「十九撃目。」ボレトーニャ3
ゆたか「飽きたわ。あらすじ。クストアのピンチにさっそうと駆けつけたヨウヘイ以上文句あっか?。」
現在俺は宿の屋根の上からふよふよと浮いている
双眼鏡を片手に全身全霊で飛行練習をしていた、
「………」
思いの外神経を使う、自分にかかる重力を破壊し続けながら風を全方位から微調整しながら創り出してホバリングする
お?アレは…クストアか、む?次に入って来たのは…恐らく父親と用心棒だろう、
さて、どうしようか?多分今ここでライフルを撃つと衝撃で後ろに飛びかねん、
乗り込むしかないか…
そうこう考えているうちに双眼鏡の向こうに変化が見えた、
「あちゃー、失敗したか」
クストアが顔に飲み物をかけられている、
うーん、仕方が無い、
「突っ込むか、」
後方から送っている風を増やして推進力を得る、そのまま勢い良くスピードに乗りながら館に進む、
そこで気付いた、
あれ、これどうやって止まんの?
そんな疑問を無視してぐんぐんと館に向かう、風は消したが無重力間における等速直線移動により、俺のスピードを減速してくれるのは前方の塵と大気だけ、
窓の向こうには用心棒の男が剣を振り上げている、
…すまんな、クッションにさせてもらう、
この弾丸移動の終点に向けて両手をクロスして目を守りながら窓をぶち破る、ガシャーーン!とけたたましい音を鳴らせながら空中で姿勢を変えて目の前の男の後頭部に飛び蹴り、もとい着地する、
『ただのドロップキックじゃねえか。』
だろうな、
そのままズザザッ!と靴の裏をすり減らしながら着地した、
そして呆然とするクストアにできる限りのしたり顔で、
「きちゃった☆」
『語尾に星とかキモーい。』
うるせえ、ちょいとテンション上がって来たんだ、黙っとけこの語尾に句読点
「な、なんで…」
「ああん?んなもん渡りに船…いや馬車か、ついでに助けてやったまでよ」
「な、なんじゃ貴様!おい、お前ら!なんとかしろっ!」
おっさん…恐らく領主サマであろう中年がエレナノーアを拘束していた兵士に命じると慌てて剣を構えて来る、
だが現代兵器の前において鉄の棒切れとは無力だ、
ベレッタM84を創り出し構える、
ベレッタM84、恐らくだが誰もが聞いたことはあるかもしれない「ベレッタ」の名前を持つ銃、銃に使用されてる弾は大型拳銃と比べるとあまり高威力でが無いが、それでも十分過ぎるほどの殺傷力を持つ銃だ
構えた兵士の手足を狙ってベレッタM84で撃つ、未知の武器に対応することが出来るはずもなく兵士はいきなり響いた発砲音と手足の激痛、そして噴き出す血に混乱に陥る、
「う、ああああああ」
「ま、魔術師か?!」
主君の命令と目の前の恐怖に板挟み…いや、挟まれてるのは俺だったか、
「…くっくっく、よくもやってくれたな」
「あんた、タフだな」
後頭部に着…ドロップキックを食らった男が立ち上がる、
「俺は殺し屋だ、舐めるなよ雑魚が!」
「上等だ、ぶっ殺してやる」
男はそういうと自らの剣を取り、こっちに向かって来る、
銃を撃とうと構える、すると男は剣を振った
「?」
ふわっと風が起きる、同時に右手がヌルッとした感覚と共に力が入らなくなる、
不思議に思い手をみると…
「な、なんだと!?」
ベレッタを持つ手を見ると血にまみれ、ズタズタに切り刻まれていた、力が入らなくなり銃がずるりと手から滑り落ちる、
「ふふふ、どうだ素晴らしいだろう、俺の魔道具であるこの剣は」
男は剣を持つ手を見せながらいう、
恐らく、あの剣を媒介に斬撃のような物を飛ばしているのだろう、
「てめぇ、今俺の手じゃなく頭か、腹部にでもそれを撃ち込めば終わってたんじゃねえか?」
「直ぐに殺してしまってはつまらんだろう?手加減してやってるんだ、感謝して俺を楽しませろ」
ゆっくりと歩を進める男、だが、
「だがその油断が命取りだ」
男の持つ剣を“破壊”する、意識を剣に向け能力を発動しようとするが、
「ぐっ!」
頭が裂ける様な痛みが脳を駆け巡る、
『どうやら。あの剣。相当な物だね。前に言った存在が強い物。みたいだね。』
「っち、クソ、仕方が無いか」
両手に鉄籠手を創り出して装着する、さらに“もう一つの銃”を創り出しておく、
「珍妙な魔法だな、まあいい、この風の錆となれ!」
男は剣を振る、何も見えないが恐らくさっきと同じように斬撃が飛んでいるのだろう、それを俺は剣の振りから予測して回避する、
「何っ!」
男は驚きの表情を見せるが、こんな物、相手が遠いか近いかの差で実質攻撃速度が上がったわけでは無いので目の前で剣を振り回されてるのと一緒だ、
回避を繰り返しながら男に近づく、
男は後ずさる、だが直ぐに後ろは窓だ、後ろが無くなった所で一気に距離を詰める!
「はっ!」
短く息を吐きながら俺の拳の射程範囲に入った男に“やや左に”血塗れの右手で突きを放つ!
「っち!」
男はそれを案の定右に避ける、
だがそれと同時に先程創った“小さな拳銃”を左手で撃つ
“小さな銃”デリンジャー
装弾数は2、かのリンカーン大統領暗殺にも使われた有名な拳銃、とても小さな拳銃でまさに手の平サイズの拳銃、スーツのポケットにも簡単に入るため護身用としても名高い、
難点として安全装置がなく、引き金は10kgの力で、しかも中指だけで引かなければならない、大口径の銃でも女子供は練習すれば撃てるが、こいつだけはどうしようもならない、
この時、少しだけ仕掛けをしていた、
血塗れの右腕を左前に出すことで相手を右に誘導する、相手にとって外側に回り込むのは戦闘においてほとんど勝ちも同然、ここに油断が生まれる、
しかし左手に握り込んだデリンジャーが火を吹く、
完全に油断した相手、そして突き出された右腕と服で隠された所からの秒速約300mの銃弾、
勝利は確実“だった”
「っっっ!!!」
男は銃弾が放たれる一瞬前、俺を突き飛ばしながら自身も後方に転がった、
10kgの引き金を引くのを途中でやめるのは難しく勝利を確信した所を突き飛ばされた俺は無惨にも倒れこみ、デリンジャーは天井に向かって銃弾を吐き出した
「ふぅ〜、危なかったぜ」
男は転がりながら距離を取り立ち上がる、
一方俺も突き飛ばされた後、受身をとって直ぐに体制を立て直す、
「…なぜわかった?」
「なんもわかってねえよ」
「…どういうことだ?」
「勘だよ勘」
『経験。だね。こう。FPSとかやってたらわかるだろ?。ここに居たら死ぬ。みたいな。』
圧倒的な経験の差か…
「なんだ?お前まさか素人かよ、でかい口叩くから同じ業界の人間かと思ったんだが…拍子抜けだな」
男は剣を構える、それに対応して拳を構える、
今度は男がしかけてきた、
少し面食らいながらも男の剣戟を鉄籠手で受け止める、
そこからは防戦を強いられた、
男はこちらの攻撃範囲に入らないように剣を振るう、圧倒的リーチの差で一方的な展開が続いた、
「まずい…」
流れを変えねば、そう思い行動を起こす、
相手の剣を受けるのではなく、弾き飛ばす、上段に振られた剣を鉄籠手で思いっきり殴りつける、鈍い音がして剣が弾かれて相手に大きな隙ができる、
チャンスだ、相手の顔に左のストレートを打つ、
ガン!音が響く、男は寸での所で剣を盾にした、だがこのまま力勝負にはいれば…!
次の瞬間、全身を悪寒が駆け巡る、
全身全霊でそこを飛び退く、顔に軽い風を感じた、その瞬間、鮮血が飛んだ、
「ハア…ハア…」
顔の横を撫でる、ベタッとした血が手に触れる、幸い、直撃はしてないようだ、
倒れこんだ俺に剣が突きつけられる、
「この剣は魔力を使うことで予備動作無しで撃てるんだよ」
耳がズタボロだ、元々柔道で歪んではいたが…
「まあ、めんどくさい相手だったぞ、今楽にしてやる」
はあ、まったく、助けに来ておいてこの体たらく、情けなさすぎて涙が出るぜ、
男が剣を振り上げる
助けに来ておいて、助けられるなんてよ
「やあっ!」
クストアが男の懐にタックルをした、
続いてエレナが男の剣を持つ手に飛びかかる、
「このっ!ガキが!離せ!」
死んでも離すまいと2人の兄妹は食らいつく、
この距離で、これだけ時間があれば、外すことは無いだろう、
ずっと持っていた、デリンジャーを男に突きつける、
デリンジャーの装弾数は“2発”
男がこっちを見て恐怖に顔を引きつらせた瞬間、
デリンジャーの引き金を引いた
「助かった、クストア、エレナ」
「こちらこそありがとうございました、ヨウヘイが来ていなければ死んでいました」
「じゃあ、お互い様だな、」
3人で顔を見合わせて笑う、だが、笑いも長くは続かなかった、
「王国騎士団だ、ノーレ公の要請に応じて来た、館を開けてくれ」
窓の外から大きな声が響く、王国騎士団?まさか俺がここにいるのがばれたのか?
「ついに来てしまいましたか…」
クストアは何処か諦めた口調で言った
「どういうことだ?なぜ王国騎士団が?」
「どうやら計画はすでに父にバレていて、その予防線として呼ばれていたようです」
「父っていうと、そこで震えてる奴か」
ソファの後ろで隠れている男、そいつの首根っこを引っ掴み引き摺り出す、
クストアはナイフを取り出しそいつに近づいた、
「ひいいいっ!」
領主は地面をはいながら逃げ出そうとする、
「もうこうなっては仕方ありません、エレナノーア、この土地を任せます、」
「お、お兄様…?」
「僕はこいつを殺して騎士団に自首します、そうすればエレナノーアは罪に問われないしょう」
「そんなっ!それなら私が!」
「エレナノーア、貴方は民からの信望があります、貴方が死ねば民は国に反感を持ち、何をするかわかりません、僕はほとんど館から出てこなかったので民も僕を知る人はいないでしょう、これは仕方が無いのです」
「そんな、でも」
「諦めてくださ「おい、待てよ」い…?」
「あのよー、すぐに諦めるとか、仕方が無いとか、言うもんじゃあねえぞ?」
落ちてるベレッタM84と領主を掴み窓に足をかける、
「ヨウヘイ…?」
「ちょっとお前んとこの親父借りるぞ、まあ返せねえと思うけど」
そのまま窓の外に足をかけ、自分と領主にかかる重力を破壊して屋上に飛ぶ、
そして屋上から王国騎士団を見下ろす、
数はざっと200くらいか、
「…!貴様、何者だ!ノーレ公を離せ!」
「何者だぁ?まったく、自分達が呼び出しておいて忘れてんじゃ世話ねえな」
「貴様…!まさか逆賊の勇者タナス!」
うわっ、何か変なの名前に付いてる、逆賊って…別に王国に仕えた覚えはないんだが、
さて、
「悪いな領主さん、俺自身はあんたに恨みはねえが、心当たりはいっぱいあるだろう?察してくれ」
ベレッタM84を領主の頭に向け、何か喋る暇もなく、引き金を引いた、
パンッ!と乾いた音と共にバタリと領主は呆気なく、死んだ、
領主の死体そ屋上から蹴り落とす、
「貴様っ!何てことを!」
騎士団が喚いているが気にしない、さっさとトンズラするか、
いつものように空を飛び、外壁を越え、ボレトーニャを後にする、
さて、一件落着かな?
sideクストア
まさか、ヨウヘイが勇者タナスだったなんて、
王都に行った時、話は聞いていた、
「うう、クソっ、畜生め」
後ろで兵士が呻く、
エレナがゆらりとナイフを持って近づく、
「エレナ!」
「だってお兄様、こいつは知っている」
知っている、とは僕らが父を殺そうとしたことだろう、
「わかった、だがお前は手を出さなくていい」
「お兄様?」
「僕がやる」
ナイフを持って、男に近づく、
逃げようとするが手足を負傷した兵士が逃げることは叶わない、
鎧の隙間、首にナイフを押し当てて、刃を引き切った、
「あ…」
兵士は首から血を流し、生き絶えた、
しばらくすると、ドタドタと廊下を走る音がする、
その音は部屋の前で止まり、ガチャっと扉を開けた、
「お嬢様!坊ちゃん!無事ですか!?」
「ドナート!」
「とりあえず、何があったのか説明してくだされ、私、何があったのかサッパリでして」
「実は…」
ドナートにヨウヘイに助けてもらったことを全て話す。
「それはそれは、なんとも…わかりました、騎士団の方には都合のいいように伝えておきます」
「ありがとう、ヨウヘイにもいつか恩返しをしなければ、借りを作り過ぎてしまった」
割れた窓の外を見る、既に点となってしまったヨウヘイがこっちを見て手を振っているように見えた、
それに対してこちらも手を振り返す、いつか、この大恩は返すことを誓って…
side out
特にないです




