表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/43

出会ったご縁は大切に

さてさて、偶然聞こえてきた男女の会話の中に出た探し物に心当りのあったシャスではあるが、どのように話し掛ければ信じてもらえそうか皆目検討がつかなかった。何せ滅多にお目にかかれないほどの貴重な品々である。


故に、どうしたって怪しさは拭えないだろうと、直球で行くことに決めたシャスであった。信じて貰えなかったら、縁がなかったという事だと割りきったのである。


「あの、すみません。」


「ん?なんだいお嬢ちゃん。」


シャスの呼び掛けに答えたのは、男性の方であった。振り向いた男性は、燃えるような赤い髪に緋色の瞳の偉丈夫で、中々の美形であった。因みに連れの女性は黒髪に紅の瞳のグラマラスな美女であった。


(うひゃー。これはまた、司教長とは別方向の美形だ。野性的ですねー。お姉様もお美しい。眼福、眼福。)


目の保養とばかり心の中で南無南無拝みながら、顔には出さずにシャスは話を切り出した。


「はい。実は偶々聞いてしまったお二人の探し物に心当たりがありまして


「本当か!?」


「本当に!?」


……あ、はい。」


どうやら二人は相当切羽詰まっていたようで、物凄い勢いでシャルへ確認が返ってきた。


二人の勢いに弱冠引きながらも、シャスは内心ホッとし話を続けた。


一角獣ユニコーンの蹄らしきものが未鑑定店に出品されていたんですが、まだ急げば残っている可能性があります。案内しますので、もしお二人がお目当ての物を手に入れる事が出来たら、情報料として価格の一割頂くと言うことでいかがですか?」


「「のった!!」」


(相当探し回ったのかな?)


間髪入れずに返ってきた了承にシャスは思わず苦笑を漏らしてしまったのだった。






お目当ての未鑑定店がギリギリ見える辺りで一度立ち止まり、シャスは二人を振り返った。


「あのウェルニー未鑑定店という出店です。私が見た時は銀貨三枚の価格帯にそれらしいものが置いてありました。」


「そんなに安く売っているの!?」



「はい。未鑑定店ですので、恐らく魔馬ルガオース辺りと検討をつけて出品しているんだと思います。ただ、少ししか見ていませんでしたが、あの店の店主はかなり遣り手だと思われます。客が何度も手にとったり考え込んでた商品は然り気無く価格帯を変動させてましたから。」


「へえ~。それはまた中々遣り手だね。こりゃ足元見られたら値上がりしそうだ。」


「そうね。」


「といってもあそこの未鑑定の最高設定額は銀貨十枚ですから、どちらにしてもお二人に損はないと思いますよ。」


「確かに、本来の価値を考えれば破格の値段ね。」


「よし!じゃあ行ってくるな!」


「お二人とも頑張ってください!私達はここで待ってますね。」


かなりワクワクした雰囲気を出しながら店に向かっていく二人を見送るシャスとガル君。


「うーん。楽しそうだ。幾らになると思います?」


「うむ。ねぎるきまんまんのようだが、あのみせのしゅじんはなかなかてごわそうだの。ただ…。」


「?」


「かいぐいができるていどのじょうほうりょうがもらえるといいのう。」


「ふふ。そうですねー。」


何処までも振れない食いしん坊竜様であった。







「いやぁ。久々に本気で値切った値切った。」


「ふふ。中々楽しかったわね。」


満足そうな男女が祝盃をかわすのを見ながら向かいの席で魔兎ラヴィルの串肉を頬張るシャスとガル君。


未鑑定店で遣り手店主と接戦を繰り広げ、銀貨一枚という安さでユニコーンの蹄を手に入れた二人組は、上機嫌でシャスとガル君を食事に誘ったのだ。簡単にはは手に入らない貴重品を楽しく安価で入手できたお礼に、近場の高級店でご馳走しようとしてくれたのだが、ガル君が屋台での飲食を熱望したため、串焼き屋にて祝盃をあげる事になったのであった。


余談ではあるが、ガル君の食欲をよく知るシャスは屋台になって心底ホッとしたのであった。すでに彼の前には十本程串が積まれている。


「改めて礼を言わせて貰う。お嬢ちゃんのお陰で目当ての物が手に入った本当にありがとう。俺はランドルというものだ。冒険者をしている剣士だ。」


「私からもありがとう。私はベティア。同じく冒険者で魔術師をしているわ。」


軽く頭を下げながら謝礼と自己紹介をされ、シャスは会釈し返した。


「お役に立てて良かったです。私の名前はシャスで、この子はガルと言います。ご飯までご馳走頂いてありがとうございます。」


「いやいや。本当に世話になったからな。でも、いいのか?情報料魔貨一枚で。店で値切っといて何だがユニコーンの素材は貴重品だ、出すとこ出せば金貨一枚の価値は余裕でつくぞ。お嬢ちゃんはちゃんと鑑定できてたんだから、鑑定料としてもっとぶんどって良いんだぞ。」


「そうよ。遠慮しなくていいのよ。私達貴女のお陰で本当に助かってるの。」


二人の言葉を聞いて自然とシャスは顔が綻んでしまった。


(律儀な善い人達だなあ。魔蛙フロッガーとは大違いだ。)


ついつい教会を牛耳る某副主教と比べてしまったシャスは、二人に声をかけて良かったと感じると共に気を引き締めようと努めた。何せここからもう一つの探し物について誘導しなければならないからだ。


「本当にいいんですよ。あそこの店は割りと大通りに近いですから、お二人とも自力で探し出せたかもしれませんし。それに、もう一つのお探し物の明滅草ニーヘルも珍しいです。お高いでしょう?」


「「う゛!」」


シャスの指摘に言葉を詰まらす二人。どうやら図星をついたようだ。


「そうなのよね。今の時代ニーヘルは滅多に見つからなくなってしまった上に、根が最上位霊薬エリクサーの材料だから、見つかってもすぐに卸されてしまうから、一株金貨三枚は下らないわ。」


「!?」


溜め息と共に吐かれたベティアの言葉に危うく串肉を詰まらせかけたシャス。


(高すぎでしょ~!!)


「ち、因みにどれくらい必要何ですか?」


「うーん…。最低五株。調合の試作や失敗を考えると十五株は欲しいわね~。」

「!!?」


(金貨四十五枚…。大金過ぎる。)


余りの大金に意識が飛びかけるシャスである。因みに金貨一枚は銀貨百枚に相当する。シャスの感覚としては銀貨一枚で一万円相当なため、凡そ四千五百万円相当の大金である。元一般人にとっては持って歩きたくない金額である。


どうやらいかに安く売るかと言う些か変わったミッションが追加されたようだ。モグモグと焼き串を食べながら思案にくれるシャスであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ