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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
英雄の誓い
29/99

シェリルの記憶2

ジェイルの屋敷へ到着すると、シロを呼び出し

屋敷の中へと入っていった。

そこにシェリルがいた。


アリス:「あっ、シェリルさん。」

シェリル:「?」

シェリルは不思議そうな顔で見ていた。

パイン:「あっ、そうか、

    あの時はまだ目覚めてなかったですね。」

シェリルは少しびっくりした顔で答えた。

シェリル:「もしかして、私を助けてくださった方々ですか?」

ジェイル:「そう、彼等が貴方を救い出したのです。」

シェリル:「そうでしたか、ありがとうございます。」

3人+1匹は、テレながら答えた。

パイン:「いえいえ、どういたしまして。」

アリス:「とーぜんのことですよ。」

そう言って、アリスはピースサインを出す。

サール:「問題ありませんよ。」

シロ:「とーぜんにゃ。」

シェリル:「しゃ、しゃべった!!」

シェリルの顔がみるみる血の気が引いてゆくのが分かった。

そして、身体を硬直させたまま、後ろに倒れた。

4人:「!!」

パインがとっさに手を伸ばし、彼女を抱きかかえる。

そして、玄関ロビーの端にあるソファーの上に横たえた。

ジェイルがポールに指示し、すぐに屋敷の常駐医師を呼んだ。

医師の説明によると、ショック性意識消失と説明を受けた。


4人は、シェリルの周りに集まった。

パイン:「一体どうしたんだろう?」

ジェイル:「いや、こんなこと初めてだよ。」

アリス:「シロちゃんがしゃべったからびっくりしたのかな?」

ジェイル:「ああ、そうだな。

     しばらく目を覚まさないだろう。

     そうだ、サール、魔法語よめたよな。

     すまないが、ちょっと来てくれないか。」

サール:「分かりました。」

ジェイル:「パインとアリスは、シェリルを頼んだ。」

パイン:「わかった。」

アリス:「はーい。」

そして、2人は玄関ロビーを後にした。


残った2人は、シェリルを見ていた。

しばらくすると、シェリルが目をさました。

パイン:「大丈夫ですか?」

シェリル:「えぇ、どうしたのかしら。」

そして、ソファーに座りなおす。

アリスがシロのことを説明した。

シェリル:「この子、シロちゃんっていうのね。

     おいで。」

シロがシェリルに近寄る。

シロ:「ごめんにゃん。」

そう言って、シェリルの膝の上に乗っかる。

シェリルはシロの頭をなでながら、思い出そうとしていた。

シェリル:「あぁ、そうだった。

     あれがしゃべったから驚いたのよ。

     あの、ゴリラがしゃべったから、、、。」

2人:「!!」

2人が顔を見合わせ驚いた顔をした。

パインの身体がぷるぷると震えだし、次の瞬間、大爆笑した。

パイン:「ブァッハッハッハッハッ。」

アリスは、それを唖然と見ているシェリルに近寄ると

なにやらゴニョゴニョと耳打ちしていた。


パインの笑いも治まり、落ち着いたところで、

改めて自己紹介を行った。

その時、サールとジェイルが戻ってきた。


ジェイル:「おっ、目が覚めたか。

     大丈夫か?」

シェリル:「はい、もう大丈夫です。」

サール:「それは良かった。」

シェリルがサールを見てそして近づいた。

シェリル:「気を落とさないでくださいね。

     必ずその日は訪れます。

     それまで、がんばってください。」

サール:「???」

サールは、なにを言われてるのか良く分からなかったが、

反射的に答えた。

サール:「はい、分かりました。」

アリスはそれをニヤニヤしながら見ていた。

その後、5人は改めてパーティーを組みなおすと、

ズールの屋敷へと飛んだ。


ズールの屋敷は、改装工事中だった。

パイン:「なにやってるんだ?」

ジェイル:「色々なところが痛んでいたので、

     修繕しているんだよ。

     日によって壁が動くから、テーマパークとして

     使えないかと思ってね。

     恐怖の館ってところだ。」

パイン:「おまえ、そんなことまで考えてるのかよ。」

ジェイル:「結社のメンバーを養うにはお金がいるんだよ。

     色々とあるぞ、雑貨屋だろ、飲食店だろ、

     まあ、一番の稼ぎ頭は、プリティーベアーズだ。」

サール:「なんですとーーーーーっ!!。

    ジェイルさんは、プリティーベアーズの創業者

    なんですか?」

ジェイル:「そうだけど。」

サール:「なっ、なかよくしましょう。」

そう言って、ジェイルの手を取ると尊敬のまなざしで見つめた。

そのキラキラと輝く瞳は、まるで恋する乙女の目のようだった。


5人が屋敷の中へ入ると、中の装飾もかなり変わっていた。

前回来た時より、さらにおどろおどろしさが増していたのだ。

しかし、照明がついているため、怖さは半減していた。

パイン:「これ、照明暗くしたら、やばくないか?」

アリス:「じゃあ、まだまだかな。

    パイン怖がりだし、、、。」

ジェイル:「なるほど、パイン測定器か、、、。

     ぜひ利用させてもらいたい。」

パイン:「えっ、そっ、それは、、、。」

そんな会話をしながら、例の部屋へと向かった。


5人は複数ある転移の魔法陣の1つの上に立つ。

着いた場所は、洞窟の中だった。

魔法陣の周りには、様々な道具が並んでいた。

探索用の道具類らしかった。


少し進むと、そこは広場のような空間があった。

上を見ると、空が見えるため、穴の底と思われた。


広場の中心を見ると、

白い石で作られたと思われる崩れた建造物があった。

見る限りかなり大きく、ジェイルの屋敷に匹敵するほどの

大きさがあったのではないだろうか。

柱は崩れ、かろうじて残っている柱もかなり傷んでいる

ようだった。


サール:「これが古代文明の遺跡?」

ジェイル:「たぶんそうだろうな。

     研究員の予算が都合できなくて、

     まだ、ほとんど手付かずだ。」

パインが少しあきれた顔で言った。

パイン:「それで、無料の俺達のところにきたのか、、、。」

ジェイル:「そう言うな、アリスに譲ったみたいに、

     めぼしいものを見つけたら、お前達にもやるから。」

パインの顔に笑顔が戻る。

パイン:「おっ、それは助かる。」

アリス:「私もほしーーーい。」

サール:「私もなにかほしいですね。」

3人はお宝の件で盛り上がっていた。


シェリルは一人でたたずんでいた。

ジェイルがそれに気がつきシェリルに近づく。

シェリル:「この景色、見覚えがある。」

ジェイル:「えっ?」

シェリル:「そう、お父様と一緒にここに来た記憶が、、、。」

シェリルの顔が突然歪んだ。

シェリル:「あっ、頭が痛い、、、。」

そして、頭を抱えしゃがみこむ。


ジェイル:「シェリル、大丈夫か?

     無理するな。

     無理して思い出すことはない。」

シェリルが突然叫んだ。

シェリル:「あっ。」

その声で、アリスがその方向を見る。

そして急に立ち上がる。

 「ゴッン!!」

シェリルが頭を抱えてしゃがみこむ。

そして、星が舞うなかそれを見た。

その特徴的な柱を、、、。

そこに向かってジェイルがふらふらと歩いてゆくのが、、、。

アリス:「ヘッドバッド!!、、、バッド、、、ド、、、」

アリスの声が辺りにこだました。

パインとサールは、その言葉の意味することが判らなかった。


3人は、シェリルを見た。

そして、しゃがみこんで頭を抑えるシェリルの元へ、

ジェイルを除く全員が集まってきた。

パイン:「シェリル、大丈夫か?」

シェリルが頭を摩りながら答えた。

シェリル:「実は、子供の頃に、ここに来ました。

     そして、あの特徴的な柱の根元になにか埋めたのを

     思い出したんです。

     本当に来ていたら、きっと埋まっているはず。」

そう言って、1本の柱を指差した。

その柱は、他の柱と違って、模様が彫られていた。

太さも他の柱よりも太かった。

4人がそれを見ると、その柱の根元にジェイルが座っていた。

パイン:「さすが、ジェイル、事前に分かっていたみたいだな。」

アリス:「すごーい。」


柱に近づく。

アリスがジェイルをつんつんと突く。

アリス:「ジェイル、寝てるみたい。」

パイン:「疲れてるんだろうな。

    俺達だけで、掘るか。

    さて、なにか道具になるようなもの無いかな。」

パインが辺りを見回す。

サール:「たしか、魔法陣の近くにスコップがありましたね。

    ちょっといって取ってきます。」

サールが魔法陣の方へと離れていった。


サールが離れるのを確認すると、シェリルが言った。

シェリル:「それにしても、すごい魔法ですね。」

パイン:「えっ?、なにが?」

シェリル:「サールさんですよ。

     魔法でゴリラに変えられているなんて、、、。」

パインはビックリしてアリスを見る。

パイン:「ア・リ・ス。」

アリスは、右手を軽く握り、頭の上に置くと、

 「テヘッ。」

と言い、舌を出した。


その後、信じて疑わないシェリルに事情を説明するのに

時間を要した。

誤解も解けた頃にサールがスコップを持って戻ってきた。

3人がサールを見る。

サールは、自分を見る視線がいつもと違うことを感じ取り、

おもむろに聞いた。

サール:「どうしました?」

パイン:「いや、なんでもない。

    なっ、なんでもないよな?」

パインが3人に同意を求めるように確認する。

アリス:「なんでもないですよーーーっ。」

シェリル:「えぇ、なんでもないです。」

戸惑う3人を見て、サールは少し気になったが、

考えるのをやめた。

サール:「さあ、掘ってみますか。」

そう言って、持ってきたスコップの1つをパインに渡した。


パインとサールが、掘ってゆくと、なにか硬いものに当たった。

そして、慎重にそれを取り上げた。

それは、10cmぐらいの小さな立方体だった。

周りについた土を払うと、その全貌がはっきりとした。

全ての面には魔法陣が彫られており、中になにか入っているのか

カラカラと音がする。

パイン:「なにかの箱みたいだな。

    なかに何かはいってるみたいだ。」

サール:「えぇ、そうですね。」

アリス:「一体なにが入ってるんだろう?」

その箱には、継ぎ目が無く、開けることは出来なさそうだった。


サール:「ちょっと見せて下さい。

    魔法陣からなにか分かるかもしれません。」

サールはそれを受け取ると、じっくりと観察する。

そして、言った。

サール:「どうやら、施錠の魔法陣みたいですね。」

施錠の魔法陣、それは、扉や箱に鍵をかける魔法陣で、

特定の物、言葉や動作などを鍵として設定することによって、

開かないようにできる魔法陣だ。


この箱の中には、何が入っているのだろうか?

ジェイル以外の全員がそれを考えていた。

A:「シェリルって、純粋なんですね。

  アリスの嘘を信じちゃうなんて、、、。」

C:「アリスのいたずら多すぎですな。」

A:「えっ?、そうですか?

  きっと一人っ子だから、

  かまってほしいチャンなんですよ。」

C:「なるほど、そういうことにしておきましょう。」

A:「それはそうと、箱があったということは、

  シェリルは、子供の頃にここに来たのは正しそうですね。」

C:「えぇ、来たんでしょうね、きっと、、、。」

A:「それに、あの箱なんでしょうね?」

C:「ですね、それに、どうやって開けるのか?」

A:「謎が増えてゆくということですね。」

C:「そのあたりは、おいおいと、、、。」


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