表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
ベンヌの住まう山
59/99

魔じゃ香とニコの証言

連合暦20年6月18日、


【エッグ王子】

エッグ王子は、すぐに行動に移った。

まず、ドレアル達のカイン王との謁見調整、

さらに大臣の私室の調査、そしてドレアルの知人である

魔導士ザイヤークの所在確認を指示した。


しばらくして、大臣の私室調査を行っていた者がエッグ王子の

元へとやってきた。


調査者:「ご報告申し上げます。

    大臣の私室より、我が国の国政と判断できない書類が

    複数枚発見されました。」

エッグ王子:「それで一体どのような内容が書かれていたのか?」

調査者:「はっ、日付や内容から、カイン王の襲撃事件と

    関係していると考えられます。」

エッグ王子:「なんだと!!」

エッグ王子はしばらくの間、考えを巡らせていた。

エッグ王子:「わかった、他に分かったことは?」

調査者:「ローゼス公爵の屋敷の火災と思しき記述の存在が

    確認されています。」

エッグ王子:「なるほど。」

調査者:「最後に、人名のみが書かれている用紙がありました。」

エッグ王子:「人名だと?」

調査者:「はい、記述されていた用紙およびインクの劣化具合から

    おおよそ10-20年ぐらい前のものと推測されます。」

エッグ王子:「その中に知っている名前があったか?」

調査者:「はい、貴族の方ですと、

    シュルトス公爵家のアリス様、

    ロミュラン伯爵家のジェイル様の名前がありました。

    他の方は、残念ながら存じ上げません。」

その時、ザイヤークの所在確認を指示した男が現れた。

ザイヤークの所在が判明したとの事だった。


エッグ王子:「大臣の調査は引き続き行うように。

      私は魔導士ザイヤーク殿に会ってくるとしよう。」

そして、2人の従者を引き連れ、ルシード国へと向かった。


ザイヤークの家は、ルシード国の東端に位置していた。

扉のノッカーを叩くと1人の老人が現れ、

3人を見ると丁重に頭を垂れた。


ザイヤーク:「これは、これは、エッグ王子様ですね。

      マスタードレアルから連絡は受けています。

      まずは中へお入りください。」

それほど広くは無いが、小奇麗な部屋へと案内された。


4人がテーブルに座るとザイヤークが話始めた。

ザイヤーク:「エッグ王子様が来られる前に魔じゃ香の所在に

      ついて調査しておきました。」

エッグ王子:「それはお手数をかけました。

      それで魔じゃ香は入手できそうですか?」

ザイヤーク:「残念ながら、現在では流通しているものは

      ございません。」

エッグ王子:「なんと、無駄足であったか。」

ザイヤーク:「いえ、そうでもありません。

      過去に作られた物が残っている可能性はあります。」

エッグ王子:「それは何処に?」

ザイヤーク:「はい、魔じゃ香は、今から90年ほど前に正式に禁止

      とされましたが、その前から制限されていました。

      これは、惚れ薬の原材料として利用可能な事が

      判明したからです。

      当時の書物を読み解くと、110年ほど前に惚れ薬が

      完成し、その効果が認められたため、製造および

      販売を制限したのです。

      これは悪意を持って利用された場合、国が崩壊する

      可能性があるからです。」

エッグ王子:「うむ、確かにそうだな。」

ザイヤーク:「その後、魔じゃ香の純度が上がって行き、

      そこから作られる惚れ薬の効果が、その人の考えや

      行動を完全に支配できる程になった為、完全に

      禁止とされたのです。」

エッグ王子:「魔じゃ香についての話は分かった。

      で、どこに残っているというのだ?」

ザイヤーク:「もう少し、お聞きください。

      つまり、魔じゃ香は、110年前から90年前まで

      厳正に管理されていたことなのです。

      そこで、過去の製造売買記録を調査しました。」

エッグ王子:「なるほど、

      残っている物があると言っているのだな。」

ザイヤーク:「はい、記録を読むと20年間の間に1000本ほどが

      製造され、900本ほどが売買されています。」

エッグ王子:「という事は、100本ほどが残っているのか?」

ザイヤーク:「いえ、その大半が破棄されています。

      しかし、所在不明が3本存在していることが

      確認されています。」

エッグ王子:「まさか、

      その所在不明の3本を探せと言っているのか?」

ザイヤーク:「その3本の所在が完全に不明というわけでは

      ありません。

      あくまでも、証言の記録なのですが、

      運搬作業中に木箱が破損し、中に入っていた

      魔じゃ香のうち3本が行方不明になったのです。

      当時の監督官が、それを報告しなかったようです。

      不明の3本は、事故現場の近くにある亀裂に

      落ちて行ったとなっているのです。」

エッグ王子:「亀裂だと?」

ザイヤーク:「エッグ王子様もご存知かと思いますが、

      ルシード国の至る所に古代遺跡が存在します。

      別の言い方をすると、古代遺跡の上にルシード国が

      存在していると言ってもいいでしょう。」

エッグ王子:「なるほど、古代遺跡に落ちたと言いたいのだな。」

ザイヤーク:「はい、事故現場の近くに遥か昔に閉鎖された

      古代遺跡が確認されています。

      そこから目的の場所に移動できるかもしれません。

      但し、その遺跡の調査結果記録が残っていない事から、

      安全であるかは保障できません。」

エッグ王子:「うむ、良く分かった。

      これは、我々だけで動くのは危険かもしれない。

      今日は、古代遺跡の調査許可を取り、マスター

      レミューズの考えを伺うとしよう。」

こうして、エッグ王子は遺跡の調査許可申請を行ったのちに、

カルラド王国へと戻っていった。



【ドレアル一行】

ドレアル、サール、シェリルの3人は一旦天馬の尻尾亭に戻ると

各自が謁見の準備を行い、傭兵協会へと向かった。

カイン王国に到着した時、既に日が落ちていた。

3人が転移を完了した時、魔法陣の側にはバーバラが立っていた。


バーバラ:「これは、師匠、お久しぶりです。」

そう言って頭を垂れる。

ドレアル:「おぉ、バーバラか久しいのう。

     早速だが、カイン王に目通りを頼みたいのじゃが。」

バーバラ:「はい、エッグ王子様より連絡を受けております。

     明日の朝一番に謁見できるように手配しております。」

ドレアル:「そうか、すまんのう。

     ところで、ニコ殿と話はできるかの?」

バーバラ:「はい、カイン王との謁見後に手配しております。

     傭兵試験用の部屋で申し訳ありませんが、

     宿を準備しておりますので、

     本日は、そちらでお休みください。」

ドレアル:「何から何まで、すまんのう。

     それでは、休ませてもらおうか。」

3人は1泊すると、翌朝にカイン王との謁見の場へと向かった。


連合暦20年6月19日、

3人が案内された場所は、軍議を行う部屋だった。

ここで、将軍達が魔獣王討伐の話をしているのであろう。

当然の事であるが、密談用の大きな魔法陣が床に描かれていた。


3人が大きな机の端に座っていると、カイン王が複数の従者を

つれて入ってきた。

3人は立ち上がって礼を尽くそうとしたが、カイン王はそれを

制した。


カイン王:「マスタードレアル、お待たせしました。」

そう言って、席に座る。

カイン王:「さて、ニコよりある程度の報告は受けています。

     ゼロスなる人物、まあ人物と言って良いかは

     分からないが、それに支配されていた時の記憶が

     部分的にしか思い出せないと言っている。

     本人の話では、ゼロスが記憶を探ったときの記憶が

     あるようで、状況とか会話とかを覚えているが、

     それ以外は、まるで覚えていないらしい。」

ドレアル:「魅了の類ではないのかの?」

カイン王:「ニコは、対魅了用の魔法陣を背中に彫って

     いるのです。」

ドレアル:「うむ。

     やはり憑依と考えるしかないのかの。

     ゼロスは精神体の一種と考えるのが

     一番よさそうじゃ。」

カイン王:「私も同意見です。

     さて、ニコの話は本人に語ってもらうので、まずは、

     そちらの方の話を聞かせていただけないだろうか?」

ドレアル:「そうじゃな。」

そして、サールがノワンの家での出来事を、

ドレアルは地下水路で起こった出来事を、

できる限り詳細に説明していった。

話が終わりに近づいたとき、

ニコが部屋に現れ、カイン王の横に座った。


カイン王:「ニコも来たので、ゼロスが現れた時の

     話をしてもらうとしよう。」

そして、ニコがその時の状況を説明し始めた。


-----


パイン達がノワンの家を後にした日の夜、それは起こった。


(ニコ)が寝ていると、不審な気配を感じて目が覚めた。

玄関の方から不審な音が聞こえ、

そして、扉が開けられた音が聞こえた。

私は静かに起き上がると、この家に元々存在していた

罠の事を思い出し、寝室からつながる反対側の扉を開け、

その先の通路へ移動した。

通路の奥には、小さな部屋があり、しばらくの間生活できる

環境が整っていた。

私は小部屋に入ると通路側の壁にある

魔法陣に手を添えた。

魔法陣が淡い光を発し、魔法が発動した。


私は椅子に座り、通路を眺めながら侵入者を待った。

しばらくすると、寝室の扉が開き侵入者が現れ、

寝室側から通路の先にいる私を見た。

フードを目深にかぶりっていたが、明らかに男だと分かった。

侵入者は不気味な笑顔を見せると、

躊躇せずに通路を進んでくる。

危険かどうかなど、まったく意に介していないようだった。

私は黙ってそれを見ていた。


侵入者が通路の中央に差し掛かった時、魔法が発動した。

通路の両端に鉄格子が飛び出し、通路全体が牢獄となった。

侵入者は、立ち止まると辺りを見回した。

全く驚いた様子もなく、それが逆に不気味に感じた。


侵入者:「へぇ、こんな仕掛けがあったんだ。

    ところで、君は誰だい?」

ニコ:「・・・」

侵入者:「あっ、すまない、まずは自己紹介からだったな。

    僕の事は、そうだな、ゼロスとでも呼んでくれ。

    さて、君は誰だい?」

私は、思った。

定時報告の連絡員が来るまでは、まだ時間がかかる。

それまでの間に多少なりとも情報を入手する必要があると。

そして、このゼロスなる人物と会話することを選んだ。


ニコ:「私の名前など関係ないだろう?

   そもそも、我が家に勝手に入ってくるなど

   夜盗の類としか思えないのだが?」

ゼロス:「勝手に入ったのは詫びるよ。

    しかし、この家はノワンという人物の家じゃないのか?

    空き家だと思っていたんだよ。

    まさか、君がノワンだとでもいうのかな?」

ニコ:「確かに私はノワンではないが、この家の管理を

   任されている者だ。」

ゼロス:「へぇ、そうなんだ。

    ところでノワンの居所を知らないかい?」

ニコ:「残念ながら、たとえそれを知っていたとしても

   教えるわけにはいかない。」

ゼロス:「良い回答だね。

    そうでなければ面白くないからね。」

そういうと、ゼロスは、鉄格子に近づく。

ニコ:「やめておけ。

   その鉄格子に触れると発火するぞ。

   その上、その通路内では魔法を使う事ができない。」

ゼロス:「なるほど、魔法が使えないことは分かっていたよ。

    鉄格子には、何かの魔法がかかっていると思ったけど、

    そんな魔法がかかっているのか。」

少し驚いたような顔をしてニコは質問した。

ニコ:「お前は、一体何者なんだ?」

ゼロス:「君は、面白いね。

    質問が真直ぐだ。

    まあ、教えるつもりもないけどね。

    朝まで時間もあるし、雑談でもしようかね。」

そういうとゼロスは、様々な話を始めた。

それはノワンと全く関係が無い内容だった。

私は、その話をなんとなく聞いていた。

私の行動は、時折意見を聞かれ、それに回答する程度だった。

しかし、何故かその雑談の内容を思い出すことができなかった。

ゼロスの話を聞いているうちに、強い眠気に襲われた。

最初のうちは、眠気と戦っていたが、時間がたつにつれ

それに抗うことが出来なくなった。

そして、眠りについた。


ゼロス:「うぎゃーっ。」

突然の絶叫で目が覚めた。

目の前を見ると、鉄格子を両手で掴み、全身から炎を上げた

ゼロスがもがいていた。

その炎の周りに真っ白な煙のような物が噴き出している。

そして、その煙が自分に向かって飛んできた。

次の瞬間、私の意識は闇の中へと落ちて行った。

意識を取り戻した時は、王宮のベッドの上だった。


-----


???:「なるほど、その雑談の中に秘密がありそうだな。」

部屋にいた全員が、その声のする方を見た。

そこには、エッグ王子とレミューズが立っていた。


A:ゼロスに関する情報もだいぶ集まっているようですが、

  一体何者なんでしょうね?

C:確かに情報が少なすぎますね。

  もし精神体であるならば、人間界以外の他の世界とつなぐ

  何かが必要だと思うのですが。

A:なるほど、確かにそうですよね。

C:これ以上、考察すると作者が怒るので、止めておきますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=714265189&s ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ