなかったと思っているふしがあります。」

A:「なるほど。

  でも、私は勇気が無くてもいいですw

  出来れば怠けたいですから、、、。」

C:「まあ、それも一つの人生ですね。」

A:「ところで、

  『続魔獣の壺 - 番外編 - 多次元世界への招待』というのが

  ありますが、これは何でしょう?」

C:「以前に告知しました、魔獣の壺の続編の設定資料です。

  六界がどのように存在しているのかを

  説明したものとなります。」

A:「読むと、六界がどのように存在しているか想像できると

  いうことですね。」

C:「たぶん。」


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