ルシード
連合暦20年6月19日、
ズールの話が終わった後、しばらくの間3人は、
静かに食事をしていた。
パインは、突然食事をやめるとノームの方を向き、
質問を投げかけた。
パイン:「ノームさん、教えてください。」
ノーム:「んっ?なんだ?答えられることなら答えるぞ。」
パイン:「先ほどのズールさんとの会話なんですが、、、。
彼の者というのは、アンジェラさんなのですか?」
ノーム:「アンジェラ?、すまんが名前は分からないな。
2人は、ズール殿の回った所に行ったのだろう?」
パイン:「はい。」
アリス:「モグモグ。」
ノーム:「それならば、そのアンジェラという者が
彼の者だろう。」
パイン:「ところで、彼の者というのは何なんですか?」
ノーム:「詳しく話すわけにはいかないが、彼の者というのは
巫女の事だ。」
パイン:「巫女?」
アリス:「モグモグモグ。」
ノーム:「そう、最初に幻獣と契約した者達のことだ。
そして、その子孫は、幻獣と契約する資格を
生まれながらに持つ事になる。」
パイン:「なるほど。
あと、あの者も目覚めたと言っていましたが、
誰なのですか?」
ノーム:「あの者か。
魔獣王復活を目論む者のことだ。
やつは、己の事をゼロスと呼んでいる。」
パイン:「ゼロス?」
アリス:「モグモグ。」
ノーム:「そう、人間の中に潜り込み、決して表へはでない。
そして、その時が来ると魔獣王復活のための行動を
始めるのだ。
それに、やつは巫女の目覚めがわかるのだ。
元々は、やつは我々と同じ道を歩んでいた。
しかし、ある事をきっかけに道を違えた。」
パイン:「ある事?」
ノーム:「残念だがこれ以上この件について答えることは
できない。」
パイン:「そうですか、、、。
では、あの魔法というのについて教えてもらえますか?」
ノーム:「その話をするには、遥か昔の魔獣王との戦いについて
話さなければならないな。」
パイン:「はい。」
ノーム:「ルシード地方にある古代遺跡は知っているな?」
パイン:「はい。」
ノーム:「あの遺跡は、4000年ほど前まで栄えた文明のものだ。」
パイン:「初耳です。」
ノーム:「だろうな。ほとんどの人間が死に絶えたのだからな。」
パイン:「えっ、どういうことですか?」
ノーム:「俺が生まれたのが、おおよそ3500年前だからな。」
パイン:「3500歳ですか、、、。」
ノーム:「この話は、我が主の記憶から得たものだ。
その戦いは、壮絶を極めた。
魔獣王の力も今よりもはるかに強大だった。
眠りより目覚めた巫女達と共に4人の者が
魔獣王の討伐に参加した。
その中に、ルシードとメルクリウスがいたのだ。」
パイン:「えっ、メリクリウスも魔獣王討伐にいたのですか。」
アリス:「モグモグモグ。」
ノーム:「そうだ。
当時人間は、今のルシード地方を中心に栄えていた。
魔獣王が復活した際、そこをを重点的に攻めたのだ。
そして、主戦場が今のルシード地方になった。
魔獣の攻撃は凄まじいものだったらしい。
だが、人間も負けてはいなかった。
その攻撃のほとんどを守り切っていた。
膠着状態は、長い間続いた。
そんな中、メリクリウスやルシード達が生まれたのだ。
魔術に長けたメリクリウスは、魔獣王討伐の為、
6つの魔法の品を手に入れた。
そして、巫女を起こし、魔法の品を持って魔獣王城に
向かったのだ。
そして、見事魔獣王を倒した。
しかし、魔獣界に引き込まれる時に魔獣王の魔法が発動
してしまった。
その魔法は、天から無数の燃える巨石を降らせる魔法
だったのだ。
その魔法によって、人間は壊滅的な被害を受けたのだ。」
パイン:「そんな魔法が、、、。
何故、魔獣王はその魔法をすぐに使わないのですか?」
ノーム:「うむ、この魔法は、己の全てを使うのだ。
この魔法を発動した場合、魔獣王は人間界に存在する
ことが出来なくなってしまう。」
パイン:「なるほど、最後のあがき的な魔法なのですね。
ルシードは、その後で王国を作ったのですか?」
ノーム:「魔獣王との戦いで傷ついたルシード達は、傷を癒す為、
魔獣王城の近くに長い間住んでいたらしい。
その後、2人の仲間と共に今のルシード地方へと
戻ったのだ。
あとは、知っているな?」
パイン:「はい。
さっき、巫女を起こしたと言っていましたが、
もしかして巫女は、アンジェラさんなのですか?」
ノーム:「名前は知らないが、その者だろうな。
巫女は、戦いの後、再び眠りについた。
我が主も寿命を迎え、新たなる命を生み出すと
その生涯を終えた。
そして、私が生まれた。」
パイン:「あっ、もしかして、あの骨って、、、。」
ノーム:「そうか、ズール殿も知っていたことだし、
その後を追ったのなら、見ていたとしても
不思議ではないな。」
パイン:「よくわからないのですが、
寿命を迎えたのに何故その前の記憶が
残っているのですか?」
ノーム:「良い質問だな。
火の鳥というのを知っているか?」
パイン:「小説にでてくる不死の鳥のことですよね。」
ノーム:「あの話は、ベンヌ様がモデルになっている。
ベンヌ様は、生まれた時からその体内に次の子を
宿しているのだ。
そして、その記憶を次の子に渡すのだよ。」
パイン:「なるほど、そういうことですか。」
アリス:「モグモグ。」
ノーム:「そろそろいいか?
試練の扉に挑まなければならない。」
パイン:「最後に1つだけいいですか?」
ノーム:「なんだ?」
パイン:「もしかして、ズールの託した剣は、
渦雷の剣なのですか?」
ノーム:「それを知りたいのならば、試練の扉に挑むことだな。」
パイン達は、食事を終えると、試練の扉へと向かった。
ノーム:「さて、パインと俺の2人で扉の先へと向かう。
アリスは、この場に残ってくれ。」
アリス:「はーい。」
2人は、扉の奥へと進んでいった。
しばらくすると、宙に浮かんだパインとノームが戻ってきた。
心配するアリスに笑顔を見せると2階へと向かった。
そして、パインをベッドに寝かせると、1階へと戻った。
アリス:「パインは、大丈夫ですか?」
ノーム:「あぁ、パインは、なかなか素質があるようだ。
2つ目の扉までクリアした。」
アリス:「えっ、2つですか?
それって、すごいんですか?」
ノーム:「あぁ、初めてで2つは、優秀だ。
予想以上に早く到達できるかもしれないな。」
アリス:「早くって、どれぐらいですか?」
ノーム:「そうだな、一ヶ月ぐらいか?」
アリス:「えっ、そんなにかかるんですか、、、。」
連合暦20年6月30日昼、カイン王国軍議室
カイン王、ドレアル、バーバラ、レミューズの
4人が集まっていた。
カイン王:「そうか、ジェイルが目覚める為には、もうしばらく
かかるということか。」
レミューズ:「はい、今はシェリルが付きっ切りで
看護をしている状態です。」
カイン王:「アリスとパインは、まだ戻らないのか?」
バーバラ:「はい、ズールの屋敷に部隊を派遣して、
昼夜を問わず監視している状態です。」
カイン王:「わかった。
では、こちら側の報告だが、
カルラド王国の大臣と思われる死体が発見された。」
3人は、今の発言に驚きを隠せなかった。
ドレアル:「なんじゃと、また乗り移ったのか。
こまったのー。
手がかりを全て失ったという事じゃの。」
バーバラ:「そうですね。
この後、何をすればよいのか、、、。」
一同は、どうすればよいか分からなかった。
レミューズだけが別の事を考えていた。
レミューズ:「今までの出来事を再考してみたのですが。」
カイン王:「何かあるのか?」
レミューズ:「はい。
古代遺跡での出来事なのですが。
あの魔獣の言っていた精神体を混ぜるという話
ですが、混ぜたとしても魔獣王が消えるとは
思えないのです。」
カイン王:「どういう意味だ?」
レミューズ:「あの魔獣の言っていたことですが、
創造の精神体を集めて作られたという話が
事実だとすれば、
それは、分けられるという意味でもあり、
塩と砂糖を混ぜたような状態ということでは
ないでしょうか?」
カイン王:「なるほど。
破壊が無くなるわけではないと言いたいのだな。」
レミューズ:「はい、他に我々の知らない何かが必要なのかと。」
カイン王:「分かった。
各国に魔獣王に関する過去の資料の調査を
依頼しよう。」
レミューズ:「いえ、ルシード王国のみで問題ないと考えます。
ただし、あの部屋の資料を、、、。」
ドレアル・バーバラ:「???」
あの部屋の言葉に思い当たったのはカイン王のみであった。
カイン王:「・・・
それは、難題だな。
それにしても、あの部屋の事を知っているとはな。」
バーバラ:「あの部屋とは、一体何なのですか?」
カイン王:「これは、あくまで噂でしかないのだが。
ルシード王国の初代王が書いたと言われる書物が
秘密の部屋に置かれているらしいのだ。
残念ながら、その場所を知るものは既に誰もいない
ということだ。」
レミューズ:「私の真実の目があれば、探索は可能だと考えます。
王宮探索の許可さえもらえれば、、、。」
カイン王:「うむ、私だけでは、難しいだろうな。
わかった。
クライム王とカルラド王に説得を依頼しよう。
バーバラ。」
バーバラ:「はい。」
カイン王:「早速だが、クライム王とカルラド王に
親書を持って行ってくれ。」
バーバラ:「御意。」
そして、その日の夜、バーバラはカイン王の親書を持って
2人の国王の元へと向かった。
クライム王国では、カイン王の依頼ということで、
特に支障なく承諾を得られた。
カルラド王国では、エッグ王子の計らいにより
なんとか承諾を得ることに成功した。
そして、後は、ルシード王国の返答待ちという状況になった。
連合暦20年7月10日、
ルシード王国の使者によって、探索の許可が下りたことを
知らされた。
使者の話によると、ルシード王は、秘密の部屋の探索を
望んでいたが、その方法を見つけることが出来なかったと
いうことだった。
真実の目に興味を抱き、それによって発見できるのならば
王宮の全ての部屋の探索の許可を与えるというものであり、
国王の部屋や王妃、王子、王女の部屋の探索も含まれていた。
しかし、ルシード王は、条件を付けてきていた。
それは、書物の内容について公開するかどうかは、
内容を見てからというものだった。
この条件については、一歩でも目標に近づくためには、
渋々ながら承諾するしかなかった。
そして次の日、カイン王の命によって、レミューズ、
バーバラ、ドレアル、サールの4人が使者と共に
ルシード王国へと向かった。
A,C:「あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。」
C:「更新ペースがだいぶ遅くなってしまい、
申し訳ありません。
作者にかわってお詫びいたします。」
A:「謝る余裕があるなら、更新ペースあげなさい。」
C:「確かに、その通りだ。
まあ、文句はそれぐらいにしてあげてください。」
A:「そうですね。
それにしても、だいぶ真実が明らかになってきていますね。
ルシード王国の伝説にもつながってきましたし、
メリクリウスの魔法の品も魔獣王討伐用だったと。
あの骨もドラゴンのものではなくベンヌの骨だったと。
じゃあ、ドラゴンって、一体何なのでしょう?」
C:「うーん、最後まで読めば判明するみたいですよ。」
A:「気長に待ちますか、、、。」




