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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
ベンヌの住まう山
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間諜

これは、神殿に入る前の出来事である。

連合暦20年7月14日、夜、ルシード王国


バーバラは、サールの部屋の前にいた。

朝にサールを怒ったことに対する謝罪をするつもりだった。

バーバラは、1度深呼吸をすると、扉をノックした。


サール:「はい、どなたですか?」

バーバラ:「私だ。バーバラだ。」

すぐに扉が開き、サールが顔を出す。

サールはバーバラの顔をみると、部屋の中へと招き入れた。

部屋は、大きかった。

元々は賓客の宿泊施設である。

各部屋の内装は全てが異なっているらしく、この部屋は

落ち着いた雰囲気に装飾されていた。

バーバラは、興味本位で部屋の中を見回した。

薦められるまま椅子にすわると、しばらくの間雑談をした。

そして、謝罪して部屋を後にした。



連合暦20年7月15日、朝、ルシード王国


神殿に入るための許可が下りるまで、待機指示が出ており、

全員が部屋で待機していた。


バーバラとレミューズは、2人そろって廊下を歩いていた。

バーバラ達は、ある部屋の前まで来ると扉をノックした。

しばらくすると、声が聞こえた。


???:「どなたでしょうか?」

バーバラ:「私だ。バーバラだ。開けてくれ。」

扉を開けると、そこには困惑した顔のサールが立っていた。


サール:「お二人揃ってということは、許可が下りたのですか?」

バーバラ:「いや、サール、頼みたいことがある。」

サール:「何でしょうか?」


レミューズ:「これは、ジェイルに関わる重要な任務だ。」

サールは、驚いた顔をした。

サール:「ジェイルがどうかしたのですか?」

レミューズは、バーバラの顔を見た後に答えた。

レミューズ:「どうやら、まだ目を覚ましていないらしい。」

サールは即答した。

サール:「それで、私は何をすればよいのでしょうか?」

レミューズは、手に持っていた小瓶と花咲いた1本の枝を

差し出した。

小瓶には、何故か細い紐がグルグルと巻き付けられ、その上に

小さな魔法陣が描かれていた。

枝は、ハナズオウだろう。


レミューズ:「これらを、気付け薬と言って、

      ポールに渡してほしい。

      そして、ジェイルが目が覚めたなら、

      できる限り早くシェリルと共にカイン王国に

      来るよう伝えてくれ。

      もし、目覚めない場合は、シェリルに一人で

      カイン王国に来るように伝えてくれ。」

サール:「わかりました。」

そう言って、小瓶を受け取る。


バーバラ:「これは魔獣王討伐に関する最重要事項だという事を

     忘れないでほしい。」

サール:「はい、肝に銘じておきます。」

そう言うと、サールは荷物を纏めカルラド王国へと向かった。



連合暦20年7月15日、昼、カルラド王国


サールは、カルラド王国のジェイルの屋敷にいた。

サール:「ということです。」

ポール:「わかりました。」

そう言って、小瓶と枝を渡した。


サール:「ところで、アリス達はまだ戻らないのですか?」

ポール:「はい、まだお戻りにはなられていません。」

サール:「そうですか、、、。」

ポール:「それでは、この部屋でしばらくお待ちください。」

そう言って一礼して、部屋から出て行った。


しばらくして、ポールが戻ってくると、

食事の用意ができたということで、別の部屋へと案内された。

サールが席につくと、ポールが料理を取りに部屋から出た。

その瞬間、サールいる部屋の床が光った。

サールはその場に倒れ込んだ。


サールは目を覚ますと、周りを見て理解した。

そこは、先ほどの部屋の中ではなく、石の壁でおおわれた部屋

であり、1つの壁に鉄格子のついた木の扉があるのみだった。


???:「目が覚めましたか。

    下に書かれている魔法陣は、牢獄の魔法陣です。

    外に出る事はできません。」


扉が音を立てて開くと、そこに立っていたのは

ジェイルとポールだった。


サール:「ジェイル、一体どういうことなんだ?」

ポール:「もうしばらく、そこにいてください。

    しばらくすれば、全てわかります。」


ポールは、部屋の外に椅子を置き座った。

そして、サールに向かって話始めた。

サールは最初は無視していたが、他愛もない雑談であることから、

次第に会話するように誘導されていった。

しばらくすると、サールは眠ってしまった。

ポールはサールが眠ったのをみると、会話を中断し、

じっとまった。

どのぐらい時間がたっただろうか?

ジェイルと魔導士らしき男がポールの元にやって来た。

ポールがジェイルに耳打ちした。


ジェイル:「そうか。

     では、始めよう。」


その言葉を合図に魔導士が呪文を唱え始める。

詠唱が終了し、しばらくすると、寝ていたサールが呻いた。

そして、サールの身体が足元から霧状に変化し始め、

最終的には、サールの形状を形作るものは消え失せた。



連合暦20年7月16日、カイン王国軍議室


そこには魔獣王討伐に関係する者達が集まっていた。

しかし、誰も言葉を発せずに押し黙っていた。


その時、部屋の扉がノックされた。

その場の全員が扉の方を向く。

扉が開かれたとき、その場に立っていたのはジェイルと

シェリルだった。


レミューズは、立ち上がると驚いた顔で言った。

レミューズ:「ジェイル!!」

レミューズの顔が驚きから笑顔へと変わった。

レミューズ:「ジェイル、大丈夫なのか?」

ジェイル:「はい、師匠、もう大丈夫です。」

そう言って、シェリルと共に近くの席にすわる。


バーバラ:「サールを向かわせたのだが、

     一緒じゃないのか?」

ジェイル:「サールは来ませんでした。」

バーバラ:「そうか、来なかったのか。」

ジェイル:「はい。」

バーバラ:「やはりそうだったのか。」



連合暦20年7月15日、朝、ルシード王国


サールに指示を与えた後の事。

2人は、サールが宮殿を出ていくのを確認したのちに、

部屋へと戻った。

部屋の中は、至って普通だった。

バーバラは、机の上をじっと見つめた。


バーバラ:「やはりな。」

レミューズ:「何の事かは分からないが、

      目的は達せられたのか?」

バーバラは、手を伸ばしそれを取った。

バーバラ:「あぁ。」

そして、レミューズにそれを見せる。

レミューズは、少し驚いたようにそれを見た。

レミューズ:「ぬいぐるみ?」

バーバラ:「サールは、このプリティベアーズとかいう

     ぬいぐるみに異常なまでに執着している。」

レミューズは、困惑した顔をした。

レミューズ:「なるほど、そう言う事か、、、。」



連合暦20年7月15日、昼、ルシード王国


ルシード王国では、かつてない捜索隊が組織された。

サールの足取りを追う為に、その顔はルシードに住むすべての

魔導士に通達された。

目撃情報および捜索協力を募ったのだ。

そして、それは程なく達成された。

その足取りは、ルシードの郊外にある1つの遺跡を示していた。

捜索隊が突入すると、その遺跡の地下で魔法陣に閉じ込められた

サールを発見したのだった。

しかし、すぐには魔法陣がどのような効果を及ぼしているのかは

解らなかったし、魔法陣の解除時の影響も不明だった。

バーバラは、そのことを予見し、その判断をジェイルと

ポールに託した。



連合暦20年7月14日、夜


それは、バーバラがサールの部屋を訪れた頃の事だった。

ジェイルは、目をさました。

それは、長い夢から現実へと引き戻された感覚だった。

この時ジェイルは、この夢をカイン王に話さなければならないと

思っていた。

それは、ゼロスという者に魅了の呪文をかけられたことが

原因だろう。

時折、夢の中でゼロスと他の者の会話が聞こえたのだ。

さらに、まるで己の目で見ているような感覚にとらわれる。

最初は、只の夢と思っていたが、繰り返し聞こえてくる会話と

場面に、それが夢ではないと思い始めていた。

それらは、明らかに間諜(スパイ)と思われる行動をしている

者達だった。

そして最後に目にしたのは、明らかにサールだったのだ。

それに驚き、目を覚ましたのだ。


ジェイルは、事の次第をすぐにカイン王へと報告した。

カイン王は、バーバラに秘密にするようにと付け加えた上で、

事の次第を話した。

バーバラは最初のうちは否定していたが、サールの部屋に入った

時の違和感を思い出した。

机の上のぬいぐるみが、倒れていたことだ。

些細な事ではあるが、サールの性格と趣味からすると、

それは、疑問を投げかけるには十分だった。

そして、サールに罠をかけることにしたのだ。



連合暦20年7月15日、昼、カルラド王国


ポールは、テーブルの上の小瓶と枝を見つめていた。

紐の巻き付けられた小瓶。

小瓶の中身は、水だった。

そして、この枝は、花の咲いたハナズオウ。

これらにどういう意味があるのだろうか?

ポールが悩んでいると、そこにシェリルが現れた。

ポール:「シェリル様、どのような御用でしょうか?」

シェリル:「ジェイル様にポールさんのお手伝いをするように

     言われたのです。」

ポール:「そうですか、ジェイル坊ちゃまが。」

ポールは、シェリルに小瓶と枝について簡潔に説明した。


シェリルは、少し考えて呟いた。

シェリル:「この枝は、ハナズオウの花ですよね。」

ポール:「そうですね。」

シェリル:「ハナズオウの花言葉は、確か、、、。

     裏切り、不信仰、、、。」

ポールは、ハッとした。

全てのピースがそろったのだ。

ポール:「ありがとうございます。

    花言葉で全てがわかりました。」

シェリル:「えっ、わかったんですか?」

ポール:「えぇ。

    まず、マスターバーバラは、ジェイル坊ちゃまが

    目が覚めた事を知っていた。

    しかし、このような指示をサール様にされた。

    持ってきた小瓶の中身は気付け薬ではなく、

    只の水。

    また、紐の上に書かれた魔法陣は、

    何の効果もない魔法陣。

    紐で縛られた小瓶。

    さらに、ハナズオウの花言葉が、裏切り。

    つまり、サール様が間諜であり、

    拘束せよとの指示です。」



連合暦20年7月16日、カイン王国軍議室


バーバラ:「それで、やつはどうなった?」

ジェイルは申し訳なさそうに言った。

ジェイル:「霧状になって消えました。」

カイン王:「なるほど、他の者と同じか。」

バーバラ:「やつは、ゼロスなのか?」

ジェイル:「いえ、違うと思います。

     やつは、、、。

     そう、アリスと一緒にいるシロと同じ様な者では

     ないかと思います。」

カイン王:「使い魔ということか。」

ジェイル:「いえ、はっきり断言することはできません。

     ただ、あの夢が真実であるならばです。」

カイン王:「それにしても、よくやってくれた。

     今回の件は、予想だにしていなかった。

     ジェイルの情報無くして解決しなかっただろう。

     まさか、ゼロスの手の者がこれほど紛れ込んで

     いるとはな。」

ジェイルの情報によって、露見した者は、数十人に及んだ。

それも、各国の中枢の地位にいるものがほとんどであった。


C:お久しぶりです。

A:よかったです。

  あとがきが無かったので、私達クビかと思いました。

C:ただ忘れていただけらしいです。

A:えぇ~~。

  それは、ひどいです。

C:まあ、今回から復活という事で許してあげてください。

A:ところで、今回は、時系列が前後して読みにくですよ。

C:まあ、作者は表現力が足りないということですね。


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