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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
ベンヌの住まう山
60/99

魔じゃ香を求めて

連合暦20年6月19日、


一同がレミューズ達に注目する。

レミューズ:「ゼロスが憑依を行うには、何らかの条件が

      必要なのだろう。

      そして、その雑談の中に契約などの内容が

      巧妙に仕込まれていると考えるのが妥当だろうな。」

カイン王:「おぉ、レミューズではないか。

     ところで、例の件は進んでいるのか?」

レミューズ:「はい、ついに入手に成功しました。

      効果も予想以上の結果を出しております。

      しかし、どのような方法を使ったのか

      分からない以上、必ず成功するという保証は

      出来かねます。」

カイン王:「そうか、後は天に任せるしかないということか。

     それで、すぐにでも出発できるのか?」

レミューズ:「いえ、それにはアリスとパインが不可欠です。」

カイン王:「なるほど、それならば2人が戻るのを

     待つしかないという事か。」

レミューズ:「はい、今はいずれ戦う事になるゼロスと

      ジェイルの件が優先かと考えます。」

カイン王:「わかった。

     今は目先の問題を解決しろという事だな。」

レミューズ:「はい。」


カイン王:「ところで、2人は何故来られたのかな?」

エッグ王子:「はい、魔じゃ香の所在の情報を入手しました。」

そして、ザイヤークの話を簡潔に説明した。


カイン王:「なるほど、マスタードレアル、そしてレミューズ、

     魔じゃ香の件は、そち達に任せる。

     こちらは、ゼロスの情報収集を優先的に

     行う事とする。

     それでよいかな?」

ドレアル:「そうですな、こちらに異存はありません。」

カイン王:「ならば、バーバラを連れて行ってくれ。

     なにかと役に立つだろう。」

ドレアル:「それは願ってもない事です。」

こうして、ドレアル、レミューズ、エッグ王子、バーバラ、

サール、シェリルの6人は、魔じゃ香が落ちたと思われる亀裂の

目星をつけた上で、古代遺跡の入口へと向かった。

昨日、エッグ王子が行った許可申請は受理されていたが、

鍵を受け取りに行った時には許可が下りていなかった。

係員の話では、初めて調査団が入った際に多数の死者や

行方不明者がでており、危険と判断した王宮が遺跡の

侵入禁止処置をとっていた。

しかし、バーバラが傭兵協会の権限を最大限に利用し、

ごり押しで許可させることに成功したのだった。


古代遺跡は、ルシード国から北東に少し離れた位置にあり、

ドレアル一行が入り口に到着したのは、午後の事であった。

洞窟の入口のような場所に鉄格子がはめられ、その真ん中に

鉄でできた鍵付きの扉が付いていた。


エッグ王子:「どうやら、ここが入り口のようです。」

そして、入手した鍵を使って扉を開け、持ち物に魔法の灯りを

点けると中へと入っていった。

そこは肌寒くジメジメとしていた。


サール:「思ったより涼しいですね。」

ドレアル:「そうじゃの。

     これ以上寒ければ魔法でなんとかするが、

     今はまだ不要じゃな?」

エッグ王子:「そうですね。

      動いていれば問題ないでしょう。」

そんな話をしながら、うねうねと曲がりくねった通路を

レミューズを先頭にして進んでゆく。

そして、目の前に広い空間が現れた時、レミューズが

突然、皆の歩みを止めた。


振り向いたレミューズの瞳は、赤く染まっていた。

レミューズ:「危険がないか確認してくる。

      皆はここで待っていてくれ。」

そう言い残すと、一人で広い空間へと入っていった。


ずっと黙っていたシェリルが言った。

シェリル:「レミューズさんって、すごいですね。

     私も見習わないと。」

バーバラ:「そうだな。

     レミューズが大胆な行動に出ることができるのも

     『真実の目』を持っているからでもある。」

サール:「『真実の目』?

    あの、赤い瞳の事でしょうか?」

バーバラ:「そうだ、レミューズはそう呼んでいた。

     その目で見ると、その人や物の真実が見える。

     右目は、その人物の魔力量、力量、器の大きさが、

     左目は、魔法や罠、隠し扉等の所在が分かる。

     元々は、力量を図る目的で模索していたようだが、

     大河の水差の探索で、多くの古代遺跡を

     巡っているうちに、

     『真実の目』にたどり着いたようだ。」

サール:「すごいですね。」


この時サールは、

どのように見えるのかが気になって仕方がなかった。

後にサールは、『真実の目』についてレミューズに尋ねている。

その時、レミューズは

  「魔力や力量、物の動き、音などが、色や形等で見える。

  それは見た者しか分からないだろう。」

と答えたと言う。


しばらくして、レミューズが戻ってきた。

レミューズ:「どうやら、安全なようだ。

      先に進もう。」

レミューズは、中の物には触れるなと付け加えたあと、

先行して入っていった。

他の者もそのあとに続く。


そこは小さな家が1軒入るぐらいの空間だった。

奥には、4つの人物を模った石像があり、

それぞれの石像の前には、石台があった。

石台の上には、棒、杯、硬貨、剣の模様が描かれた

石板が置かれていた。

さらに石像の奥には、先へ進むための、通路がぽっかりと

口をあけていた。


ドレアル:「どうやら、仕掛けは解除されているようじゃの。」

バーバラ:「そのようですね。

     この石板の模様は、占いにつかうカードの4種類の

     スート、いわゆるマークだな。

     石像の前の石台に置かれた石板を並べ替える仕掛け

     だったのだろう。」

ドレアル:「うむ、それが正解じゃろうな。

     しかし、もし解除されていなければ、

     情報のない我々には解除できなかったかもしれんの。」

サール:「うーん、色々な組み合わせを試せば、

    いずれ解決するのではないでしょうか?」

エッグ王子:「いや、それは無理だろう。

      あれを見ろ。」

そう言って、石像の真上の天井を指さす。

そこには、複数の穴が開いていおり、その穴の周りは、

変色して黒ずんでいた。

エッグ王子:「たぶん、組み合わせを間違うと、

      毒霧のようなものが吹き出るのだろう。」

サール:「うぁ、そこまでして守らなければならない物が、

    ここにあるってことですよね?」

ドレアル:「そうじゃの、何が守られてるのか気になる

     ところじゃな。」


その時、石像の奥からレミューズの声が聞こえた。

レミューズ:「先に進む、早く来てくれ!!。」

そして、石像の間を後にし、奥へと進んでいった。

奥へ続く通路は、先ほどの通路と同じように、

うねうねと曲がりくねっており、しばらく進むと

道が2つに分岐していた。


レミューズ:「さて、どちらに進むべきかだな。

      バーバラ、現在位置を確認してもらえるか?」

バーバラ:「わかった。」

バーバラは、左手の小指に付けた指輪をさすりながら

呪文を唱えた。


バーバラが唱えたのは、現在位置を知る呪文だった。

カイン王の成し遂げた業績の一つに地図の作成がある。

それを成し遂げる為に、カイン王は魔法柱と呼ばれる小さな柱を

碁盤の目のように各地に設置していった。

四隅に設置された柱の内側を1つの区画として分けることにより

管理を容易にしたのだ。

さらに、指輪の宝石と魔法柱に埋め込まれた宝石が呪文により

反応し合い、四隅の魔法柱からの距離を知ることができた。

これは、パーティー時に仲間の気配を感じる効果の応用だった。


バーバラ:「わかったぞ。おおよそこの辺りだな。」

バーバラは、地図を広げ現在位置を示した。

レミューズ:「なるほど、亀裂があるのがこの辺りだとすると、

      右側に進むのが妥当だろうな。

      よし、右側に進もう。」

一行は、右側の通路を進んでいくと、また広い空間と思われる

場所にたどり着いた。


レミューズ:「まて!!」

ドレアル:「一体どうしたというのじゃ?」

そう言いながら、奥を覗き込む。

その広場の奥には、2本の柱があり、その間に扉らしきものが

見える。

床には、四角い石が碁盤の目の様に敷き詰められており、

よく見ると、こちら側の通路にも2本の柱らしき物が見えた。


レミューズ:「どうやら、罠のようだ。

      今見える床石の大半に罠が仕掛けられている。」

サールが床石を覗き込んだ。

サール:「んーっ、どう見てもただの床に見えるんですが。」

ドレアル:「わしにも普通にみえるの。」

レミューズは、何も言わず近くに転がっていた赤子の頭ほどの

石を取ると、おもむろにその床に向かって放り投げた。

石が床に落ちた瞬間、忽然と石が消えた。

サール:「えっ、石が消えましたよ。」

バーバラ:「転移の魔法陣でも仕込まれているのか?」

しばらく罠を見ていたレミューズが言った。

レミューズ:「転移の魔法陣とは少し違うようだな。

      しかし、その類のものだろう。」

そして、一呼吸おいて話始めた。

レミューズ:「エッグ王子。

      準備した道具の中に目印になる物はありませんか?」

エッグ王子:「確か筆とインク瓶があったはずです。」

エッグ王子は、様々な道具を準備しており、

その荷物を背負い袋に詰め、サールと共に背負っていた。

エッグ王子は荷物を探り、筆とインク瓶を取り出した。

エッグ王子:「これで、よろしいですか?」

レミューズは、それらを受け取ると、1人で中へと入っていった。


残された者達は、罠について話始めた。

エッグ王子:「しかし、転移先は想像したくないな。」

サール:「そうですね、さっきの仕掛を考えると、

    明らかに危険な場所に飛ばされそうですね。」

ドレアル:「これだけの仕掛けをしてまで守る必要がある物とは

     一体何なのじゃろうか?」

バーバラ:「確かに、ただの古代遺跡とは思えません。

     ここには何か重大な秘密があるかもしれない。」

ドレアル:「お主もそう思うか。わしも同じじゃよ。」

この様な話が続けられ、しばらくしてレミューズが戻ってきた。


レミューズ:「床石に印はつけた。

      目印はこれだ。」

一同がそれを見ると、その異様な印が何の模様かが気になった。

サール:(ん?これは、サル?)

シェリル:(犬の絵かしら?)

エッグ王子:(四つん這いの人?)

ドレアル:(レミューズの絵は何時見てもよくわからんの。)

バーバラ:(相変わらずな絵だな。)

その絵が何なのかを聞く者は、誰もいなかった。

レミューズ:「それでは、行くとしよう。

      目印以外の床石に乗るな。」

そして目印の床石の上を通り、反対側の通路へとたどり着いた。


通路は、さらに奥へと続いていた。

そして、通路の終着点と思える場所にたどり着いた。

目の前に見えた光景にレミューズ以外の者は絶句した。


そこから見えたのは、巨大な地下渓谷だった。

A:この古代遺跡って、一体何があるんでしょうね。

C:そうですね。

  一般的な古代遺跡は、特に危険は無いみたいですが、

  何かを守る必要がある場合は危険な罠が多いみたいです。

  つまり、何かを守っていることは確実だと思いますね。

A:うーん。気になって寝れなくなっちゃう、、、。

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