ローゼス公爵
パインとサールは、屋敷の入り口に到着したとき、
ジェイルが追いついてきた。
ジェイル:「待てといってるだろ。」
パイン:((無視。))
2人:「・・・。」
ジェイル:「おぃ、私の話を聞け!!」
サール:((無視、無視。))
2人:「・・・。」
ジェイル:「私を無視すると、後悔することになるぞ。」
2人:((無視、無視、無視。))
2人:「・・・。」
ジェイル:「私は、この屋敷の管理者だ。」
パイン:「なに?」
サール:「なんですと?」
2人は、びっくりした顔で、ジェイルを見た。
ジェイル:「そうだ、私は国王様から管理を任されている。」
パイン:((本当なのかな?))
サール:((まあ、誰かが管理しているとは思うのですが。
それに、あの指輪の紋章を見て、ここに来た
ということは、紋章を知っていたのでしょう。))
パイン:((やっぱり、そうだよな。
絶対になにか知っているな。
乗ってみるか?))
サール:((えぇ、そうしましょう。))
パイン:「ジェイル、本当なのか?」
ジェイル:「ついてくれば分かる。」
そう言って、ジェイルは屋敷の中へ入っていった。
2人も後に続く。
屋敷に入ると、玄関ロビーになっており、その真ん中に
受付と思われるカウンターがあった。
ジェイルがそこに向かった。
受付嬢:「ジェイル坊ちゃま、視察かなにかですか?」
ジェイル:「こいつらにローゼス公爵の説明をしてやってくれ。」
受付嬢:「分かりました。担当を呼びますので、お待ち下さい。」
ジェイル:「あと、第2特別室にも入りたい。」
受付嬢:「えっ、第2特別室ですか?」
ジェイル:「あぁ、これが父上の許可書だ。」
受付嬢が許可書を受け取ると、それをチェックする。
パイン:((どうやら、本当に管理者らしいぞ。))
サール:((えぇ、ジェイルのお父様が管理者のようですね。))
パイン:((それに、第2特別室っていうのは?))
サール:((なにか、秘密の部屋って感じですね。))
受付嬢:「問題ありませんね。」
ジェイル:「当たり前だ。直接もらったのだからな。」
受付嬢が、3人分のバッジをジェイルに渡す。
ジェイルがそのバッジを2人に渡す。
ジェイル:「このバッジを見えるところに付けておけ。」
そのバッジには、小さな魔法陣が描かれていた。
2人は、それに従い、見える位置に付けた。
1人の中年の男性が近寄ってきた。
受付嬢:「彼が説明を行います。」
???:「案内役のコーラルです。」
そう言って、お辞儀をする。
2人:「よろしくお願いします。」
2人もお辞儀をした。
コーラル:「それでは、こちらへおいで下さい。」
コーラルは、右奥の扉に向かって歩いてゆく。
3人もそれについて行く。
扉を開けると、広い廊下だった。
壁には何枚もの人物画が飾られていた。
ジェイル:「詳しくなくていいので、簡潔に説明してくれ。」
コーラル:「かしこまりました。
こちらが、初代ローゼス公爵です。
しかし、残念ながら、本人を描いたものでは
ありません。
伝承を元に描いたものとされています。」
それは、いかにも貴族と言う感じの初老の男だった。
コーラルは、話を続けた。
コーラル:「初代の当主は、ルシード王国の建国時に
貢献した人物として有名な人です。
当時この地域には、数十の部族がおり、
争いを行っていました。
そこに、遥か北から1人の若者が数人の
従者を従えてやってきました。
そして、その若者がこの地域を平定し、
国を興したのが、ルシード王国の始まりと
言われています。
その従者の1人が、初代ローゼス公爵です。」
パイン:「北からというのは、どこから来たのですか?」
コーラル:「残念ながら、それは分かりません。
あくまで、伝承であり、記録ではないのです。
そして公爵は、この地でいくつかの古代遺跡を
発見したとされています。
当時の国王様は、その遺跡の発掘および調査を
公爵に任せました。
そして、何代にもわたって、古代遺跡の研究が
行われていきました。」
コーラルは、そう言いながら、廊下を進みだした。
そして、1枚の額縁の前で立ち止まった。
その額縁には人物画は入っておらず、例の紋章と同じ絵が
飾られていた。
コーラル:「ここに描かれているのが、ローゼス家の紋章です。
入ってから、ここまでが伝承の人物画です。
そして、これ以降が記録に残っている人物画です。
しかし、この紋章の間に何人の当主がいたのかは、
はっきりしていないのが現状です。」
サール:「その間の伝承や記録がないってことですね?」
コーラル:「その通りです。」
コーラルは、さらに廊下を進む。
そして、また、1枚の人物画の前で立ち止まった。
その人物画には、当主と共に美しい女性が描かれていた。
今までの人物画は当主のみであった為パインは少し気になった。
コーラル:「こちらの肖像画の女性は公爵の奥方様です。
記録では貴族ではなく一般庶民であったと
されていますが、
その素性は明らかにされていません。
見て分かる通り、奥方様が描かれている肖像画は
これ1枚のみです。
理由は分かりませんが、
特別な意味があるのかもしれません。」
その後、5枚ほどの人物画が続き、終わっていた。
コーラル:「ローゼス家は、この後、最後の当主が跡継ぎを
残す前に死去したため、
家系が途絶えてしまいました。
しかし、その功績と研究成果を後世に残すため、
その屋敷を残すことにしたのですが、
その意思を継ぐと名乗りを上げたのが、
ロミュラン伯爵でした。
他に名乗りを上げるものが居なかったため、
ロミュラン家が管理を任される事となった訳です。」
パイン:「ロミュラン家?」
ジェイル:「私の家系だ。」
パイン:「えーーーっ。」
ジェイル:「驚くこともなかろう?」
パインはジェイルに小声で耳打ちした。
パイン:「お前、趣味でやってたっていったよな?」
ジェイル:「あぁ、言ったよ。」
パイン:「立派な仕事だろ。」
ジェイル:「いや、これは秘密だがな、
記録によるとだ、
面白そうだから引き受けたらしいんだ。」
パイン:「なんだそれは、、、。」
コーラル:「さて、この部屋からが、
代々行われていた研究の成果の部屋となります。」
そう言いながら、扉を開けた。
中へ入ったとき、パインは驚いた。
部屋の中央には、ドラゴンと思われる模型が飾られていた。
コーラル:「この部屋は、ドラゴンの部屋です。」
サール:「ドラゴンの研究をやっていたのですか。」
コーラル:「はい、ドラゴンは伝説や伝承などの物語の生物と
言われていますが、ドラゴンに関する遺物は
数多く存在しています。
しかし、その全てが壁画や石版にかかれた文字や絵のみで
ドラゴンの骨などが発見されたという報告は受けて
いないのが現状です。」
そう言いながら、1つの区画に案内する。
コーラル:「ここにあるのが、古代遺跡で見つかった石版です。
ここには、口から炎を吐いている巨大なトカゲの
ようなものが描かれていますね。」
そこには、剣と盾を持った人間が、巨大なドラゴンに
立ち向かっている絵が描いてあった。
コーラル:「このような石版や壁画が、
複数の遺跡から多数発見されています。」
そして、また歩き出す。
コーラル:「そして、これが、従僕の剣です。」
そこには、1本の短剣が置かれていた。
柄には、宝石がいくつか埋め込まれ、
刃先には魔法陣が描かれている。
パイン:「従僕の剣?」
コーラル:「はい、これは模造品ですが、この剣を持つ者に
ドラゴンが従うと言われています。
記録では、本物の剣があったとされていますが、
真実かどうかは分かりません。」
パインは、ジェイルに近寄ると耳打ちした。
パイン:「ところで、お前の家の倉庫にあるものって、
ここから持ち出したものじゃないだろうな?」
ジェイル:「さぁ?
私には分からんな。」
ジェイルはそれだけ言うと、パインから離れた。
コーラル:「さて、次の部屋へと参りましょう。」
そして、次の部屋の扉を開けた。
その部屋には、多数の絵が飾られていた。
パインは、その絵の中から1枚の絵を見て驚いた。
パイン:「おぃ、あれって、シヴァじゃないか?」
そして、その絵を指差す。
コーラル:「良くご存知ですね。
あれは、幻獣シヴァの絵です。
この部屋は、召喚士の部屋です。」
パイン:「えっ?」
コーラル:「シヴァを知っているということは、召喚士という
言葉を聞いたことがありますね。」
パイン:「はい。」
コーラルは、ゆっくりと進みながら話を続けた。
コーラル:「公爵は、召喚士の研究も行っていました。
召喚士に関する情報は非常に少なく。
ここにあるのは、ほとんどが壁画を絵に起こしたもの
です。
唯一その言葉があるのが、この石版です。」
そして、1つの展示物の前で立ち止まった。
その石版には、古代文字が刻まれていたが、
パインには、当然読むことは出来なかった。
しばらく、2人が無言でそれを見ていると、
ジェイルが突然口を開いた。
ジェイル:「もういいだろう、第2特別室に行こう。」
そう言って、コーラルを見る。
コーラル:「分かりました。それでは、ついてきてください。」
コーラルは、壁に掛けられているカーテンを開くと、
その後ろにあった扉の前でなにやら呪文のような言葉を言い、
扉を開け中に入った。
その小さな部屋には、所狭しと様々な品が置かれていた。
C:「それにしても、相変わらずジェイルは
よくわからない人ですね。」
A:「ジェイルの性格って、もしかしたら、
代々受け継がれているのかも、、、。
面白そうだから引き受けたとか、言ってたし。」
C:「えぇ、そんなこと言ってましたね。」
A:「第2特別室も気になるところです。」
C:「第2ということは、第1もあるんでしょうね。
わたしは、第1の方がきになりますが、、、。」
A:「まあ、第2のほうは、次回でわかるんでしょうね?」
C:「たぶん、分かると思いますが、、、。
これ以上話すと、殴られそうなのでやめておきます。」
A:「それがいいですね、、、。」




