秘密基地
5人+1匹がジェイルの屋敷に戻ったとき、ポールにバーバラが
来ていることを教えられた。
そして、バーバラの待つ部屋へと向かった。
部屋にはいると、バーバラが座っていた。
バーバラは、こちらに気がつくと立ち上がり言った。
バーバラ:「突然の訪問、すまない。」
ジェイル:「いえ、一体なんでしょうか?」
バーバラ:「カイン国王が会いたいそうだ。」
全員が驚いた。
パイン:「えっ?、何があったんですか?」
バーバラ:「召喚士の件で話を聞きたいそうだ。」
パイン:「あぁ、アリスですか。なぜいまさら。」
バーバラ:「組織が大きくなると、小回りが利かないのだよ。
手続きなどに時間がかかって、今になってしまった。」
パイン:「そうですか。」
バーバラ:「謁見は、明後日の昼なんだが、
時間を取れないか?」
パイン:「ちょっと相談してみます。」
バーバラ:「いい返事をまっているよ。」
パイン:((どうする?))
サール:((これはチャンスですよ。
傭兵協会と手を組めれば、行動制限が緩和されます。
絶対に会うべきです。))
ジェイル:((確かにそうだな。))
パイン:((俺は、会ってもいいと思う。
アリスはどうだ?))
アリス:((私も、シロちゃんも問題なーーし。))
ジェイル:((シェリルはどうだ?))
シェリル:((えっ、私ですか?
私も行ってもいいんですか?))
パイン:((もちろんだよ、仲間なんだし。))
アリス:((そーだよ。))
サール:((当然です。))
ジェイル:((あぁ、みんなの言う通りだ。))
シェリルは笑顔で答えた。
シェリル:((はい、分かりました。))
パイン:((じゃあ、会ってみるか。))
アリス:((はーい。))
パイン:「分かりました。明後日、伺います。」
バーバラ:「そうか、それはよかった。
では、明後日の朝、傭兵協会本部に来てくれ。
そこで、待っている。」
パイン:「分かりました。」
そして、バーバラは帰って行った。
その日は、謁見の話で盛り上がり、終わった。
そして、その夜、全員が眠りについた。
連合暦20年4月3日、
深夜、パインが熟睡しているとき、廊下を走る音があった。
それも、一人ではなく、複数の足音だった。
その足音の1つは、パインの部屋の前で止まった。
他の足音はその他の仲間の部屋の前に向かったようだった。
そして、パインの部屋の扉が開いた。
暗闇の中、月明かりに照らされていたが、
それが誰かを確認することは出来なかった。
その黒い影は、パインに近づいた。
パインの真横までくると、その手をパインに伸ばした。
そして、パインを揺り動かす。
ジェイル:「おい、パイン、起きろ。」
パイン:「ん?、あ?、へ?」
さらに、パインを揺り動かす。
ジェイル:「おい、起きろ。」
パインは眠い目を擦りながら起き上がった。
パインは、窓の外を見る。
窓の外はまだ、真っ暗だった。
パイン:「なんだ、まだ夜じゃないか。
一体何事だ?」
ジェイル:「ローゼスの屋敷が燃えているそうだ。」
パイン:「えっ、なんだって!!」
ジェイル:「これから向かうつもりだ、お前も来い。」
パイン:「わかった、すぐ準備する。」
ジェイル:「他の皆もいま、起している。
準備ができたら、玄関ホールまで来てくれ。」
そしてジェイルが部屋を出て行った。
パインが玄関ホールに到着すると、アリスとシェリル以外は
揃っていた。
ジェイル:「怪我人とかは出ていないようだが、
とにかく行って見よう。」
サール:「そうですね。あそこの資料は我々には重要です。」
パイン:「俺もそう思う。」
少しおくれて、2人がやってきた。
そして、全員揃うとルシードへと飛んだ。
ローゼスの屋敷までは馬車で移動した。
御者は、ポールだった。
パイン:((火災って、やっぱり放火か?))
ジェイル:((たぶんな、あそこは火気厳禁にしてあった。))
パイン:((犯人は、魔獣に組するものなのか?))
ジェイル:((断言はできないが、その可能性は高いな。
もしかしたら、我々の動きが監視されているのかも
しれない。))
パイン:((それだと、ズールの屋敷もまずくないか?))
ジェイル:((あぁ、あそこは、大丈夫だ。
あの屋敷は、魔法の結界が張られていて、
燃えないらしい。))
パイン:((やっぱり、魔法ってすごいな。))
サール:((でしょ、パインも習ったらどうですか?))
パイン:((魔法剣士を目指せっていうのか?))
サール:((そうです。すごいですよ。))
パイン:((いや、詠唱時間が長いから、使う暇が無いんだよ。))
サール:((なるほど。では、巻物では?))
パイン:((おいおい、大量の巻物を背負った戦士がいるか?))
サールは、二ノ宮金次郎のように背中に大量の巻物を背負った
戦士を想像して、笑ってしまった。
サール:((ぷっ、いませんね。))
パイン:((ところで、ジェイルが気にしているのは特別室の
資料なのか?))
ジェイル:((いや、あそこの資料は未解決や未公開品だが、
最低1回は調査対象になったものなんだ。
実はあの屋敷には、巨大な資料室と保管庫があって
そこから調査対象の資料を持ち出しているんだ。))
サール:((ということは、未調査の資料がまだあるということ
ですか?))
ジェイル:((あぁ、そうなんだ。
その未調査資料の中に重要なものがあったかも
しれないんだ。))
パイン:((・・・。))
少しの沈黙があった。
アリス:「スピーーッ。ンガガガガガガッ、ンガッ。」
馬車の中は、大爆笑に包まれた。
ローゼスの屋敷に到着したとき、屋敷の東側は焼け落ちていた。
焼け落ちた部分には、赤く光っているところが点在していた。
まだ燻っている所があるのだろう。
周りには、多くの人々が消火にあたっていた。
ジェイル:((まいったな、
見事に資料室と保管庫がなくなっている。))
パイン:((そうか、燃えてしまったのか、、、。))
ポールが小走りに消火を指示している者の所へと移動していく。
他の者もあとに続いた。
消火を指示していた者の話によると、出火した位置は保管庫
辺りだと言っていた。
ジェイル:((くそ、やはりそうか、やられたな。))
パイン:((あぁ、次に向かう場所の手がかりが無くなったな。))
ジェイル:((まあ、実際あったかも分からないが、大損失だ。))
パイン:((さて、次はどうする?))
ジェイル:((焼け残っているものが無いか探してみよう。))
パイン:((そうだな、それぐらいしか出来ることが無いな。))
サール:((えぇ、そうですね。))
そして、彼等は、焼け跡の探索を始めた。
しかし、ほとんどの物が炭になっていることは一目で分かった。
それでも、諦めきれないジェイルは、燃え落ちた木々を移動
させたりして、何かないか必死に探していた。
資料室のあった位置の木々を退けたとき、放り投げた木が何か
硬い物、そう金属の様な物にぶつかる音を聞いた。
そして、その木が落ちたところを調べると、金属の板と思われる
ものを発見した。
ジェイル:((おい、ちょっと来てくれ。))
その声にジェイルの元へと全員が集まってきた。
サール:((どうしました?))
アリス:((なになに?))
パイン:((なにかあるのか?))
ジェイル:((これ、金属の板だと思うんだが、
周りを片付けたいんだが手伝ってくれ。))
パイン:((よし、わかった。))
そして、全員がその周りを片付けだした。
そこを綺麗に片付けると、取っての付いた金属の四角い板の
ようなものが現れた。
誰が見ても地下に続く通路の蓋と思われた。
ジェイル:((こんなものがあったのか。))
パイン:((えっ、ジェイルも知らなかったのか?))
ジェイル:((この位置は、丁度資料室のあった辺りなんだが、
地下があるなんて、聞いたことも無かった。))
パイン:((なにか重要な物が保管されているんじゃないか?))
サール:((そうですね。なんか、ワクワクしますよ。))
ジェイル:((そうだな、一体なにが保管されているんだろう?))
パイン:((とりあえず、開けてみよう。))
そして、パインがその蓋を開けた。
そこには、垂直に続く穴があった。
そして、その壁には、梯子がついていた。
ジェイル:((おーーーっ、
なんだが秘密基地って感じがするな。))
パイン:((だな。))
サール:((ですね。))
男性陣3人は、心躍らせていた。
女性陣2人は、しらけた顔でそれを見ていた。
パインは突然真剣な顔になると言った。
パイン:((よし、それでは突入する。
残りの者は、上で待機するように。))
ジェイル:((ラジャー。))
サール:((了解。))
そして、2人は敬礼した。
パインもそれに答えて敬礼した。
それを見ていた女性陣は思わず失笑した。
アリス:((ぷぷぷっ。))
シェリル:((うふふ。))
パインが梯子をゆっくりと降りていった。
梯子は、それほど長くなかった。
下まで降りると、1本の通路が続いていた。
その通路の先に扉が見えた。
その扉には魔法陣は描かれていなかった。
パインは安全を確認して、全員に降りてくるように指示した。
そして、全員が揃うと、扉の前に集まった。
C:「秘密の部屋ですか。」
A:「えぇ、ちょっと気になりますね。
つぎに続くなにかがあるんですかね?」
C:「どうでしょうね。」
A:「ローゼスの屋敷ですし、
召喚士かドラゴンに関する何かがありそうですが、、、。」
C:「その部屋を誰が作ったかによるのでは?」
A:「誰が作ったか知ってるんですか?」
C:「いえいえ、ないしょです。」




