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虹色の導き




♪運命の女神様は気まぐれだから


ありったけの願いを込めましょう


女神様が気づいてくださるように


女神様が興味を持って下さるように


女神様は虹の化身


気まぐれにひょいと現れて


煌めく羽を羽ばたかせる


七色に輝く美しい羽を


光散りばめる眩い羽を


女神様は時を越える


運命を配りに世界を渡る


付き従うは虹色の鳥


吉事を示す七色の瑞鳥


虹色瑞鳥(ラフィーヌ)の羽に願いを込めよう


とびっきりの運命を女神様から貰えるように


麗しき女神ウェンデルファルン


試練の神の愛しき伴侶


必然と偶然の双神の尊し母君


さあ祈りを捧げましょう


運命は自分で手に入れるもの♪



鈴の音のようにコロコロと幼いアルトが唄を紡ぐ。


響きわたる八重奏は聴くものを魅いらせ、古代神聖語で詠われた言葉は強い力を感じさせる。


まさに、万人の心に響く合唱であったが、唄を響かせる当人達は、今まさに高速旋回真っ只中、見た目はどこからどう見てもダーツに狙われるルーレットさながらである。


ファルとシャスは、物凄い残念な気持ちに苛まれたが、気を取り直して精霊から渡された虹色の羽を見やる。


(この羽ってやっぱり虹色瑞鳥ラフィーヌの羽って事だよね?)


(うん。まさかウェンデルファルン神様の羽って事はないと思う。)


(でも、あの子達なら実はとか言いだすのも、あり得そうだよね。)


(確かに。もらったのー。とか言いそうよね。アハ。)


(ああ、言いそう言いそう。アハハ。)


((アハハハハハハハ、ハァー……。))


自身らの心の中での会話で深いダメージを負った彼女達は、取り敢えず出所の詮索は置いておく事にした。臭いものには蓋をしろと言うではないか。うっかりしてしまったウェンデルファルン神様の知識検索結果など見ていない。何も見ていないぞと、互いに強調し合うファルとシャスであった。


さて、運命の女神ウェンデルファルン神に付き従うラフィーヌは、正に運命へと向かい導く道標とされている。更に、滅多に姿を見せない稀少な鳥である為、ラフィーヌを目にする事が出来るのは、その先に良い運命を示されているとされ、吉事の前触れと考えられている。


唄の内容から考えても、おそらく渡された虹色の羽に祈りを込めて的に当てろと言う事なのであろう。


ファルとシャスは目を瞑り、虹色の羽を包み込むように両手を交互に重ねた。


((運命を司りし女神ウェンデルファルン神様。尊き御身に願い伏しますは、良き師との良縁をお運び頂きたく存じ上げます。良き師の元勉学に励み、一日も早く一人前の神子としてお役目に臨めるよう、どうぞお力添えを宜しくお願い致します。願わくは…

常識的で穏和なぶっ飛んでない師匠を!!!!))


祈祷と言うよりも、正月の参詣での願い事のようになってしまったが、ようは強く心を込めればいいのだから問題はない。特に一番最後の心の叫びはファルとシャスにとって切実な願いであった。


祈り終えた瞬間、ファルとシャスは互いの片手で羽を握り直して同時に振りかぶった。


虹色に輝く羽が解放され、的への軌道に乗ったその瞬間、ファルとシャスはクスクスと笑うたおやかだが、どこかいたずらめいた女性の笑い声を聞いた気がした。


物凄く不安に駆られた二人ではあるが、時すでに遅し。放たれた虹色の羽は真っ直ぐに的へと飛んでいったのであった。


回り続けるルーレットに羽が当たると、的となっていた結界は澄んだ音を立てて崩れ、役目を終えた筈の羽は何故か跳ね返り、他の結界に飛び移り追加で三度程澄んだ音を立てた。


「「ええーーーー!!?」」


後に残されたのは、またまた思わぬ結果を出され、そろそろ疲れ果てて来たファルとシャスと、結果を確認して早く騒ぎたいが旋回し過ぎてふらふらになっている精霊達という、大変カオスな状態であった。


麗しき女神ウェンデルファルン


試練の神の愛しき伴侶


果たしてどんな運命が用意されているのやら、ファルとシャスはまだ知らない。夫婦神の興味を引いた事を。この先に偶然と必然に導かれた、様々な事が待っている事を。


知らぬが仏とは良く言ったものである。


最も既に精霊達に振り回されているのだから、既に心中穏やかとは言いがたいのだけれども。


頑張れファルシアス。負けるなファルシアス。乗り越えればきっと良い事が待っている。



精霊達以上の大型爆弾に目をつけられたと知らぬファルとシャスは、果たしてどんな先生が選ばれたことやらと、既に知りたくない気持ちで一杯になっていた。

二人が結果を知るのは精霊達が復活してから。ふらふら悪酔いした彼らが元気になるまであと少し。


それまでに少し落ち着こうと、ファルとシャスは互いに慰めあったのであった。



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