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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
英雄の誓い
47/99

ザイムへ

連合暦20年6月17日、


パインは、夢を見ていた。

暗闇の中だった。

何か声のような音が聞こえる。

注意深く音のする方向へと進んで行く。


 「パ・・・パ・・・、ど・・・るの・・・。

 わ・・・よ、こ・・・して、、、。」


パインには、その声を聞き取ることが出来なかった。

その声はかぼそく、そしてあまりにも小さかった。

そして、目覚めるとびっしょりと汗をかいていた。


そう、あの暗闇で声が聞こえてくる、あの夢だ。

パインは、あの夢を見るようになってから、同じ夢を頻繁に

見るようになっていた。

あの後も、何度か確認してみたが、他の誰の夢でないことは

明らかだった。

明らかに自分の夢だった。

いったい何が原因でこんな夢を見るようになったのだろう?

そんなことを考えながらザイムへ向かう準備をしていった。


ザイムへと向かう日の早朝、カイン国の傭兵協会本部で

バーバラと再会した。

そこにいたのは、バーバラのみだった。


パイン:「まさか、バーバラさんだけなんですか?」

バーバラ:「あぁ、そうだ。

     他の者はこの10日前から、

     露払いをやってもらっている。」

サール:「なるほど、そういう事ですか。」

バーバラ:「あぁ、壺が再設置されるまで、数日かかるのは

     分かっている。

     すぐ出発すれば、魔獣に遭遇せずに

     到着できるだろう。」

パイン:「分かりました。

    すぐ出発しましょう。」

そして6人はパーティーを組むと、クライムから北へ向かう道を

歩いていった。

その道は、とても静かだった。

6人はザイムへの道中で、この10日間の出来事を話していた。


バーバラ:((3日前に、魔獣王研究家に会ってきた。))

パイン:((ソラスさんですか?))

バーバラ:((あぁ、そうだ。))

パイン:((何か分かりましたか?))

バーバラ:((この前話を聞いた後から気になっていたんだが、

     幻獣、ドラゴン、ベンヌの3つが揃ったあと、

     どうするのかが分からないんだ。))

5人は、驚いた。

ジェイル:((うぁ、考えてもいなかった。))

サール:((そうですね。

    3つ揃ったあと、何をすればいいでしょう?))

アリス:((きっと、魔獣王のところにいけばいいのよ。))

サール:((いや、それは安易すぎますよ。

    もし、儀式が必要だったり、他の品物が必要だったり

    したら、魔獣王に瞬殺されてしまいますよ。))

パイン:((うーん。集めたら終わりかと思っていたのに、

    やっぱり、倒す方法を調べないとだめなんだな。))

サール:((そういうことですね。

    それにしても、

    この3つが揃うとどうなるんでしょうね?

    気になって仕方がありません。))

パイン:((それぞれに何か意味があるんじゃないかな?))

サール:((そうですね。

    今までの情報からベンヌは精神に関係するでしょうし、

    ドラゴンについてはシロが言っていた、

    幻獣界に閉じ込められる前に幻獣が作ったという事を

    考えると、幻獣が人間界に来るための

    力でも持っているんですかね?))

パイン:((しかし、魔法陣で呼び出せるんだから、

    それって意味があるのか?))

サール:((魔法陣というのは、描くだけじゃないんですよ。

    儀式とか色々と必要なんです。

    それに、魔法陣の場合は移動できません。))

パイン:((なるほど、サールは召喚士が魔法陣の代わりを

    していると考えてるのか?))

サール:((そうなんですよ。

    そもそも召喚士が幻獣を呼び出せる事自体

    おかしいんですよ。

    人間界と幻獣界を繋ぐということは

    簡単ではありませんし、長時間滞在することも

    難しいのです。))


その時、遠くで魔獣らしき声が聞こえた。

 「ワォーーン。」

パインは、その声に反応し、素早く剣を抜き、声のした方へ

身構えた。


全員がその方向を見ると、はるか遠くの方に動く何かがいた。

バーバラ:((大丈夫だ。

     あの距離なら問題はない。

     ここまでは来れないはずだ。))

そういいながらバーバラはパインの剣を見ていた。


パイン:((そうなんですか?))

バーバラ:((あぁ、そうだ。))

サール:((魔獣の壺から呼び出される魔獣には

    行動範囲があるんですよ。))

パイン:((へー、そうだったんだ。

    ところで、範囲ってどれぐらいなんですか?))

バーバラ:((なるほど、魔法陣の説明が必要なようだな。))

パイン:((えぇ、お願いします。))

バーバラ:((魔獣の壺は、魔獣王あるいはその配下の魔獣が

     作っていると考えている。

     壺の底には魔法陣が書かれていて、その魔法陣で

     魔獣を呼び出している。

     全ての魔法陣には効果範囲と影響範囲があるのだが、

     そうだな、たとえば転移の魔法陣で話をしよう。

     転移の魔法陣の効果は転送だが、その効果範囲は

     魔法陣の中だけになる。

     影響範囲も同じだ。))

パイン:((なるほど、

    転移の魔法陣で移動するときに魔法陣の中に

    入れというのは、そう言うことだったんですね。))

バーバラ:((そうだ。

     効果範囲というのは、実際にその魔法陣の魔法が発動

     される範囲のことだ。

     転移の巻物で考えれば判りやすいだろう。

     転移の巻物の効果範囲は数メートル程度だ。

     影響範囲も同じだ。))

パイン:((なるほど。

    でも、影響範囲というのが分からないのですが。

    効果範囲と何が違うんですか?))

バーバラ:((通常は同じだと思ってもいいだろうな。

     持続性のある魔法を考えた場合。

     そうだな、たとえば何かを守るためにゴーレムを

     作ったとしよう、

     ゴーレムが守る物から大きく離れては

     守る事ができない。

     そこで、その活動できる範囲を制限するんだ。

     その範囲が影響範囲というものだ。))

パイン:((ゴーレムを作る範囲が効果範囲、

    ゴーレムが活動できる範囲が影響範囲なんですか?))

バーバラ:((大体そんな感じだと思っていいだろう。))

バーバラ:((影響範囲がある場合は2つのパターンがあるんだが

     1つは、魔法陣自体を中心にして広がるもの。

     もう1つは、3つ以上の魔法陣を線でつなげて、

     その内側に効果を及ぼすものだ。

     前者は魔獣の壺だな。

     そして、後者は町の結界とかだ。))

パインが何かを考えているのをみてサールが言った。

サール:((町の結界というのは、魔法の力を弱める

    結界のことです。))

パイン:((あぁ、なるほど。))

バーバラ:((それで、魔獣の壺の魔法陣なんだが、

     おおよそ数十メートルと考えられている。))

パイン:((意外と狭いんですね。))


バーバラ:((そうだな。

     ところで、パイン、お前の持っている剣は、

     傭兵の剣じゃないのか?))

傭兵の剣は、傭兵協会で製作販売している剣で、

その切れ味、耐久度、扱いやすさ、その全てが上位に位置する

汎用品として最も良く使われる剣だった。


パイン:((はい、そうですけど、なにか問題が?))

バーバラ:((メルクリウスという名前を聞いたことは?))

パイン:((いえ、ありませんが、、、。))

サール:((メリクリウスは、魔法陣の創始者といわれる人物

    ですね。あくまで言い伝えですがね。))

バーバラ:((そう、彼が創始者というのは事実では無いだろう。

     しかし、メリクリウスの剣は違う。))

ジェイル:((それって、小説の中に出て来る品じゃないか?))

バーバラ:((あぁ、作者不明の小説のな、、、。))

ジェイル:((作者不明って、どういうことだ?

     たしか、ジェニスという人が書いたものだったと。))

バーバラ:((ジェニスは日記を小説風に書き換えただけだ。

     本人がそう言っていたという記録が残っている。))

ジェイル:((そうだったのか、、、。))

バーバラ:((その小説の中で、メリクリウスは6つの魔法の品を

     作ったとされている。

     大河の水差、大地の鎚、大樹の杖、業火の剣、

     渦雷の剣、疾風の大鎌の6つだ。

     このうち業火の剣、いわゆる炎の剣だが、

     これは実在する。))

サール:((まさか、実在するなんて、、、。))

パイン:((サール、そんなに驚くことなのか?))

サール:((確か、パインの両親は武器商人を

    やっているんですよね?))

パイン:((あぁ、そうだけど。))

サール:((魔法の込められた武器を扱っていましたか?))

パイン:((そういえば見たこと無いな。))

サール:((魔法の品を作ることは難しいことでは無いんですが、

    魔法を発動するためには魔力が必要なんです。))

パイン:((魔力?))

サール:((魔力が何かは分かっていませんが、

    人がそれを持っている事は分かっています。

    そしてそれを使って魔法が発動されるわけです。

    物質としては唯一、魔晶石がそれを持っていると

    考えられています。))

パイン:((よく分からないな。))

サール:((アリスが召喚をした後、疲れて寝てしまう事が

    ありますよね。

    それは、魔力を消費してしまい、

    疲れて寝てしまうんです。))

アリス:((ん?))

パイン:((なるほど。))

サール:((魔晶石は非常にもろい物質なんですよ。

    なので、武器などに使うとすぐ壊れてしまいます。

    それに回数も制限されてしまいます。))

パイン:((結構使いにくいものなんだな。))

サール:((そうですね。

    そのため、武器に魔晶石は使いません。

    そうなると、人の魔力を使うことになるわけです。))

パイン:((魔力の少ない者が扱うには危険すぎるな。))

サール:((いえ、魔力が多い者でも、戦闘中に

    突然寝てしまったら大変ですよ。))

ジェイル:((小説では、その武器は何回も使用していだぞ。

     眠ってしまった描写など出てこなかった。))

バーバラ:((そのメリクリウスの武器の一つ業火の剣を

     カイン王が持っている。))

サール:((えっ、本物なんですか?))

バーバラ:((あぁ、本物だと思われる。

     かなりの実験を繰り返したからな。))

サール:((どうやっているか判明したんですか?))

バーバラ:((残念ながら、まったく分からなかったよ。

     剣に描かれている魔法陣も

     特別な物でもなかったし、剣自体の金属も

     特別な物でもなかった。))

サール:((製造工程に秘密があるんでしょうかね?))

バーバラ:((まあ、今となっては分からないがな。))

サール:((そうですか。))

サールは残念そうな顔を見せた


バーバラ:((話にはまだ続きがある。))

パイン:((なんでしょう?))

バーバラ:((そのメリクリウスの魔法の品の1つ、

     渦雷の剣なのだが、ザイムにあると思われる。))

パイン:((えっ、本当ですか?))

バーバラ:((あぁ、カイン王が業火の剣を入手したとき、

     実は、偶然見つけたんだが、このときに一緒に

     手紙が入っていた。

     その手紙には、業火の剣をザイムから移動する旨の

     指示が書かれていた。))

パイン:((ザイムからですか。))

バーバラ:((そして、そこに渦雷の剣のことも書かれていた。

     渦雷の剣は、次の機会に移動するとなっていた。))

サール:((なぜ、同時に移動しなかったんでしょうか?))

バーバラ:((理由は分からないが、

     そうする必要があったんだろうな。))

サール:((しかし、それで何故、ザイムにあると?))

バーバラ:((移動した日がザイムが魔獣に襲われたと

     思われる日の前日なんだ。))

パイン:((そう言うことですか。

    もし、移動できていなければ、ザイムにあると。))

バーバラ:((そういうことだ。

     もし、ザイムで渦雷の剣を見つけたら、

     パインにそれを使わせろというカイン王の指示が

     出ている。))

パイン:((えっ、渦雷の剣を私に、、、。))

サール:((パイン、すごいじゃないですか。))

アリス:((いいなーーーっ。))

ジェイル:((私もほしいが、まあこのメンバーで一番の剣の

     使い手が持つのが正しいだろうな。))

バーバラ:((まあ、まだザイムにあると決まったわけではない。

     あまり期待するのも考え物だぞ。))

サール:((確かにそうですね。))

パイン:((渦雷の剣、、、。))


C:「お久しぶりです。

  長期間、投稿しなくて申し訳ありませんでしたと

  作者が言っております。」

A:「一体なにやってるのよ。

  もう投稿されないのかとおもったじゃない。」

C:「いえいえ、そんなことはありませんよ。

  少しペースが落ちるかもしれないですが、

  最後まで書き続けると言っております。」

A:「ふーん、そうなんだ。

  とりあえず、よかった。」


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