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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
英雄の誓い
37/99

秘密基地

5人+1匹がジェイルの屋敷に戻ったとき、ポールにバーバラが

来ていることを教えられた。

そして、バーバラの待つ部屋へと向かった。


部屋にはいると、バーバラが座っていた。

バーバラは、こちらに気がつくと立ち上がり言った。

バーバラ:「突然の訪問、すまない。」

ジェイル:「いえ、一体なんでしょうか?」

バーバラ:「カイン国王が会いたいそうだ。」

全員が驚いた。

パイン:「えっ?、何があったんですか?」

バーバラ:「召喚士の件で話を聞きたいそうだ。」

パイン:「あぁ、アリスですか。なぜいまさら。」

バーバラ:「組織が大きくなると、小回りが利かないのだよ。

     手続きなどに時間がかかって、今になってしまった。」

パイン:「そうですか。」

バーバラ:「謁見は、明後日の昼なんだが、

     時間を取れないか?」

パイン:「ちょっと相談してみます。」

バーバラ:「いい返事をまっているよ。」


パイン:((どうする?))

サール:((これはチャンスですよ。

    傭兵協会と手を組めれば、行動制限が緩和されます。

    絶対に会うべきです。))

ジェイル:((確かにそうだな。))

パイン:((俺は、会ってもいいと思う。

    アリスはどうだ?))

アリス:((私も、シロちゃんも問題なーーし。))

ジェイル:((シェリルはどうだ?))

シェリル:((えっ、私ですか?

     私も行ってもいいんですか?))

パイン:((もちろんだよ、仲間なんだし。))

アリス:((そーだよ。))

サール:((当然です。))

ジェイル:((あぁ、みんなの言う通りだ。))

シェリルは笑顔で答えた。

シェリル:((はい、分かりました。))

パイン:((じゃあ、会ってみるか。))

アリス:((はーい。))


パイン:「分かりました。明後日、伺います。」

バーバラ:「そうか、それはよかった。

     では、明後日の朝、傭兵協会本部に来てくれ。

     そこで、待っている。」

パイン:「分かりました。」

そして、バーバラは帰って行った。


その日は、謁見の話で盛り上がり、終わった。

そして、その夜、全員が眠りについた。


連合暦20年4月3日、

深夜、パインが熟睡しているとき、廊下を走る音があった。

それも、一人ではなく、複数の足音だった。

その足音の1つは、パインの部屋の前で止まった。

他の足音はその他の仲間の部屋の前に向かったようだった。

そして、パインの部屋の扉が開いた。

暗闇の中、月明かりに照らされていたが、

それが誰かを確認することは出来なかった。

その黒い影は、パインに近づいた。

パインの真横までくると、その手をパインに伸ばした。

そして、パインを揺り動かす。

ジェイル:「おい、パイン、起きろ。」

パイン:「ん?、あ?、へ?」

さらに、パインを揺り動かす。

ジェイル:「おい、起きろ。」

パインは眠い目を擦りながら起き上がった。

パインは、窓の外を見る。

窓の外はまだ、真っ暗だった。

パイン:「なんだ、まだ夜じゃないか。

    一体何事だ?」

ジェイル:「ローゼスの屋敷が燃えているそうだ。」

パイン:「えっ、なんだって!!」

ジェイル:「これから向かうつもりだ、お前も来い。」

パイン:「わかった、すぐ準備する。」

ジェイル:「他の皆もいま、起している。

     準備ができたら、玄関ホールまで来てくれ。」

そしてジェイルが部屋を出て行った。


パインが玄関ホールに到着すると、アリスとシェリル以外は

揃っていた。

ジェイル:「怪我人とかは出ていないようだが、

     とにかく行って見よう。」

サール:「そうですね。あそこの資料は我々には重要です。」

パイン:「俺もそう思う。」

少しおくれて、2人がやってきた。

そして、全員揃うとルシードへと飛んだ。


ローゼスの屋敷までは馬車で移動した。

御者は、ポールだった。

パイン:((火災って、やっぱり放火か?))

ジェイル:((たぶんな、あそこは火気厳禁にしてあった。))

パイン:((犯人は、魔獣に組するものなのか?))

ジェイル:((断言はできないが、その可能性は高いな。

     もしかしたら、我々の動きが監視されているのかも

     しれない。))

パイン:((それだと、ズールの屋敷もまずくないか?))

ジェイル:((あぁ、あそこは、大丈夫だ。

     あの屋敷は、魔法の結界が張られていて、

     燃えないらしい。))

パイン:((やっぱり、魔法ってすごいな。))

サール:((でしょ、パインも習ったらどうですか?))

パイン:((魔法剣士を目指せっていうのか?))

サール:((そうです。すごいですよ。))

パイン:((いや、詠唱時間が長いから、使う暇が無いんだよ。))

サール:((なるほど。では、巻物では?))

パイン:((おいおい、大量の巻物を背負った戦士がいるか?))

サールは、二ノ宮金次郎のように背中に大量の巻物を背負った

戦士を想像して、笑ってしまった。

サール:((ぷっ、いませんね。))

パイン:((ところで、ジェイルが気にしているのは特別室の

    資料なのか?))

ジェイル:((いや、あそこの資料は未解決や未公開品だが、

     最低1回は調査対象になったものなんだ。

     実はあの屋敷には、巨大な資料室と保管庫があって

     そこから調査対象の資料を持ち出しているんだ。))

サール:((ということは、未調査の資料がまだあるということ

    ですか?))

ジェイル:((あぁ、そうなんだ。

     その未調査資料の中に重要なものがあったかも

     しれないんだ。))

パイン:((・・・。))

少しの沈黙があった。


アリス:「スピーーッ。ンガガガガガガッ、ンガッ。」

馬車の中は、大爆笑に包まれた。


ローゼスの屋敷に到着したとき、屋敷の東側は焼け落ちていた。

焼け落ちた部分には、赤く光っているところが点在していた。

まだ燻っている所があるのだろう。

周りには、多くの人々が消火にあたっていた。


ジェイル:((まいったな、

     見事に資料室と保管庫がなくなっている。))

パイン:((そうか、燃えてしまったのか、、、。))

ポールが小走りに消火を指示している者の所へと移動していく。

他の者もあとに続いた。


消火を指示していた者の話によると、出火した位置は保管庫

辺りだと言っていた。

ジェイル:((くそ、やはりそうか、やられたな。))

パイン:((あぁ、次に向かう場所の手がかりが無くなったな。))

ジェイル:((まあ、実際あったかも分からないが、大損失だ。))

パイン:((さて、次はどうする?))

ジェイル:((焼け残っているものが無いか探してみよう。))

パイン:((そうだな、それぐらいしか出来ることが無いな。))

サール:((えぇ、そうですね。))

そして、彼等は、焼け跡の探索を始めた。


しかし、ほとんどの物が炭になっていることは一目で分かった。

それでも、諦めきれないジェイルは、燃え落ちた木々を移動

させたりして、何かないか必死に探していた。

資料室のあった位置の木々を退けたとき、放り投げた木が何か

硬い物、そう金属の様な物にぶつかる音を聞いた。

そして、その木が落ちたところを調べると、金属の板と思われる

ものを発見した。


ジェイル:((おい、ちょっと来てくれ。))

その声にジェイルの元へと全員が集まってきた。

サール:((どうしました?))

アリス:((なになに?))

パイン:((なにかあるのか?))

ジェイル:((これ、金属の板だと思うんだが、

     周りを片付けたいんだが手伝ってくれ。))

パイン:((よし、わかった。))

そして、全員がその周りを片付けだした。

そこを綺麗に片付けると、取っての付いた金属の四角い板の

ようなものが現れた。

誰が見ても地下に続く通路の蓋と思われた。


ジェイル:((こんなものがあったのか。))

パイン:((えっ、ジェイルも知らなかったのか?))

ジェイル:((この位置は、丁度資料室のあった辺りなんだが、

     地下があるなんて、聞いたことも無かった。))

パイン:((なにか重要な物が保管されているんじゃないか?))

サール:((そうですね。なんか、ワクワクしますよ。))

ジェイル:((そうだな、一体なにが保管されているんだろう?))

パイン:((とりあえず、開けてみよう。))

そして、パインがその蓋を開けた。


そこには、垂直に続く穴があった。

そして、その壁には、梯子がついていた。


ジェイル:((おーーーっ、

     なんだが秘密基地って感じがするな。))

パイン:((だな。))

サール:((ですね。))

男性陣3人は、心躍らせていた。

女性陣2人は、しらけた顔でそれを見ていた。


パインは突然真剣な顔になると言った。

パイン:((よし、それでは突入する。

    残りの者は、上で待機するように。))

ジェイル:((ラジャー。))

サール:((了解。))

そして、2人は敬礼した。

パインもそれに答えて敬礼した。


それを見ていた女性陣は思わず失笑した。

アリス:((ぷぷぷっ。))

シェリル:((うふふ。))


パインが梯子をゆっくりと降りていった。

梯子は、それほど長くなかった。

下まで降りると、1本の通路が続いていた。

その通路の先に扉が見えた。

その扉には魔法陣は描かれていなかった。


パインは安全を確認して、全員に降りてくるように指示した。

そして、全員が揃うと、扉の前に集まった。

C:「秘密の部屋ですか。」

A:「えぇ、ちょっと気になりますね。

  つぎに続くなにかがあるんですかね?」

C:「どうでしょうね。」

A:「ローゼスの屋敷ですし、

  召喚士かドラゴンに関する何かがありそうですが、、、。」

C:「その部屋を誰が作ったかによるのでは?」

A:「誰が作ったか知ってるんですか?」

C:「いえいえ、ないしょです。」


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