帰還
連合暦20年7月21日、、カイン王国軍議室
魔獣王討伐について、毎日のように議論が行われていたが、
議論があまりにも進展しないため、現状を纏める事となった。
カイン王:「バーバラに情報を纏めてもらった。
まずは聞いてもらいたい。
バーバラ頼む。」
バーバラ:「はい。
今までに知りえた情報を元に魔獣王討伐における
最低限必要と思われる人および道具等について
纏めました。
人は、巫女2人とベンヌの守護者1人。
巫女は、炎の巫女と氷の巫女となります。
道具は、渦雷の剣、大河の水差しです。
他の魔法具は、討伐の時間を短縮するのみであり、
特に必要はないと考えられます。
あと、必要であれば、血呪草を燃やすための油です。」
カイン王:「1つ1つ検討していくとしよう。
まず巫女は、どうなっているのか?」
バーバラ:「はい。
氷の巫女ですが、アリスで間違いないと思われます。
但し、現在の情報ではシヴァの召喚はできません。
現在、アリスはシヴァの召喚のためベンヌに
会っています。
炎の巫女ですが、シェリルの可能性が高いと
思われます。
しかし、記憶の問題で本人の自覚がないのが
現状です。
様々な魔法で調査を行いましたが、
記憶を戻す方法が分かっておりません。
可能性としては、何かしらのきっかけが必要なのだと
思われます。
一つの例ですが、魔獣王を見るとか、そう言った
条件が必要なのだと思われます。」
カイン王:「んー。
それは、困ったな。
問題は、2つか。
まずは、シェリルが炎の巫女であるかどうかだ。
もう一つは、条件が何なのか分からないことだ。
この2つが成立しない限り炎の巫女と判明しない。」
シェリルは、すまなそうな顔をして話を聞いている。
ジェイルがそれに気づき耳元で何かを話始めた。
カイン王もそれに気づいた。。
カイン王:「シェリル。
別に炎の巫女であることを疑っているわけでは無い。
しかし、あやふやな状態で魔獣王城に突入することは
あまりにも危険なのだ。
少しでも可能性を上げられる方が良いという事だ。
それに、バーバラも言っていたが、記憶については、
何かしらの条件が必要と思われる。
その時にならなければ戻ることは無いのだろう。
気に病むことは無い。」
その言葉で、シェリルも少しは落ち着いたようだったが、
真面目な性格のシェリルには、『暖簾に腕押し』
だったかもしれない。
バーバラは、何事もなかったかのように話を続けた。
バーバラ:「次に、ベンヌの守護者についてです。
サールからパインがアリスと共にベンヌとの契約に
向かったと聞いています。
契約が成功すれば、ベンヌの守護者については、
問題が解決されると考えられます。」
カイン王:「ところで、パインとアリスについての情報は
無いのか?」
バーバラ:「はい。
まだ、ありません。」
カイン王:「そうか、では話を続けよう。」
バーバラ:「はい。
続いて、メルクリウスの魔法具についてです。
魔法具は、6つ存在しているようですが、
そのうち2つ、炎の剣と大河の水差を入手
しております。
こちらがその2つです。」
そう言って、2つの魔法具を机の上に置いた。
バーバラ:「ルシードの初代王の話から、魔獣王の討伐には、
渦雷の剣が必要であると考えられます。
八方手を尽くしておりますが、残念ながらその所在は、 明らかになっておりません。」
カイン王:「そうか、最優先事項は渦雷の剣の行方を、、、。」
カイン王は異変に気付き、話すのをやめた。
そして、一点をじっと見つめた。
周りの者達もカイン王の視線の先を見た。
部屋の角にこぶし大の真っ白く光る玉が浮いていたのだ。
しかも、次第に大きくなって行く。
カイン王:「すぐにこちら側へ来るのだ。」
カイン王は光の玉の対角の位置へと誘導する。
全員が移動し終わると、最後に机の炎の剣を手に取り、
光の玉をじっと見つめた。
その間、光の玉は次第に大きくなっていった。
カイン王:「バーバラ、結界はどうなっている。
まさか、結界が破られたとでも言うのか?」
バーバラは、すぐに呪文を唱えた。
バーバラ:「いえ、結界は存在しています。」
カイン王:「どういうことなのだ。」
光の玉は、人が数人入れる大きさまで巨大化した。
ドレアル:「むぅ、なにが起ころうというのじゃ。」
その時、光の玉が目をくらます程の光を放った。
視界が回復すると、そこに2人の人物が立っているのが分かった。
最初に声を上げたのは、シェリルだった。
シェリル:「ア、アリスさん?」
サール:「パインなのか?」
2人は前の顔つきとは打って変わって、決意に満ちた真剣な
顔つきだった。
カイン王:「よく帰ってきたな。
それにしても、結界を破るとはな。」
パインとアリスは、一度会釈をすると言った。
パイン:「いえ、あれはベンヌの力ですし、
それに、結界が光属性だったので、
同調できたらしいです。」
カイン王:「らしいとは?」
パイン:「ベンヌがそう言っているのです。
それをそのまま伝えただけです。」
カイン王:「そうか。
2人とも、いい顔つきになったな。」
パイン:「ありがとうございます。
早速で申し訳ないのですが、
今つかんでいる情報を聞かせてもらえませんか?」
カイン王:「ああ、もちろんだ。
そちらの情報も教えてほしいしな。」
パイン:「残念ですが、ご期待に沿えない可能性もあります。」
そう言って、2人は左手を持ち上げた。
そこには、金属と思われる腕輪がはめられていた。
それを見たカイン王は、つぶやいた。
カイン王:「誓いの腕輪か、、、。」
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誓い(決意)の腕輪(とある魔導書からの抜粋)
誓いの腕輪は、誓いを己に課すための腕輪である。
軽犯罪者の再犯を抑えるために使われているが、
一部の魔導士が誓いを己に課すために使い始めた。
その効果は誓いの内容を他者に伝える行為および
誓いを破る行為が出来なくなるというものだ。
発言や行動が制限される魔法と考えればよい。
しかし単に制限されるだけではなく、
本人が関係すると認識した時点で、
直接関係ない事でも制限される。
つまり、本人が認識している限り、破る事は不可能となる。
誓いを破ることを他者にやらせようとしても、
それを認識しているかぎり指示することもできない。
さらに、腕輪自体が効果を継続するわけでは無く、
あくまでも発動条件の1つでしかない。
このため、腕輪を外した場合でも効果は持続する。
効果の解除は、腕輪を制作した者のみが可能となる。
しかし犯罪者の再犯を抑えるという性質上、制作者は極秘と
されている上に、自分から探すという行為自体ができないため、
制作者との接触はほぼ不可能だろう。
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少し考えてからレミューズは言った
レミューズ:「ならば、こうしましょう。
まずパインとアリスが話せる内容を先に
話してほしい。
質問などはしないように注意してくれ。
その後、こちら側が話そう。」
レミューズは、質問による新たな制約が作られる前に、
パインとアリスから情報を聞き出す事を提案した。
バーバラ:「なるほど、それならば新たな制約を防げるな。」
ドレアル:「それは、いい案じゃな。」
カイン王:「よし、パイン、アリス、それでよいかな?」
パイン、アリス:「はい、わかりました。」
そして、パインが言葉を選びながら話始めた。
パイン:「まず、ベンヌ自体に関する事はお話できません。
私は、ベンヌと契約を結ぶことができました。
これにより、アリスがシヴァを召喚することが
できるようになりました。」
この言葉にどよめきが上がるが、カイン王がそれを制した。
アリス:「シヴァの召喚ですが、残念ながら魔獣王との決戦まで
召喚できないことを付け加えておきます。」
カイン王:「むぅ。」
パイン:「次に、この剣を賜りました。」
そう言って、背中の剣を机の上に置く。
パイン:「この剣は、メルクリウスの言うところの、
渦雷の剣です。」
皆が剣に注目した。
その剣は炎の剣と同じように豪華な装飾など無く、
いたって普通の剣だった。
ただ、炎の剣と異なり、剣身に魔法文字が浮かび上がり、
それが紫色の光を帯びていた。
カイン王:「それが、渦雷の剣か。」
パイン:「はい、残念ですが、今話せることはこれだけです。」
カイン王:「いや、最低限の情報は手に入った。
次は我々が話す番だな。
バーバラ頼む。」
バーバラは、今まで起こったことを簡潔に話していった。
バーバラ:「・・・と、言う事だ。
質問があれば、聞いてくれ。」
パイン:「ゼロスの件ですが。
詳しい事は話せませんが、相手にしてはなりません。
好きに行動させることが、最善の方法です。
但し、ゼロス以外は、排除しても問題ありません。」
カイン王:「そちまでも、そう進言するのか。
わかった。
ゼロスに関しては、その方向で検討しよう。
他には何かあるか?」
パイン:「炎の剣の事ですが、残念ながら、
この剣は奉納されていませんでした。」
カイン王:「どういう意味だ?」
パイン:「渦雷の剣と炎の剣を見ればわかると思いますが、
剣身に魔法文字が浮かんでおりません。
こえれは、魔法の力が蓄えられていないという事です。
本来ならば、ベンヌに奉納しなければ
ならなかったのです。」
カイン王:「ならば、すぐに奉納しなければならないのか?」
パイン:「魔法の力を蓄えるには、100年という年月が必要に
なります。
残念ながら、魔獣王との決戦には間に合いません。」
カイン王:「ならば、どうしろと?」
パイン:「炎の剣なしで戦う事になります。」
カイン王:「それで勝てるのか?」
パイン:「苦戦はすると思われますが、勝つことは出来ます。」
カイン王:「そうか、安心した。
ほかには何かあるか?」
パイン:「はい。
炎の巫女の件です。
シェリルは炎の巫女であると思いますが、
どうしても確証がほしいというのであれば、
確認する方法が1つあります。」
カイン王:「それは、どうするのだ?」
パイン:「炎の巫女であるならば、巫女の精神を
受け継いでいるのです。
それを一時、呼び覚ませば確認することができます。
シェリルが同意するならばですが、、、。」
シェリルは驚き、そして下を向いて黙ってしまった。
それを見たジェイルがパインに言った。
ジェイル:「おいパイン、それをやって、
シェリルに害が及ばないだろうな?」
パイン:「あぁ、問題はない。」
アリスも同時に頷く。
カイン王はシェリルを見ると言った。
カイン王:「シェリル、どうだやってくれるか?」
その声にびくっと反応するとカイン王の方を見た。
どうやら自分なりの結論を出したようだった。
シェリル:「はい。やります。」
その声に迷いはなかった。
C,A:お久しぶりです。
A:誓いの腕輪を自分からつける人がいるって、、、。
C:そうですね。
ところで、この世界の最高刑罰って何か知ってますか?
A:知りません。
C:無限投獄が最高刑です。
A:無期じゃないんですか?
C:はい、無限です。
この刑罰は、1分が1日の感覚をもって、
何も存在しない空間に投獄されます。
動くこともできず、眠る事もできず、お腹も空きません。
当然、病気にもなりません。
そして、寿命を迎えるまで投獄されます。
刑を受ける者が10年投獄されたとすると、
14400年投獄されている感覚になるわけです。
ちなみに、この刑が施行された犯罪者は、
今までに1人しかいないそうです。
A:それって、怖すぎです。




