属性耐性と人体強化
連合暦20年7月22日、カイン王国
修業の為、カイン王とパインは剣を交えていた。
そして、数度の剣の交わりで、ある事に気が付いた。
カイン王はパインから距離を取ると言った。
カイン王:「いったん中止だ。」
そして、剣を前に突き出し横に倒す。
カイン王:「パイン、この剣を思いっきり打ってくれ。」
何事かと思いながらも指示に従った。
パインの剣が振り下ろされ、カイン王の持つ剣にあたる。
カイン王の持つ剣の剣先は少し揺らいだ程度だった。
カイン王:(やはり、軽い。
これで、魔獣王に傷をつける事ができるのか?)
修業を中止し王宮へ戻ると、バーバラに使者を送った。
連合暦20年7月28日、カイン王国軍議室
カイン王とバーバラが2人で密談をしていた。
バーバラ:「、、、ということです。」
カイン王:「そうか、無事に目は手に入れたようだな。
至急属性耐性の調査を行ってくれ。
まずは、傭兵とA級ライセンス保持者だ。
方法はレミューズと相談してくれ。」
バーバラ:「御意。」
カイン王:(巫女の言葉も気になるが、、、。)
その言葉の一つ一つが何か重要なことを暗示しているように
思えてならなかった。
カイン王:「ところで、パインの件だが、、、。」
バーバラ:「はい、レミューズが何か思いついたようです。」
カイン王:「そうか、安心した。
パインには、攻撃が当たる瞬間に力を込める事、
体重をかける事を意識するように指示した。
そして、今は突きの修行をしている。
しかし、何処まで通用するか疑問が残る。
レミューズはどのぐらいの期間を要求した?」
バーバラ:「最低でも5日はかかると言っていましたので、
そろそろかと思います。」
カイン王:「そうか、
では近日中に作戦を決めよう。
各国および討伐隊員に伝えるように。」
バーバラ:「御意」
カイン王:「あと、例の指輪だが最後の1個は
やはり発見できなかった。」
バーバラ:「そうですか、では11人で決定ということ
でしょうか?」
カイン王:「あぁ、そうだなるだろうな。」
バーバラ:「別の件で話しておきたいことがあります。」
カイン王:「わかった、聞こう。」
この後、カイン王とバーバラは魔獣との戦いについて密談した。
この密談により、カイン王の運命は大きく変わって行く。
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レミューズの目による耐性調査はさまざまな対象で実施された。
傭兵はもちろん、A級ライセンス取得者は、訳の分からないまま
一か所に集められレミューズの目によって選別された。
さらに、魔獣についても同様の調査が行われた。
既に闇属性と炎の属性に特化していることが判明していたが、
耐性に対する調査はされていなかったためである。
結果は予想通り、闇属性と炎属性が高かった。
予想外であったことが、氷属性の耐性が予想よりも
高かったことであった。
レミューズはこのことに対して以下のような見解を示した。
対象の属性耐性は、属性に影響する。
正反対の属性は打ち消し合いその効果を減少させる。
つまり、正反対の属性攻撃は打ち消し合いにより効果を
減少させるということであった。
そして、討伐隊員選別という目的の為、
基準を設けることとなった。
巫女の選んだ6人の内、最も高い炎耐性を上限とし、
最も低い炎耐性を下限とする。
最も高い炎耐性を示したのはシェリルであり、最も低い炎耐性を
示したのはサールであった。
危惧すべきことは、総じて呪い耐性が低いことであった。
石化した仲間を救出するためには、
西門の門番である呪いの魔獣と戦うはめになる。
レミューズには案があるという事であったが、
呪い耐性が高いに越したことはない。
この件は、最後までカイン王、バーバラ、レミューズの3人を
悩ませた。
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連合暦20年8月1日、カイン王国軍議室
軍議室には討伐隊員が集合していた。
カイン王、バーバラ、レミューズ、ドレアル、パイン、アリス、
シェリル、ジェイル、サールの9人。
まず、バーバラが現状報告を始めた。
バーバラ:「まず、ゼロスの動向についてですが、
特にそれと分かる行動はありませんでした。
そのためゼロスについては、進展はありません。
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次は、属性耐性の調査についてです。
レミューズの属性耐性を見る目で、
大半の者を調べましたが、
最低基準をクリアする者はいませんでした。
つまり、ここにいる9人のみとなります。
引き続き他国の調査を開始する予定です。
以上となります。」
バーバラが現状報告を済ませたところで、
軍議室の扉が突然開いた。
全員がそちらに注目する。
扉に立っていたのは、エッグ王子とキャスバル王子であった。
カイン王:「何事ですかな?」
キャスバル王子:「大変失礼いたしました。
魔獣王討伐についての話し合いという事で、
取り急ぎ参上した次第です。」
カイン王:「エッグ王子も同様ですかな?」
エッグ王子:「はい、そうです。」
カイン王:「レミューズすまないが、2人をみてもらえるかな。」
レミューズ:「はい。」
すると、レミューズの瞳が緑色に変わった。
そして、2人を見つめる。
レミューズ:「他の者とくらべ、若干低いようですが、
お二方とも最低基準はクリアしています。
しかし、特筆すべき点があります。
呪の耐性が他の者より高いようです。」
レミューズの行動に2人は困惑した。
カイン王:「ほう、呪い耐性が、、、。
お二人とも、まずはお座りください。」
エッグ王子とキャスバル王子は、その言葉に従い席に座る。
席に着いた途端、キャスバル王子が険しい顔をして言った。
キャスバル王子:「カイン王。
いきなり品定めとは、どういうことですか?」
エッグ王子も同様に険しい顔をしていた。
カイン王:「これは、申し訳ない。」
カイン王は2人に属性耐性について説明した。
カイン王:「・・・という訳です。
ルシード王とカルラド王には
本日、属性耐性調査についての親書を
お送りしました。
我々も切羽詰まっております。
ご無礼をお許しください。」
2人も納得したようで、それ以上の反論はなかった。
エッグ王子:「ところで、我々2人は合格でしょうか?」
カイン王は、レミューズを見た。
頷くレミューズ。
カイン王:「もちろん、合格です。」
その言葉に、2人の険しい顔が笑顔に変わった。
キャスバル王子:「安心しました。
我々は、魔獣王の討伐隊に参加を願う為に
来たのですから。」
カイン王:「なんと、討伐隊に参加して頂けるのですか。
それは助かります。
こちらからもお願いします。」
その後、長時間にわたる議論の上、様々な作戦が立てられた。
作戦の最終決定は魔獣王の城まで到達したことのある、
カイン王、バーバラ、そしてレミューズにゆだねられた。
そして軍議の後、レミューズとパインの間で話し合いが
行われた。
レミューズ:「カイン王から聞いていると思うが、
パインの剣には重みがない。」
パイン:「はい、そうなんです。
指示されたとおり繰り返してはいるのですが、
どうもうまくいかなくて。」
気落ちするパインに言った。
レミューズ:「パイン、気負いすぎではないか?
カイン王が精神的に強いのは経験の差だ。
幾たびも生死にかかわるような窮地を
乗り越えてきた。
しかし、それはカイン王1人の力ではない。
その裏にいた幾多の協力者のおかげだ。
知恵を集め打開策を模索していったのだ。
しかし、導き出された答えが全て正しいという
わけでもない。
失敗を繰り返しながら最終解へと向かっていった。
全ての苦境を乗り越え、己の糧としていったことが
経験となり、今のカイン王があるのだ。
さて、講釈はここまでだ。
まず、言っておかなければならないことがある。
残念ながら人体強化を行う魔法は存在しない。
そこで秘策を用意した。」
レミューズはパインの前に指先から肩まで覆う腕当てを
差し出した。
レミューズ:「残念ながら私は手先が器用ではない。
大きくて申し訳ないが、
これを受け取ってほしい。
念じながら剣を振るえば、強力な一撃を与える事が
できるだろう。
しかし、リスクも伴う。」
パイン:「リスクですか?」
レミューズ:「火事場の馬鹿力というのを聞いたことは無いか?」
パイン:「それって、危機が差し迫った時とかに発揮される、
普段は出せないような力のことですか?」
レミューズ:「ほう、知っているようだな。
ならば話が早い。」
パイン:「いえ、親父から聞いた事があっただけです。
本当にそんなことができるのですか?」
レミューズ:「あぁ、可能だ。
人は本来だせる力の7-8割しか発揮していない。
常に全力が出せたら筋肉や骨が損傷する可能性が
あるからだ。
そのため、意識して実行できないような安全装置が
ついている。
これに付けた魔法は念じることにより、
その安全装置を強制的に解除するものだ。
さらに活性化が行われる。
それゆえに普段では出せないような一撃を出す事が
出来る訳だ。
しかし、その力に筋肉や骨が耐えられなければ
負傷することになるだろう。
小手の強度で骨は問題ないだろうが、筋肉は別だ。
補助魔法はいくつかつけてはあるが、
どこまで効果があるかは、私にも解らない。」
パイン:「筋肉の損傷ですか、、、。
剣が振るえなくなるという意味でしょうか?」
レミューズ:「そうではない。
筋肉は多くの筋繊維が集まって作られている。
その中の一部が損傷する可能性がある
ということだ。
筋肉痛にはなったことはあるか?」
パイン:「はい。」
レミューズ:「あれの強力なものと思えばよい。」
パイン:「うへっ。」
レミューズ:「後は、疲労だ。
魔法と違い精神的な疲労ではなく、
肉体的な疲労だ。
通常より多くの疲労が蓄積するだろう。」
パイン:「アリスに疲労を回復してもらったことがありますけど、
魔法で何とかならないのですか?」
レミューズ:「神聖魔法で効果の大きい魔法は、
相手に触れるか、手をかざして
祈らなければならない。
つまり、近づかなければならないという事だ。」
パイン:「そうですか。
さすがに戦闘中に駆け寄るわけにはいきませんね。
だとすると、できれば使わない方が良い
という事ですか?」
レミューズ:「そうだな。
できれば、だがな。」
C、A:「お久しぶりです。」
A:「先生。
属性耐性がいまいちわからないのですが。」
C:「属性は、魔法取得の為の属性と生まれつき持っている
属性耐性に分かれます。
属性は、同一属性耐性には大きく、
反対属性耐性には小さく影響を及ぼします。
打ち消し合いの効果により、反対属性が必ずしも
弱点属性になるわけではありません。」
A:「なるほど、それで炎属性の魔獣に対して氷属性(水属性)の
シヴァの攻撃が有効ではないのですね。」
C:「その通りです。
ちなみに、渦雷の剣は雷属性のため、効果がある
というわけです。」




