憑依と魔じゃ香
連合暦20年6月18日、
サール:「ところで、パインとアリスは大丈夫ですよね?
制限のある転移の魔法陣を使っているので、
大丈夫だとは思っているのですが、、、。」
レミューズ:「その件については、ポール殿から事情は
聴いている。
ジェイルもそのことを知らなかったし、
転移の魔法陣の制限も強力だ。
まず、問題ないだろう。」
ドレアル:「うむ、レミューズがそう言うのなら
問題ないじゃろう。
レミューズの魔法陣の知識はわしの知識なぞ
及びもせぬからな。」
レミューズ:「何を仰いますか。
私に魔法陣の知識を教えてくれたのは、
師匠ですよ。」
ドレアル:「何を言う、わしが30年かけた事を、
何も知らなかったおぬしは、たった1年で
凌駕したのだぞ。
おぬしが基本を作った魔法陣が今も使われているのが
証拠じゃな。」
レミューズ:「いえ、30年の試行錯誤は無駄ではありません。
それが無かったら、あの魔法陣にたどり着くことは
無かったでしょう。」
ドレアル:「おぬしは、優しいのう。
残念だが、わしの完敗だ。
おぬしの事は、真の天才だと思っとるぞ。」
サール:「あのー、話が全く見えません。」
ドレアル:「そうじゃったな。この件は、暇な時にでも
話すとするかの。」
サール:「そうですね。お願いします。」
レミューズ:「・・・・・」
サール:「ところで、ベンヌを守る者と会ってきたのですが。」
ドレアル:「なんと。」
サールは、コゴーロの家と王立図書館での出来事を簡潔に
説明した。
ドレアル:「なるほど、そんなことがあったのじゃな。
大臣の件は、明らかにその本を破棄する
目的じゃったのじゃろうな。
偶然、大河の水差の件を知って、大臣のままでいたと
考えるのがよさそうじゃな。
そういえば、レミューズ、おぬし
後をつけてきたのが大臣と気が付いておったのか?」
レミューズ:「はい、大方の予想はついていましたが、
確信はありませんでした。」
ドレアル:「何故そう思ったのじゃ?」
レミューズ:「そうですね。
師匠が魔法陣研究所の所長の地位を蹴ったこと。
そして、カルラドで、天馬の尻尾亭を始めた事
でしょうかね?」
ドレアル:「それが、何故、大臣に繋がるのじゃ?」
レミューズ:「大河の水差がカルラド城の地底湖に祭られていると
知った時に、師匠が魔法陣研究所長の地位を蹴った
事を思い出したのですよ。
そして、カルラドに店を開いた。
魔法陣の研究より大事なことで、かつ、
カルラドに住まなければならない事態を考えたの
です。
それほどの大事で、公にできなのであるならば、
王家に関係する者か、或いは重職についている者が
何かしら関係していると考えたのです。
そして、エッグ王子との謁見時に現れた。
この時、予想が確信に変わりました。
大臣が関係している事が判ったのは、水路で大臣が
いないという事を教えられた時ですが、、、。」
ドレアルは、感心したような顔をしてレミューズを見ていた。
ドレアル:「うむ、さすがじゃな。
おぬしらがわしの元を離れた後に、王宮から依頼が
あったのじゃ。
封印した地下への扉を開けようとした痕跡が
あったらしいのじゃよ。
犯人は、結局分からなかったのじゃがな。
それで、カルラドに移り住んだというわけじゃ。
魔法陣の研究については、バーバラが戻ってきたので
後は、若いものに任せようと思ったのが本音じゃよ。」
ドレアルは、少し考えると次の言葉を発した。
ドレアル:「さて、1つ気になっているのじゃが
聞いてもらえるかの?」
レミューズ:「なんでしょうか?」
ドレアル:「あの、ゼロスというやつは、エッグ王子の攻撃で
大臣に乗り移ったと思うのじゃ。
発言からも、ニコ殿に乗り移ったのも壊されたからと
言っておった。
何故、わしらの仲間に
乗り移らなかったのじゃろうか?」
レミューズ:「なるほど、大臣に乗り移ったのには理由があると。
我々の誰かに乗り移れば攻撃されないだろうと
言いたいのですね。」
ドレアル:「そうじゃな。
もし、わしが奴の立場なら、間違いなくエッグ王子に
乗り移るじゃろう。」
エッグ王子:「確かに、私に乗り移るのが1番よさそうですね。
当然のことですが、私を王子と知っていましたし、
それに、最悪の場合ですが、なぜ国王に
乗り移らなかったのかも気になります。」
ドレアル:「そうじゃな、国王に乗り移るのが、
奴にとっては一番の方法じゃろうな。」
レミューズ:「きっと何か乗り移れない理由があるのでしょう。
例えば、何かしらの手順が必要とかですね。
だだ現状では推測の域をでないですが。」
ドレアル:「そうじゃな。
この件は、ニコ殿の話を聞くまでは、
可能性の一つとして覚えておくのみにするかの。」
エッグ王子:「わかりました。」
その後、レミューズとシェリルは、ゼロスについて
共通の何かが存在していなかを確認していった。
しかし、当然ながらシェリルが起きた後の記憶には共通点は
存在していなかった。
レミューズ:「やはり、共通点は無いようだな。」
シェリル:「すみません。私の記憶が無いばっかりに。」
レミューズ:「気にするな。それは仕方がない事だ。」
しばらくの間、沈黙があった。
それを壊したのは、サールだった。
サール:「あのー。」
ドレアル:「なんじゃ?」
サール:「あの、ゼロスの言っていたことで、分からないことが
あるのですが、よろしいですか?」
ドレアル:「少しでも情報がほしいところじゃ。
気になることは何でも聞きなさい。」
サール:「それでは、遠慮なく。
金縛法って何でしょうか?」
ドレアル:「金縛法か、、、。
ゼロスとはいずれ決着をつける事になるじゃろう。
金縛法の対策も検討せねばならんじゃろうな。
あれは、ある意味、最強かもしれん。
わしの考察じゃが、
糸を使って拘束する拘束の呪文に近いものじゃろう。
ただし、拘束の呪文と違い、完全に動きを封じる
ことができるようじゃな。」
レミューズ:「ゼロスが攻撃を受けた時に動けるようになった
という事から、精神集中や視界に入れておくなどの
制約があると思います。
この辺りをうまく使えば、なんとかなるかもしれ
ません。」
ドレアル:「対策は、別途考えておく必要があるじゃろう。」
サール:「あと、魅了の呪文についてなんですが、、、」
ドレアル:「魔導士が魅了されると味方の被害が大きくなる。
これは、わかるな?
それ故、上位の魔導士は対策として魅了に対抗する
魔法陣を体に彫り込んでいるのじゃよ。」
サール:「えっ、私はやっていませんが、、、。」
ドレアル:「そうじゃろうな。しかし、魔獣王討伐隊に参加
することになれば、必ず入れることになる。
人によっては、己の判断で入れる者もおる。」
サール:「なるほど、そうだったのですね。」
ドレアル:「しかし、魅了を防ぐ方法が、
苦痛のみのため、避ける者も多いのじゃ。」
サール:「苦痛のみですか、、、。」
ドレアル:「やらなければよかったと思うぐらい痛いぞ。」
サール:「うぁ、そうなんですか、、、。
ところで、ジェイルの魅了は解けるのですか?」
ドレアル:「いま、屋敷の精霊魔導士が総出で調査しておる。
魅了の呪文は禁呪であるが、それほど難しくない。
呪文さえある程度、特定できれば、
すぐに解くことができる。
早いうちに解決するじゃろうな。」
サール:「それはよかった。」
シェリル:「そうですか。安心しました。」
丁度その時に、扉を開けて1人の魔導士が入ってきた。
そして、なにやらエッグ王子に耳打ちする。
エッグ王子:「そうか、分かった。」
エッグ王子がそう言うと、魔導士は部屋を後にした。
エッグ王子:「ジェイルの魅了を解く方法がわかりました。」
ドレアル:「そうか、それはよかった。」
エッグ王子:「実は、そうでもありません。
どうやら、そのための薬を作るためには、
魔じゃ香が必要なようです。」
サール:「魔じゃ香ですって!!」
ドレアル:「うーむ、それは困ったの。」
レミューズ:「・・・」
シェリル:「えっ、どういう事なんですか?」
サール:「シェリルさん、ジャコウジカは見たことありますか?
ジェイルの屋敷にも何匹かいたと思いますよ。」
シェリル:「あっ、はい、あの鹿がそうなんですね。」
サール:「あの鹿は、ルシード国以外の全域で見られます。
そして、その雄鹿のお腹の辺りから分泌されるのが
じゃ香なのです。
一般的には、香水などに使われれます。」
シェリル:「それならば、すぐに手に入りますよね?」
サール:「問題は、魔じゃ香ということなのです。
魔じゃ香というのは、子供の雄鹿が親鹿のお腹の中に
いる間に、魔晶石の溶け込んだ水を飲んで育った
小鹿のじゃ香の事をいうのです。
昔は、魔じゃ香も香料として使われていたのですが、
惚れ薬の材料として認知されたため、ルシード国が
その生産を禁止したのです。」
シェリル:「それって、入手できないと?」
サール:「そうなんです。
禁呪の使用と同じで製造は禁止されています。」
シェリル:「では、ジェイル様はずっと今のままなんですか?」
ドレアル:「いや、そんなことはないぞ。
確かに入手しにくいのじゃが、
方法は無いわけでもない。」
シェリル:「そうですか、よかったです。」
ドレアル:「そうじゃな、では、こうしよう。
レミューズ、おぬしは、大河の水差の調査を頼む。
おぬしもそれを求めたという事は、何かしらに
必要という事じゃろうしな。」
レミューズ:「はい。」
ドレアル:「わしとサールとシェリルさんは、カイン王の所に
行き、ニコ殿の話を聞くとしよう。」
サール・シェリル:「わかりました。」
ドレアル:「エッグ王子は、大臣が何をやっていたかの調査と
魔じゃ香の入手を頼む。
魔じゃ香の入手は、ルシード国に住む
わしの知り合いの魔導士を訪ねるがよい。
何かしらの手がかりが得られるはずじゃよ。」
エッグ王子:「わかりました。」
そして、3組に分かれて行動に移った。
A:こんにちわ。
ドレアルが魔法陣研究所長を蹴った理由に繋がっていたん
ですね。
C:えぇ、どうやら、番外編で、ドレアルが暇な時に話すと
言っていた件の話が読めるようになるみたいですよ。
A:そうなんですか。ちょっと楽しみです。




