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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
英雄の誓い
36/99

ドラゴンの骨と眠り姫

そこは、まさに巨大な穴と呼ぶに値する場所だった。

天然の円形の石の壁、それが垂直に天まで延びている。

上から見ることができたら、地獄へと続く穴のように

見えるのだろう。

その穴の底は、思ったよりも明るかった。

サールが魔法で明るくなっているのだろうと説明した。

そして、その穴の中心に到底信じられないような物があった。

それは、巨大な骨だった。

それを目にしたとき、全員が息を呑んだ。

そして、呆然と眺めていた。

最初に声をあげたのは、ジェイルだった。


ジェイル:((これが、ドラゴンの骨なのか?))

サール:((ドラゴンは、壁画しか見たことがありませんから、

    よくわからないんですが、羽があったんですかね?

    この骨はどちらかというと鳥じゃないですか?))

パイン:((いや、しかし鳥にしては、大きすぎるだろ、、、。

    それに、歯のようなものもある。

    鳥って、歯あったっけ?))

サール:((そうですね。鳥には歯は無かったと思います。

    ということは、鳥ではないということですか?))

ジェイル:((そうだな、たぶんエイガルにも良く分からない骨

     だったんだろう。

     それで、ドラゴンじゃないかと思ったんだろうな。))

サール:((確かに、実際に見たこと無い以上、

    ドラゴンと考えてもおかしくないですね。))

パイン:((そうだ、シロだったら何かわかるかもしれないな。))

ジェイル:((そうだな、聞いてみるか。))

そして、アリスとシロの気配のする方向を見た。


そこでは、アリスが投げた骨(?)をシロが咥えて

戻ってくるという、いわゆるボール遊びが行われていた。


パイン:((シロって、ネコじゃなかったっけ?))

サール:((いえ、幻獣ですよ。))

パイン:((あぁ、そうだった。))

ジェイル:((シロ、ちょっと見てほしいのだが。))

シロ:((なんにゃ、いそがしいにゃ。))

アリス:((よし、シロちゃん、いくよ。))

シロ:((あいにゃ。))

そして、また骨(?)が投げられた。

パイン:((アリス、ちょっときてくれよ。))

アリス:((はーい。ちょっとまってね。))

シロが咥えて戻ってくると、ボール遊びをやめて、

一緒にやってきた。


ジェイル:((この骨なんだが、何の骨か分かるか?))

シロ:((分かるわけないにゃ。))

パイン:((そうか、そうだよな、、、。))

シロ:((なんにゃ、その言い方やめるにゃ。

   アリス、パインなんかやめるにゃ。))

アリス:((えっ、ちょ、ちょっと何言っているの?))

アリスがシロを睨み付けた。

アリス:((シ・ロ・ちゃん。))

シロ:((んぎゃー!!。アリスが怒ったにゃん。))

シロは骨の山の後ろへと逃げていった。

そして、アリスがそれを追いかけていった。

このとき、パインは、

 (なんだったんだ、いまのは?)

と思っていた。


ジェイル:((さて、これ以上これを見ていても意味がないな。))

パイン:((そうだ、ローゼスの手記に書かれていたアンジェラの

    寝ていた場所というのは、ここから魔法陣を飛んだ

    所だったと思うんだが、、、。))

ジェイル:((ああ、そう書いてあった。

     これから、そこに向かってみよう。))

サール:((そうですね、召喚士について何か分かるかも

    しれないですね。))

アリスは、まだシロと追いかけっこをやっていた。

パイン:((アリス、いくぞ。))

アリス:((はーい。))

アリスは、立ち止まると、シロを呼んだ。

アリス:((シロちゃん、いくよ。))

シロ:((あいにゃ。))

そして、シロがアリスの元へと駆け寄って行く。

パインはそれを見て、いいコンビだなと思った。


パイン達がいる穴の底には、いくつかの横穴があった。

彼等は最初の横穴から、時計回りに1つづつ確認してゆく。

しかし、今までの横穴は、すぐに行き止まりだった。

そして今、彼等は反対側の横穴を進んでいた。


パイン:((この横穴は、前よりも長いようだな。))

その道は、なにかを避けて作ったのだろうか、

緩やかなS字を描いていた。

そして、S字を抜けると、目の前に扉があった。

その扉にも魔法陣は描かれていなかった。

しかし、先ほどのドアと同じように文字が彫られていた。


パイン:(("眠り姫の部屋"だってさ。))

ジェイル:((おっ、ついにあったか。

     さて、拝ませて貰おうかな、

     眠り姫の部屋を、、、。))

アリス:((ジェイル、その言い方、なんかいやらしいよ。))

パイン:((だな。))

サール:((ですね。))

ジェイル:((えっ、そーなの?

     小説で敵がヒーローの仮面を剥ぎ取ろうとしたとき

     言っていた言葉なんだけどな、、、。))

パイン:((小説の台詞をつかったのか、、、。))

ジェイル:((まあ、いい、さっさと入ろう。))


まず、パインが扉を開け中に入った。

その部屋は、岩をくりぬいただけのただの空洞だった。

その部屋の真ん中に魔法陣が描かれていた。

そして、壁際に申し訳なさそうに机が置かれていた。


パインは、周りを見回し何もいないことを確認すると、

全員が中へと入る。


サールが真っ先に魔法陣に駆け寄り調べ始めた。

パインとジェイルは、机に向かった。


そして、机の上に紙の束を見つけた。

紙の束は、ぼろぼろで読むことは不可能だった。

しかし、数枚下の紙は、かろうじて読むことができた。

そこには、こう書かれていた。


ズールが言うには、この魔法陣はかなり危険とのことだ。

私は、魔法については詳しくない。

やはり、ここはズールに任せたほうがいいのだろう。

しかし、こんなときに、勅命が来るとは考えてもいなかった。

遺跡調査には不服はないが、このタイミングが問題だ。

眠り姫の傍を離れることが残念でならない。

それにしても、この眠り姫は、どうやって起すのだろうか?

この場にいなくとも、そのことが頭を離れることはないだろう。


2人でこの手記について話していたとき、サールが言った。

サール:((この魔法陣、シェリルのいた場所のものと

    ほとんど一緒です。))

ジェイル:((やはりそうか、ということは、

     アンジェラが寝ていた場所という事か、、、。))

シェリル:((あのーー。))

ジェイル:((どうした?))

シェリル:((思い出した事があるんですが、、、。))

その発言で、全員がシェリルの元へと集まる。


ジェイル:((何を思い出したんだ?))

シェリル:((ここに来たことがあります。

     そして、ここに別の部屋がある事を

     思い出しました。))

ジェイル:((なんだって、その部屋はどこに?))

シェリル:((確か、こっちです。))

シェリルが、奥の方へと移動する。

シェリル:((ここです。))

そこは、むき出しの岩があるだけだった。

ジェイル:((何もなさそうだが、、、。))

シェリル:((たしか、そう、ここです。))

シェリルが行った壁には、沢山の穴が開いていた。

その中の1つに手を入れた。

 「ガコッ、ゴゴゴゴゴゴッ。」

大きな音と共に、シェリルが示した位置に口が開いた。

ジェイル:((こんなところに、、、。))

全員が黙ってその口を見ていた。


口火を切ったのは、パインだった。

パイン:((よし、入ってみよう。))

パインが先陣を切って中へと入った。


そこには、大きめの空洞があった。

手前の地面には魔法陣が描かれていた。

そして、奥には、大きな魔法陣が描かれていた。

パインは、安全を確認し、全員を中へ入れた。


サールは、すぐに魔法陣へと向かった。

他のものは、中を見物していた。


サール:((手前の魔法陣は、先ほどの魔法陣に近い物ですね。

    そして、奥の魔法陣は、ズールが座っていた魔法陣に

    近いものだとおもいます。))

ジェイル:((ということは、時間を止める魔法陣だった

     可能性があるということだな。))

サール:((そうですね。

    しかし、断言することは出来ません。))

パイン:((サール、1つ質問していいか?))

サール:((なんですか?))

パイン:((前から気になってたんだが、魔法陣で似ていると

    言うのは、どういう意味なんだ?))

サール:((あぁ、そのことですか。

    魔法陣は、複数の円や線と魔法文字で

    構成されています。

    魔法文字自体は、現在確認されているもので、

    千近くあります。

    その1文字毎に意味がありまして。

    その文字の組み合わせで描かれているのです。

    円や線は文字の力を混ざらないように分けたり、

    その力を溜めて置く領域を確保するためのものです。

    いわゆる分割線ですね。

    ただし、方位については意味があります。

    まあ、ここを話すと長くなるのでやめましょう。

    ということで、ある程度までは推測ができるのです。

    しかし、未知の文字もまだ多数あり、否定文字や

    複数の文字で意味を成す複合文字などがあるため、

    確定することができないんです。

    同じ転移の魔法陣でも人によって選ぶ魔法文字が

    違うなど、色々とあるんですよ。))

パイン:((へーー。魔法陣って奥が深いんだな。))

サールは、目をキラキラとさせて答えた。

サール:((えぇ、だからこそ、面白いんですよ。))

パイン:((そんなものなのか。))


パイン達は、この後しばらくその空洞を調べた。

しかし、新しい事実を発見する事は出来なかった。

そのため、一旦戻ることを決めた。


A:「なんか、がっかりですよ。」

C:「えっ、なにが?」

A:「だって、眠り姫の部屋で、

  なんの情報も得られないなんて。」

C:「何を期待していたんですか?」

A:「もっと、真相に近づく何かが、あると思ったのですが。」

C:「いや、まだ、章の前半ですよ。

  ここで分かると、あとで困る。」

A:「えっ、困る?」

C:「いえいえ、作者の代弁です。」



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