シュルトス公爵
3人は、ジェイルが用意していた馬車に乗っていた。
ジェイル以外、行き先をしらない。
ジェイルは何か考え事をしているようで、
ぼんやりと夕日で赤く染まる町並みを眺めていた。
パインもサールもその雰囲気に声をかけづらい状況だった。
そんな中、パインは思い切ってジェイルに声をかけた。
パイン:「ところで、ジェイル」
ジェイル:「ん?」
ジェイルの返事はつれないものだった。
パイン:「お前の屋敷で俺達を閉じ込めたときがあっただろ?」
ジェイル:「あぁ。」
パイン:「あの時、気が変わっただけと言っていたが、
なにか理由があったんじゃないか?」
ジェイルがしんみりと話し始めた。
ジェイル:「あぁ、あの時は、父上に言われたんだよ。
アリスを連れて行けってな。
理由は言わなかったけどな。
結果的にアリスが召喚士になったけどな。
だが、俺には本来の目的である、
"ドラゴン使い"
になる夢が残っている。
そう、あの"従僕の剣"ってあっただろ。
あの剣は、ズールの屋敷で見つけた巻物に
書かれていた情報を元に俺が作らせたんだ。
笑っちゃうだろ、実物なんて見たこと無いのに
想像で作らせたんだぜ。
そんなもの、存在しないかもしれないのに。」
2人は黙ってジェイルの話を聞いていた。
突然、ジェイルのテンションが上がった。
ジェイル:「だが、アリスが召喚士になった。
ということはだ、、、。
あの巻物に書かれていたことが
事実である可能性が高いということだ。
そう、"従僕の剣"はきっと存在する。」
そう言って、勢い良く立ち上がった。
「ゴッン!!」
ジェイルの目の前にキラキラと星が輝いた。
ジェイル:「いてててて。」
ジェイルが頭を抱え、うずくまった。
パイン:「おい、大丈夫か?」
ジェイル:「そうだ、思い出した。
アリスにあったら確認しようと思っていたんだ。」
パイン:「なにをだ?」
ジェイル:「星型のアザだよ。
アリスにそれがあるか?ということだ。」
パイン:「あぁ、それなら、俺も聞こうと思っていたよ。」
ジェイル:「・・・。」
そんな会話が続く中、馬車は目的地へと到着した。
そこは、豪邸だった。
パイン:「すごいな、この屋敷。
ジェイルの屋敷より大きいんじゃないか?」
ジェイルは、くやしそうに言った。
ジェイル:「あぁ、さすが公爵様の屋敷って感じだよな。」
パイン:「公爵様?」
ジェイル:「そうだ、シュルトス公爵の屋敷、
そう、アリスの実家だ。」
パイン:「えーーーーーっ。」
サール:「やっぱり、そうでしたか。」
話は、少し前へと戻る。
アリスが連れて行かれる少し前、彼女はサールに近づいていた。
カバンの中を手探りでゴソゴソと漁る。
薄暗い中だったため、中を確認する事も出来ない。
アリス:(あれ、どれだろ?)
「ゴソゴソ、ゴソゴソ。」
アリスのカバンには色々と私物が入っていた。
アリス:(あった、あった。)
そして、その長い何かを、むんずと掴むと、サールの頭に
ポイッと放り投げた。
その時、1つの指輪を一緒に掴んでいたとも知らずに、、、。
サールの叫び声が聞こえた。
アリス:(やった、私って、グッジョブ!)
そして、クスクスと笑いながらサールに近づいた。
その時、別の叫び声が聞こえた。
その後、サールに作り物である事を告げ、
サールが落としたぬいぐるみを探した。
そして、出口のカーテンから漏れる光に照らされている
倒れたパインを発見した。
アリス:「あっ、パイン、どうしたの?」
その声に反応して、サールがパインに近寄る。
その時突然、手を引かれ、耳元で声がした。
???:「アリスお嬢様、旦那様の緊急事態です。」
アリスが声のするほうを見る。
アリス:「えっ?、クラウス?!」
そして、次の瞬間、転移改の巻物が広げられた。
アリスが辺りを見回すと、そこは見覚えのある屋敷の中だった。
アリス:「クラウス、
どういうこと?
お父様の緊急事態って。」
クラウス:「とりあえず、旦那様の寝室まで、お急ぎ下さい。」
アリスとクラウスは、寝室まで急いだ。
部屋に入ると、ベットに横たわる父親がいた。
そして、横に立っているのは、母親だった。
アリス:「お母様!!」
母親:「あっ、アリス、戻ってきたのですか。」
アリスがベットに近づくと、父親が横になっていた。
アリス:「お父様!!」
そして、アリスが父親を揺すった。
しかし、ピクリとも動かない。
アリス:「えっ?!」
母親が、アリスの手を取り、部屋の外へといざなう。
アリスも黙ってそれに従った。
部屋の外で出ると、アリスはすぐに確認した。
アリス:「一体お父様に何が?」
母親:「聞いてないのですか?」
アリス:「クラウスにお父様の緊急事態だと言われて、、、。」
母親:「オホホホホホ、緊急事態ですか、、、。」
アリス:「えっ?」
母親:「ただの食べすぎですよ。
薬を飲んで寝ているだけです。
きっと、あの人がクラウスに命じたのでしょうね。」
アリス:「フヘッ?、なにそれ。」
母親:「まぁ、せっかく戻ってきたのです。
今日は、ゆっくりとしていきなさい。」
そして、母親はメイドを呼ぶと、アリスの着替えを指示した。
アリスは湯浴みの最中、ずっとパインとサールの
ことが気になっていた。
アリスが湯浴みを済ませ、真っ赤なドレスに身を包むと、
母親の元へと向かった。
アリス:「お母様、パインとサールが心配しているかも?」
母親:「お友達のことですか?」
アリス:「はい。」
母親:「それなら、先ほどロミュラン伯爵のご子息が
来られたので伝えてもらえるよう言っておきましたよ。」
アリス:「ジェイルが来たんですか、、、。
大丈夫かな?」
母親:「伯爵には色々とお願いしていましたので、
大丈夫でしょう。」
アリス:(えっ?一体何をお願いしていたんだろう?)
その疑問を母親に質問しようとしたときに、クラウスが
やってきた。
クラウス:「旦那様がお目覚めになり、
お嬢様をお呼びです。」
アリス:「はい、分かりました。」
クラウスにつれて行かれたのは、書斎だった。
中へ入ると、父親以外の女性がそこにいた。
アリス:「お父様、大丈夫ですか?」
父親:「おぉ、アリスか。
来てくれたのか。
もう、大丈夫だよ。」
アリス:(もう、無理やり、つれてきたくせに、、、。)
そんなことを考えながら、その女性を確認する。
それは、バーバラだった。
アリス:「えっ、バーバラさん?」
バーバラはアリスを見ると、口を開いた。
バーバラ:「アリスさんが、シュルトス公爵のご令嬢だとは
思いもしませんでした。
傭兵協会に登録してあった家族名から
ここにたどり着くまで苦労しましたよ。
存在しない家族名をくっつけるのは、
今後やめて頂きたいですね。」
アリス:「ごめんなさい、
自分の力で色々とやってみたかったので、、、。」
バーバラ:「まあ、それは、よしとします。
それより、いったい何が起きているのか、
色々と聞かせてもらえると助かるのですが、、、。」
父親:「どうやら、アリスのお友達もこちらに来られる
ようなので、食事でもしながらお話ししましょう。」
アリス:「えっ、パインとサールが来るの?」
父親:「今は、ローゼス公爵の屋敷にいるようだ。
マスターバーバラ、いましばらく、お待ち頂けますかな?」
バーバラ:「はい、分かりました。」
パインとサール、そしてジェイルの3人がシュルトス公爵の
屋敷へと到着した。
パイン:「すんげーーーーっ!!」
サール:「ほんとうに、すごすぎですね。」
2人は、その玄関ロビーに唖然としていた。
パイン:「この玄関だけで、俺の家より、何倍も広いよ。」
サール:「えぇ、当然ですが、私の家が何個はいるのか
想像もつきません。」
その時、1人の使用人と思われる男性が複数のメイド達と
共にやってきた。
クラウス:「ようこそ、いらっしゃいました。
執事長のクラウスと申します。」
そう言って、メイド達と共に深々とお辞儀する。
パインは、突然の丁重な挨拶に気が動転してしまった。
パイン:「いえいえ、こちらこそ、なんというか、
アリスが、いや、ちがうか、あの、その、つまり、
とっ、とつじぇん、
おひゃましてしまいまひて、すみまひぇん。」
パインは、どうしたらいいかわからずに、顔を真っ赤にして
しどろもどろに答えた。
サール:「パイン、何言ってるかわかりませんよ。
彼が言うには、突然お邪魔しまして、すみません、
と言っています。」
クラウス:「はい、存じておりますよ。」
クラウスは、ニコニコしながら答えた。
後ろでは、メイド達がクスクスと失笑していた。
クラウスが咳払いをする。
すると、メイド達の失笑がピタリと止まる。
クラウス:「失礼いたしました。
それでは、こちらへおいで下さい。」
そう言われ、クラウスの後に続いた。
部屋に入ると、真っ赤なドレスを着たアリスが立っていた。
アリス:「あっ、パイン。サール。」
パイン:「えっ?アリスなのか?」
アリス:「どぉ?似合ってる?」
そう言って、くるっとターンする。
真っ赤なドレスの裾がヒラヒラと揺らめく。
パインは、アリスの姿に見惚れていた。
サール:「うぉーっ。めちゃくちゃ綺麗ですよ。」
アリス:「そお?ありがとう。サール。」
そして、パインを覗き込むようにじっと見つめる。
サール:((パイン、どうしたんですか?))
パインは、その言葉で、我に返ると、真っ赤になって答えた。
パイン:「ああ、とっても似合ってるよ。」
アリス:「うふっ、ありがとう、パイン。」
その後、3人はクラウスに促されるまま、席につくと、
主人の登場を待った。
C:「アリスは、ご令嬢だったんですか。」
A:「んー、なんか、ありきたりのパターンですね。
もっと、違うパターンを期待していたのですけど、、、。」
C:「まあ、素性を調べたら、貧乏か金持ちか
どっちかになっちゃうでしょうけどね、、、。」
A:「たしかにそうですね。普通の家庭だと、流れ的に
つまらないですし、展開も難しいし、、、。」
C:「まあ、作者の技量次第ってことですか?」
A:「なるほど、作者に技量が足りないと、、、。」
C:「そうで、、、。
あっ、作者が後ろで、メイス構えてますので、
これ以上言うのは、止めておきましょう。」
A:「そうそう、第1章が終わるってききましたが、
本当ですか?」
C:「みたいですね。どうも、第1章はアリスに関するお話
だったみたいですね。」
A:「ということは、この後、パインとかサールとか
ジェイルとかバーバラとかポールとかローザとか
コゴーロとか・・・(そのあと、登場人物を羅列する)。
のお話もあるんですか?」
C:「残念ながら、それについては、
まだ答えることは出来ません。」
A:「ひっぱりますね。」
C:「それより、どうも、番外編を考えているみたいですよ。」
A:「番外編?」
C:「登場人物の裏話らしいですが。」
A:「へぇーーーっ、ちょっと気にはなりますね。」
C:「まあ、期待せずに待ちますかね。」
A:「そうしましょう。」




