肖像画の女性
第2特別室に入ると、パインは品々を眺めた。
パイン:「この部屋は?」
コーラル:「ここには、展示対象外となった品々を
管理しています。
調査中の物がほとんどですが、
中には公開禁止の品もあります。」
そこには、幻獣召喚時に使用したものと同じ勾玉のような物も
置いてあった。
パイン:((この勾玉は、召喚したときに使ったやつだよな?))
サール:((えぇ、たぶん同じものでしょう。))
その時、ジェイルは、奥の棚をゴソゴソと何かを探していた。
そして、パインが棚の上に杖を見つけた。
パイン:((サール、あれを見ろ。))
サール:((アリスがもらった杖じゃないか?))
パイン:((あぁ、そっくりだ。))
2人が杖を見ているとコーラルが話しかけてきた。
コーラル:「その杖が気になりますか?」
パイン:「えぇ。」
コーラル:「その杖は、召喚士が持っていたと言われる杖です。」
パイン:((やっぱり、あの杖だな。))
サール:((間違いないですね。))
コーラル:「上部の宝石の中に魔法陣が描かれています。
そして、一緒に保管されていた、この巻物には、
その効果が記されていました。
現在では、召喚士が存在していませんので、
確認する方法がないのですが、当時の人々は
何かしらの方法で確認していたのだと思われます。」
そう言って、杖の横にある巻物を指差した。
サールは、少し考えると、口を開いた。
サール:「この杖は、何本あるんですか?」
コーラル:「えっ?、1本しかありませんよ。」
サール:「ちょっと見ていいですか?」
コーラル:「はい、どうぞ。」
そして、サールは、杖を手にとって詳しく調べた。
サール:((なるほど、そういうことか。))
パイン:((どういうこと?))
サール:((この杖の上部の宝石の中に魔法陣はありませんでした。
やっぱり、ジェイルは、
ここの品を持ち出していたんですよ。))
パイン:((それなら、間違いないだろうな。))
サール:((アリスが持っていたのが本物。
これが、偽物。))
パイン:((あの杖を持ったときの、
アリスの反応を考えるとそうだろうな。))
サール:((えぇ、巻物に書かれていたことは事実でしょうね。))
パイン:((そうなるな。))
サール:((そうすると、あの巻物が書かれたときには、
召喚士がいた可能性が高くなります。))
パイン:((なるほど。))
サール:「ところで、その一緒に保管されていた
巻物が書かれたのは、いつ頃か分かりますか?」
コーラル:「ちょっと待って下さい。」
コーラルが巻物を開いて中を確認する。
コーラル:「当主は、エイガルとなっていますね。」
サール:「エイガル?」
コーラル:「えーと、肖像画で奥方様と一緒に描かれていた方
ですよ。」
サール:((これは、あくまで、想像ですが。
あの肖像画の女性が召喚士だとします。
そう考えると巻物の事も納得いきます。))
パイン:((ふむふむ。))
サール:((そして、シヴァの言っていたあの言葉。))
パイン:((あの言葉?))
サール:((古の血の契約。))
パイン:((あぁ、そんな事言ってたらしいな。))
サール:((それが、血族のことだとすると。
アリスは肖像画の女性の子孫ということになります。))
パイン:((えっ、それって、こじつけじゃないか?))
サール:((ズールの屋敷の魔法陣を思い出して下さい。
あの魔法陣の発動条件は血族。
そして、シロが言ったのが血の刻印。))
パイン:((んー。どうなんだろう?))
その時、ジェイルが、突然声を上げた。
ジェイル:「お前達の考えている事は、分かっているぞ。」
2人:「?」
ジェイル:「肖像画の女性、彼女はアンジェラというのだが、
召喚士だったんじゃないかと思っているだろう?」
サール:「えっ?」
パイン:「なんだと、何故分かった?」
ジェイル:(やった、言わせてやったぞ、、、。)
ジェイルは、ガッツポーズをするとニヤニヤしながら答えた。
ジェイル:「過去に私もそう考えたんだよ。」
サール:「そうでしたか。」
ジェイル:「まずは、これを見ろ。」
そう言って、1本の巻物を取り出した。
ジェイル:「これは、ロミュラン家の家系図だ。」
2人は、それを見る。
ジェイル:「アンジェラの先を見てみろ。」
サール:「これは、、、。」
パイン:「なんだと、、、。」
そこには、アンジェラの子孫の1人がロミュラン家に嫁いで
いることが書かれていた。
パイン:「ジェイル、お前まさかアンジェラさんの子孫なのか?」
ジェイル:「あぁ、そう言うことだ。
私も、お前達と同じように考えた。
そして、血族の私も召喚士になれるのではないかと、
考えたんだよ。
そして、召喚の儀式を行ったんだ。
残念ながら、私はなれなかったがな。」
サール:「なるほど。
そして、アリスが召喚士になった。」
パイン:「じゃあ、召喚士の資格ってなんなんだ?」
ジェイル:「残念だが、それはまだ判明していない。
しかし、それに繋がる情報は見つけた。」
サール:「その情報とは?」
ジェイル:「そう、私が見せたかったのは、これだ。」
ジェイルは、全身タイツのお腹のところについてた
ポケットから、紙の束を取り出した。
ジェイル:「テレレッテテー♪
エイガルの、しゅきーーーっ!!」
2人はその紙の束を見つめた。
ジェイル:「これは、エイガルが書いた手記なんだが、
これには、とんでもないことが書かれていた。」
パイン:「とんでもないこと?」
サール:「なんですか、それは。」
ジェイル:「実は、ズールの屋敷の件が無かったら、
私も信じてはいなかった。」
サール:「まさか、あのシェリルが寝ていた魔法陣ですか?」
ジェイル:「そうだ。
このエイガルの手記に書かれている内容はこうだ。」
そして、ジェイルは静かに手記を読み始めた。
ジェイル:「私はズールと共に、ドラゴンの遺跡を調査していた。
その遺跡の先で、ドラゴンと思われる骨を発見した。
その骨の先には、魔法陣があった。
調査の結果、魔法陣は転送の魔法陣だと判明した。
我々はその魔法陣を使って、その先へと飛んだ。
そこで、眠っている美しい女性を発見した。
彼女は手に1本の杖を持ち、まったく動かなかった。
しかし、ここは、古代遺跡だ。
もし、死んでいるのなら、ミイラ化していても
おかしくは無い。
きっと、彼女の下にある魔法陣と関係があるのだろう。
我々は、彼女とその下に書かれている魔法陣の
調査を開始した。
調査には時間がかかった。
何回目かの調査で、ズールがある仮説を言い始めた。
ズールが言うには、時間を止める魔法陣ではないかと
言うのだ。
私は、それが信じられなかった。
しかし、彼女をみるかぎり、
それを否定することもできなかった。
私は国王様の命で、この遺跡を一ヶ月ほど、
離れることになった。
そして戻ってきたその日、ズールがあの女性と共に
私のところへやってきたのだ。
その女性は、間違いなく眠っていた女性だった。
どうやって、その女性を起こしたのか?
私は、彼に問い詰めた。
しかし、彼は、それを決して教えてくれなかった。
その後、彼は彼女を私に託すと故郷へと戻った。
彼女は、記憶を失っていた。
そして、初めは言葉も通じなかった。
私は、彼女にアンジェラという名前をつけた。
彼女と意思疎通することが日課になった。
私は遺跡のことも忘れ、彼女に夢中になっていった。
私は、国王様に全てを報告した上で、
彼女を妻として娶った。
この後分かったことだが、あの遺跡へと続く魔法陣を
ズールは壊していたのだ。
私は、その件について一時憤慨したが、
そのことよりも、アンジェラとの日々を優先した。」
ジェイルは、一息つくと、全身タイツのお腹のところについてた
ポケットから、紙の束を取り出した。
ジェイル:「テレレッテテー♪
手記のつづきーーーっ!!」
そして、続きを読み始めた。
ジェイル:「アンジェラは不思議な女性だった。
時折、彼女は誰もいない部屋で話をしているのだ。
彼女に聞くと、彼女の中にいる誰かと話をしていると
いうのだ。
しかし、結局それが誰かは、教えてもらえなかった。
もう一つ気になったことがあった。
それは、彼女の左胸あたりに星型のアザが
あったことだ。
このアザは自然に出来たものとは思えなかった。
まるで人為的に付けられた様に鮮やかな星型だった。
アンジェラとの間に2人の子供が授けられた。
1人は男児、1人は女児だった。
女児は、産まれる前から親友のシュルトス公爵の
ところへ嫁ぐ事が決定していた。
そんな中、アンジェラと子供達の周りで不可解な
出来事が起き始めた。
その始まりは、アンジェラが誰かに見られている
と言う言葉だった。
その直後から事故が多発した。
怪我することは無かったが、アンジェラか子供達を
狙っているように思われた。
この件をシュルトス公爵に相談すると、
彼は全面的に協力してくれると言ってくれた。
私達は私設の護衛部隊を新設した。
そして、秘密裏にアンジェラ達を
護衛することにした。
もし、私が天に召された後に、彼女の子孫が
狙われたとしても、彼等が護衛してくれるだろう。
かなり省いたが、こんなところだ。」
ジェイルは、喋り疲れたのか、ゼイゼイと息をしていた。
サール:「話は、大筋分かりました。
アリスは、アンジェラの子孫ということなんですよね。
そして、アリスを狙う者達と護衛する者達がいると。」
ジェイル:「そう言うことになるな。」
パイン:「まてよ、そうなると、アリスを殺さなかった
ということは、アリスを連れ去ったのは、護衛する者
なのか?」
ジェイル:「ピンポン!!、大正解です。」
パイン:「まさか、お前知ってたのか?」
ジェイル:「あぁ、知っていたよ。
まあ、知ったのはアリスが誘拐される前日だけどな。
それで、アリスを探していたところで、
あの事件に遭遇したんだ。」
パイン:「何故、黙ってた。」
ジェイル:「ここまで、たどり着く過程が見たかったからだよ。
それに、本当に危険だったら、
こんな時間がかかることやってないだろ。」
パイン:「くそ、お前なんなんだよ。」
サール:「まあまあ、アリスが無事ということが分かったので、
よしとしましょう。
で、アリスは、どこに居るのですか?」
ジェイル:「これから、案内するから、ついて来い。」
そして、3人は、ローゼスの屋敷を後にした。
C:「こんにちわ、Cです。」
A:「アシスタントのAです。」
C:「だんだんと真相が明らかになっていきますね。」
A:「えぇ、ジェイルが知っていたとは、驚きです。
それに、ジェイルってば、"なんで分かった"って
言わせたかったんですかね?」
C:「まあ、何回も言わされてたし、言わせたくなる気持ちも
分からないではないですが、、、。」
A:「えっ、そうですか?」
C:「Aさんは、その気持ち、分からないですか?」
A:「キリッ!!、えぇ、まったく分かりません。」
C:「あらら。」
C:「そういえば、ジェイルが紙の束を取り出すところは、
ド○えもんを意識していたらしいのですが、
分かりましたか?」
A:「えっ、そうだったんですか?」
C:「分かりませんでしたか、、、。
それは、残念、、、。」




