壊滅した町ザイム
パイン達一行がザイムの町へ近づくにしたがって、所々に
霜が降りたような場所が見られた。
パイン:((あれって、霜だよな?))
サール:((そうみたいですね。))
ジェイル:((しかし、だいぶ北に来てるけど、それほど
寒いとは思えないけどな、、、。))
バーバラ:((まさかな、いや、ありえん、、、。))
ザイム城門が直前に見えた辺りで、バーバラが突然草むらに
近づき、辺りを調べ始めた。
パインとサールがバーバラの後に続いて草むらに分け入った。
パイン:((あれ?))
サール:((どうしました?))
パイン:((この辺りの草だけど、凍っている。))
サール:((確かに、凍ってますね。))
バーバラは、しばらくの間、草むらを調査すると、
無言のまま草むらから出て、一言だけつぶやいた。
バーバラ:((行くぞ。))
パイン達は、訳も分からず、それに従うしかなかった。
しばらくして、意を決してパインが質問をした。
パイン:((あれは、一体何なんですか?))
バーバラ:((ザイムに行けば、分かることだ。))
バーバラは、それだけ言うと、あとは何も語らなかった。
そしてついにパイン達一行は、ザイムの町の城門前に到着した。
パイン:((ここがザイムの跡地なのか、、、。))
無残に崩された城門、そして当然の事ながら
誰も手入れをしていない地面には雑草が生い茂っていた。
壊れた城門を抜け中に入ったとき、どこからとも無く
女性と思われる甲高い笑い声が聞こえてきた。
???:「おーーーっ、ほっほっほっほっ、ごほっ。」
全員があたりを見回す。
ジェイル:((なんだ?))
バーバラだけが、不愉快そうな表情をしていた。
???:「遅かったじゃないの、バーバラさん、ごほっ。」
バーバラ:「やはり、お前か。
レミューズ、どこだ、出て来い!!」
???:「ごほっ、上よ、ごほっ、上、ごほっ、、、。」
全員が一斉に上を見上げた。
それは今にも崩れそうな大きな屋敷の屋根の上だった。
そこには、真っ黒な皮で出来たと思われる衣装を着た
1人の女性が立っており、
手には鞭と思われる武器を装備していた。
パイン:((一体何なんだ?))
ジェイル:((誰なんだ?))
サール:((どうやらバーバラさんの知り合いのようですね。))
アリス:((うぁ、何、あの服装、、、かわいくなーーい。))
バーバラ:「何故、貴様が、ここにいる?」
レミューズ:「ちょと待ちなさい。ごほっ。
ここは埃っぽくて話が、ごほっ、
できない、ごほっ。
今降りるから、ごほっ、待ってなさい、ごほっ。」
バーバラにレミューズと呼ばれた人物は屋根の上で、
降りる場所を探しているようだった。
パイン:((それにしても、探さなければ降りれないって、
どうやって登ったんだろうな、、、。))
バーバラ:((さあな、、、。))
「バキバキッ、ズドーーーン」
突然、屋根が崩れ落ちた。
パイン:「うぁーーっ!!」
アリス:「キャーーッ!!」
ジェイル:「ぐぁーーっ!!」
サール:「ウッキーーッ!!」
ジェシカ:「!!」
バーバラ:「・・・。」
家の周りが埃と土煙で真っ白になった。
ジェシカ:「大変、すぐ助けないと、、、。」
バーバラ:「大丈夫だ、あの程度で死ぬようなやつではない。」
その時、煙の中から腰を曲げ、よろよろとレミューズが現れた。
腰を摩っているところを見るとどこかにぶつけたのだろうか?
レミューズ:「ごほっ、なんなのよ、、、ごほっ。」
ジェシカがレミューズに駆け寄る。
ジェシカ:「大丈夫ですか?」
レミューズ:「大丈夫よ。ごほっ、ありがとう、お嬢ちゃん。」
レミューズの右手が光輝いた。
パイン:((ん?右手が光ってるぞ、、、。))
ジェシカ:((あれは上級の癒しの祈りですね。
神聖魔道士のようですね。))
バーバラ:((いや、レミューズは賢者だ。))
サール:((えぇーーーっ、賢者ですって、、、。))
パイン:((賢者ってなんだ?))
サール:((賢者というのは、精霊魔法と神聖魔法の両方を
上級まで扱える人のことを言うんですよ。))
パイン:((そんなにすごい事なのか?))
サール:((えぇ、傭兵協会の記録では今までに賢者と
認定された人は1人しかいません。))
パイン:((そこまですごいのか、、、。))
サール:((なりにくいこともあるのですが、それ以外にも
多くの制約を受けるため、成ること自体を避ける人も
いるんですよ。))
パイン:((制約?))
サール:((炎系の魔法を捨てないといけないんですよ。))
パイン:((魔法を捨てる?))
サール:((神聖魔法と炎系の精霊魔法は相性が悪いんです。
炎系の魔法は、比較的覚えやすい上に、
攻撃方法としては最強の部類に入るのでこれを捨てる
というのは精霊魔道士としては、致命的なんですよ。))
パイン:((なるほど、ところで、バーバラさんとはどういう
御関係なんですか?))
バーバラ:((レミューズとは、同じマスターの元にいた。))
サール:((ご学友ということですか、、、。))
バーバラ:((思い出したくもない過去だがな、、、。))
レミューズが癒しの祈りを発動させながら、言った。
レミューズ:「バーバラさん、旧友との久しぶりの再会
というのに、何故ここにいるのかなんて、
ずいぶんの物言いじゃないの?
あなたたちの露払いをやってあげたんじゃないの。」
バーバラ:「いや、傭兵でもないお前が、何故、今回の任務に
参加できたのか気になってな、、、。」
レミューズ:「あぁ、そのこと。簡単なことよ。
私は、ザイムに用事があった。
丁度、傭兵協会でザイムに向けての討伐隊の
募集があった。
それで、討伐隊の隊長が、昔の知り合いだった。
それだけのことよ。」
バーバラ:「なるほど、あとで隊長と話をしないといけないな。」
レミューズ:「あぁ、たぶん、覚えてないと思う。」
バーバラ:「まさか、貴様、禁術を使ったのか?」
レミューズ:「さあ、どうかしらね?」
パイン:((サール、禁術ってなんだ?))
サール:((えーとですね。魔法の中でいくつかの魔法の使用が
禁止されているものがあるんです。
当然ですが、一般的には教えてもらえませんので、
覚えるなら独学で覚えるしかないですが、、、。
この会話で、バーバラさんが言っているのは、
人を操る魔法ですね。))
パイン:((確かに人を操る魔法なんてあったら、
なんでもできてしまうな、、、。))
レミューズ:「それにしても、その物言い、
相変わらず劣等感まるだしなのね。」
レミューズは、光る手で腰をさすりながら、バーバラの反応を
待った。
サール:((バーバラさんに、劣等感丸出しって、、、。))
バーバラ:((事実だから反論できんな、、、。))
パイン:((えっ、レミューズさんって、
そんなにすごい人なんですか?))
バーバラ:((あいつは、常に首席だった。私は次席だ。
本当の意味であいつは天才だった。))
サール:((だったとは?))
バーバラ:((傭兵協会で使っている多くの魔法陣があるだろ。
あの多くの魔法陣の基礎を作ったのが、あいつだ。))
サール:((えぇーーっ、初耳です。))
バーバラ:((そうだろうな、知っているのは、
ごく少数の人間だけだ。
私は、あいつの作った基礎技術を応用したにすぎない。
それに、カイン王と行った討伐も、本当はやつが行く
予定だったんだ。))
パイン:((えっ、なんで、行かなかったんですか?))
バーバラ:((討伐隊出発の前に、やつの母親が不治の病に
かかってしまった。
あいつは、討伐隊参加の名誉を蹴って母親の元に
戻ったのだ。
その上、病を治すために賢者になったんだ。
そして、研究の末、4年前についに病気を治す
方法を発見した。
そして、3年前に傭兵協会へやってきた。))
サール:((ということは、傭兵なんですね?))
バーバラ:((いや、もう傭兵ではない。
定期的に魔獣王討伐隊が派遣されているのは、
知っているだろ。))
パイン:((はい。))
バーバラ:((3年前に魔獣王討伐隊が派遣された。
やつは、その時の隊長であり、唯一の帰還者だ。))
ジェイル:((なんだって、3年前の討伐隊の帰還者だって。
もっと詳しく教えてくれ。))
レミューズが無言のバーバラに痺れを切らしたように言った。
レミューズ:「ちょっと、何黙ってるのよ。
のけ者にしないでよ。」
バーバラ:「あぁ、すまなかった。
こいつらが、3年前の討伐の件を聞きたいそうだ。
私も、おまえの進捗を聞きたいしな。
すまないが、話してやってもらえないか?」
レミューズは、明らかに嫌そうな顔をしながら答えた。
レミューズ:「なんで、私がそこまでする必要があるのよ。」
ジェイルが突然、2人の会話に割って入った。
ジェイル:「ちょっとまってくれ、レミューズさん。」
レミューズ:「何かしら?」
ジェイル:「ベルノという名前に聞き覚えがないか?」
ベルノという名前にレミューズの顔色が変わった。
レミューズ:「もしかして、ベルノの知り合い?」
ジェイル:「あぁ、ベルノは、私の教育係でもあり、
そして血の繋がりは無いが、兄でもあるんだ。」
レミューズ:「兄のような存在というわけね。」
レミューズは、少し考えると言った。
レミューズ:「なるほど、話さなければならないようね。」
そして、3年前の討伐隊について、語り始めた。
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3年前、レミューズを隊長として6人の討伐隊が結成された。
隊員の中には、ベルノという神聖魔導士がいた。
6人は、順調に魔獣王の城に向かって進んでいった。
途中、何回か魔獣との戦闘になったが、そのすべてを退け
そして、魔獣王の城へと到達した。
これは、カイン王率いる討伐隊以来のことであった。
レミューズ:「ついに、ここまで来たか。
あとは魔獣王を討伐して終わりとしたいものね。」
ベルノ:「それにしても、静かすぎますね。
まさか、罠という事も、、、。」
レミューズ:「確かに、静かすぎるわね。
罠の可能性は、あると思うけど、ここまで来た以上
先に進むしかないでしょうね。」
6人は、しばらくの間話し合いをすると、魔獣王の城に突入する
事を決めた。
そして、城の扉を少し開けると、戦士を先頭にして、
慎重に城内へと侵入していった。
最後尾は、隊長のレミューズだった。
レミューズの前には、ベルノがいた。
そして、レミューズが城内に入ろうとしたその時、
突然、中から絶叫が聞こえてきた。
???:「うぁーーーっ!!」
レミューズは、急いで中へ入ろうとした。
その時、扉の中から、ベルノの手が現れ、レミューズを
突き飛ばした。
そして、開かれた帰還の巻物が自分の上に落ちてきた。
その時、レミューズは、見た。
扉から突き出たベルノの手が石の様に徐々に白くなって
ゆくのを、、、。
レミューズが立ち上がった瞬間、落ちてきた帰還の巻物が発動した。
そして、次に辺りを確認することができたとき、そこは部屋の中だった。
レミューズは、事の次第を報告すると救助隊の出発をカイン王に進言した。
カイン王は、救助隊の出発に賛成したが、多くの将軍達が、
人材不足を理由に反対し、実現することはなかった。
このとき、レミューズは、傭兵協会を脱会して単独で
魔獣王の城に乗り込む事を決意した。
そして、石化を治す方法を見つける旅を始めることになったのだ。
C:「いやー、久しぶりすぎて、忘れてしまいました。」
A:「作者も、全部読み直したみたいですね。」
C:「どうやら、作者の方も、落ち着いたみたいなので、
投稿を再開するみたいです。
まだ、不定期になる可能性もあるみたいですが、
ゆっくりとでも、投稿してゆく予定だそうです。」
A:「まあ、期待しないで、待ってるので、よろしく。」




