カシムの日記
資料に示されていた場所は3箇所だったが、
そのうちの一箇所はズールの屋敷だったため除外した。
最初に到着した場所はカルラドの住宅街の一軒屋だった。
6人は、そこを眺めながら呆然としていた。
その場所には家は無かった。
燃え残った柱が、そこで何があったかを教えていた。。
バーバラ:((すでに処理されていたか。))
パイン:((それにしても非道な奴等ですね。
無関係な人に危害を加えるなんて。))
バーバラ:((確かにな、
しかし無関係かどうかはなんともいえんな。
ここの人物が誰かもわからないしな。))
パイン:((よし、手分けして家主が誰か調べよう。))
ジェイル:((そうだな。))
アリス:((はーい。))
サール:((分かりました。))
6人は近くの家や歩いている人に聞いて回った。
家主はすぐに判明した。
家主は、ソラスという人物だった。
放火と考えられたが、犯人は捕まっていないということだった。
そして、ソラスは生きており、保護されていることが分かった。
6人はすぐにソラスの元へと向かい、ソラスと話した。
バーバラ:「ところで、ソラスさんはどのようなお仕事を
しているのですか?」
ソラス:「私ですか、私は魔獣王の研究家ですよ。」
6人は、その発言に驚いた。
サール:「えーーーっ。魔獣王の研究家なんですか?」
ソラス:「あぁ、今の魔獣王じゃないですよ。」
バーバラ:「というと?」
ソラス:「私の調べた限り、魔獣王は過去にも現れています。
最初に現れたのは、まだ精霊がいた時代。
この時は幻獣も存在しており、幻獣が魔獣王を魔獣界に
追いやったのです。
まあ、これは神話みたいなものけどね。
次に現れたのは、召喚士と呼ばれた人々がいた時代。
私は、この2番目の時代の研究をやっているんですよ。」
バーバラ:「なるほど。
それはどのような研究なのですか?」
ソラス:「魔獣王をどのように倒したのかです。」
バーバラ:「それは興味深い。
どのように倒したのですか?」
ソラス:「今のところ、幻獣イフリート、ドラゴン、霊鳥ベンヌで
倒したと考えています。
残念ながら、火災で資料が焼失してしまって、
これ以上の事はもう分からなくなりましたが。」
バーバラ:「そうですか。
ところで、幻獣の剣というのをご存知ですか?」
ソラス:「幻獣の剣ですって、、、なぜその名前を、、、。」
バーバラ:「知っているのですね。
教えてもらえないでしょうか?」
ソラス:「はい、幻獣の剣というのはイフリートが持っていたと
思われる剣のことです。
その剣にはドラゴンが封印されており、
そこからドラゴンを呼び出したと考えています。」
ジェイル:「従僕の剣と同じじゃないか、、、。」
ソラス:「従僕の剣?
聞いたこと無いですね。
まあ、確かに意味的には従僕の剣と言っても
よさそうですが、、、。」
ジェイル:「で、その幻獣の剣はどこにあるんですか?」
ソラス:「幻獣の剣は、もう無いですよ。」
ジェイル:「どういうことですか?」
ソラス:「イフリートが魔獣王を封印したときに、折れたという
記述が残っていました。
その破片は祭られているらしいのですが、、、。」
ジェイル:「その情報を見せてもらえませんか?」
ソラス:「それは、巻物に書かれていたんですが、この火災で
無くなってしまいました。」
ジェイル:「くそ、、、また、振り出しか、、、。」
ソラス:「あっ、いえ、幻獣の剣と言われる剣がある場所は
分かっているのです。
本物かどうかは分かりませんし、、、。
それに今もあるかは分かりませんが、、、。」
ジェイル:「それは何処なんですか?」
ソラス:「ザイム王国ですよ。」
ジェイル:「ザイムだって、、、。」
ザイム王国、その国はアムート山脈に程近い位置にあり、
おもに畜産で栄えていた国だった。
22年前、アムート山山頂に魔獣王城が現れてから
真っ先に魔獣に襲われ、その国は滅亡した。
魔獣王討伐隊もザイム国奪還を第一目標にしていた。
ザイム国を越えた辺りから急に敵の強さが強くなる為、
現状では、魔獣の壺を徐々に減らしながら安全域を
拡大していく方法しかなかった。
しかし、定期的に魔獣の壺が再配置されるため、
それも困難だった。
ジェイル:「ザイムの誰が所有者なんですか?」
ソラス:「残念ながらそれを知ったのは、
魔獣王が現れてからなので、
行って見るわけにも行かず、
調査してないのですよ。」
ジェイル:「そうですか、、、。」
バーバラ:((ザイムか、さすがに今から行ってみるという所では
無いな。))
パイン:((えぇ、そうですね。ちょっと危険すぎます。))
ジェイル:((確かに、行ってみるには準備が必要だな。))
サール:((そうですね。))
バーバラ:((この件は、傭兵協会に任せてくれないか。
短期間なら、ザイムの安全を確保することは可能だ。
さすがにザイムを完全に確保するのは無理だがな。))
ジェイル:((それならば、我々もその確保とやらに使ってくれ。
いいだろ?、パイン。))
パイン:((そうだな、我々の目的も従僕の剣を手に入れること
だしな。))
バーバラ:((検討しよう。
そうだな、2週間後を目標に準備を進めよう。
それで、いいかな?))
ジェイル:((分かった、2週間後だな。))
アリス:((えーと、6月17日ね。
メモメモっと、、、。))
バーバラ:((分かっていると思うが、
ザイムへは転送の魔法陣は使えない。
歩いてゆくしかないからな。))
パイン:((もちろんです。))
バーバラ:「よし、この件はこれで終わりだ。
ソラスさん、ありがとうございました。」
6人はソラスにお礼を言うと、次の場所へと向かった。
それは商店街にある雑貨店だった。
対象人物は、カシムという男だった。
バーバラ:「どうやら、ここのようだが。」
パイン:「なにかの研究とか、そんな感じはしませんね。」
ジェイル:「あぁ、一体どんな秘密があるのだろう?」
サール:「不謹慎ですけど、ちょっと楽しみですね。」
アリス:「楽しみーーっ。」
そして、店主に話しかけた。
バーバラ:「カシムという人を知っていますか?」
店主:「カシムは、私の曽祖父だが。」
バーバラ:「お会いすることは出来ますか?」
店主:「曽祖父は、20年前に亡くなったよ。」
バーバラ:「そうですか。」
店主:「あっ、もしかしてあんた達、曽祖父の日記を
買いたいって言ってた男の関係者か?
もしそうなら、買ってくれよ。
ちょっと金が必要なんだよ。」
バーバラ:「日記とは?」
店主:「なんだ、違うのかよ、、、。」
店主はとても残念そうな顔をしていた。
バーバラは少し考えると、店主と交渉を始めた。
バーバラ:「その男について教えてくれないか?
場合によってはその日記を買おう。」
店主:「おぉ、そうかい。そいつは助かる。
そして、やってきた男について話し始めた。
店主:「そいつは、1週間程前に突然やってきて、
あんたらと同じように、曽祖父について聞いてきたんだ。
どこで調べたんだか、曽祖父が行商人をやっていたのを
知っていたんだよ。」
バーバラ:「行商人?」
店主:「そういえば、行商していた場所を
しつこい程聞いていたな。」
バーバラ:「どこに行商しに行っていたんだ?」
店主:「主にザイム国だったが、ラヴォール村とかの
小さな村も行ってたみたいだな。」
バーバラ:「ラヴォール村?」
店主:「今は存在しない村だよ。
疫病で全滅したらしい。」
パイン:((もしかして、ズールの屋敷のあった場所か?))
サール:((その可能性は高いですね。))
ジェイル:((村の名前なんて調査していなかったな。
さっそく調べさせよう。))
バーバラ:「なぜ、その村を例えに出したのだ?」
店主:「その名前を彼が使ってたからだよ。」
バーバラ:「ところで、連絡方法はどうなっているんだ?」
店主:「あぁ、これだよ。
日記が見つかったら、ここに連絡をくれって言っていた。」
店主が見せてくれた場所は、
カイン王を襲撃した近衛兵の自宅だった。
バーバラ:「この男に連絡をとったのか?」
店主:「いや、これから取ろうとしていたところだが、、、。」
バーバラ:「そうか。
その男は日記をいくらで買うと言っていた?」
店主:「金貨1枚だよ。」
バーバラ:「よし、分かった。
なら、金貨2枚で買い取ろう。」
店主は突然の提案に驚いた。
店主:「えっ、2枚だって、そりゃ本当か?」
バーバラ:「あぁ、その代わり、
今後この日記は存在しないことにするんだ。
それと我々がここに来たこともな。」
店主はニコニコしながら答えた。
店主:「なるほど、口止め料ってわけか。
わかった、それで手を打とう。
俺も商売人だしな。」
そして、日記を手に入れると、傭兵協会へと戻った。
その日記には、パイン達が知らなかった、
いくつかの情報が書かれていた。
やはり、ラヴォール村はズールのいた村だった。
特筆すべきことは、ズールとの取引があった事だった。
取引は多岐に渡り、最初は生活必需品のみであったが、
疫病が発生した後には、様々な骨董品も取引されていた。
取引の詳細については書かれていなかったが、
重要な物があった可能性も考えられた。
シェリルがいたことも書かれていた。
疫病が蔓延する中にも関わらずカシムは物資を届けていた。
もしかしたら、カシムは免疫があったのかもしれない。
もし、この件をズールが知っていたら、また別の選択肢が
あったのかもしれなかった。
他にはザイム国での取引について書かれていた。
この中に破損した剣について書かれているところがあった。
その剣は、遥か昔に作られていたにもかかわらず、
まったく錆びる事も無かったと書かれていた。
そして、その剣をズールが求めていたことも、、、。
残念ながら、その取引は成立しなかった。
持ち主であるボルスが売らなかったからだ。
パイン達は、ザイムに行ったときに、このボルスなる人物の家を
調査する事を決め、その日の調査を終了した。
A:「やっと、ザイム国に行くことになりそうですね。」
C:「期間的には短いですが、小説的には長かったですね。」
A:「まあ、今回は、傭兵協会と一緒みたいなので、
戦力的には問題なさそうですが。
ところで、ノワン・ハルバールの情報が無かったですね。」
C:「ヴァニッシュも手がかりを見つけてないんでしょうね。」
A:「なるほど、そうしておきましょう。」




