「十八撃目。」ボレトーニャ2
ゆたか「前回もあらすじ。ボレトーニャにて領主の屋敷に行ったは良いがなんか警備が厳重で諦めて宿を探してるとなんやかんやあってエレナと再開。反乱するぜぇー」
さて、行きますか、
宿のおっさんから受け取った鍵を懐に入れ夜の街を歩く、
『あれ?。宿には行かねーの?。』
『ああ、今から屋敷に向かう』
『そりゃまた何で?。』
『死なせねーためだよ』
死の覚悟は大変結構だが、それを運命として従うのは違うんじゃねーの?
たとえそれが、死ぬことが運命だって言うのなら、
「上等だ、ぶっ潰してやる」
屋敷は変わらずに厳重であるが、今回は一つ、秘策がある、
『何?。』
『これだっ!』
そして創り出したのはバイクのミラーのようなもの、
まず屋敷を囲う塀を登りそこからミラーをちょいと出す、そうするとミラーが反射して塀のなかの様子がわかる
塀から屋敷はしっかり距離がとってあるようだ、だが今は人が居ない、
シュタっと内部に潜入する、屋敷の外から窓越しにミラーを使って内部を伺う、
すると廊下の奥から兵士が歩いて来るのが見えた、
直ぐに窓の下に隠れる、
まいったな、屋敷の中まで見回りの兵がいるのかよ、これじゃあ中々潜入は難しいな、
いや、待てよ?、見回りがいるんだったらそれを利用してやれば良い、
よく兵士の姿を観察する、…こんなところか、次に能力でさっき通った兵士の装備を丸々コピーして作り出す、
「うん、ばれねえよな?」
中々な力作が出来たと自負する、
それを着込み、壁の一部を破壊して屋敷内部に潜入し、壁を創り直す、
さて、ミッション開始だ、
潜入ミッションは案外簡単に終わった、
使用人から道に迷ったり、場所を忘れたふりをして話を聞き出す、
そして集めた情報がこちら
・屋敷の中の見取り図、
・領主は最近用心棒を雇った、
・雇った用心棒は中々有名な奴らしい
…うーん、屋敷の見取り図が分かったので本来の目的である村の女の子達の居場所が分かったがこの用心棒がイレギュラーだ、
こちとらついこの間まで唯の高校生だったんだ、そら武術はアホみたいにやってたから一般人に負ける気はしないが、戦闘のプロが相手となると一気にその自信は無くなる、
…どうするべきか、まあやらないって選択肢はない、だが準備はして行くべきだ、
とりあえずはいつもの手段で屋敷を脱出し、宿に帰る、
宿のおっさんは訝しげに此方を見ていたが、遅くに帰ってきたことには特に何も言ってこなかった、
硬いベッドに身を預けながら明日の事を思案する、
やっぱり、スナイパーライフルで狙い撃つか?幸い屋敷の見取り図が分かったが射撃ポイントがない、近くに高い建物がないのだ、それこそ中にでも浮く、空にでも飛ばない限り不可能だ、
…いや、待てよ、一応空を飛ぶ方法はあるんじゃねえか?、自分にかかる重力を破壊しながら風を起こして移動すれば、…駄目だな、安定しない、
いっそのこと高台でも創り出すか?気絶しないか心配だな…
うーん、駄目だ、思いつかん、
『そういえば。ずっと思ってたんだけどなんでここに来る途中まで空飛ばなかったの?。』
…お前、言えよ、空飛べるって
『いや〜。まさかそんな事も気づけねえバカだとは思ってなかったんだぜ。』
イラッ
くっそこんな事に頭使ってられるか、
夜はどんどん更けて行くがひたすら俺は明日どうするかを考えていた。
ああ、いい朝だ、結局いい案は出ずに寝てしまったが、
いまは何時だ?
『11時くらいかね。』
…また寝坊した、まあいい、宿屋のおっさんに言って地下の酒場で何か作ってもらおう、
ぱぱっと身仕度を終え地下に行く
地下にはおっさんが包丁を研いていた
「注文して良いか?」
ジロっとこっちを見るおっさん、まあもうすぐ反乱を始めるのだ、気が立っているのだろう
するとおっさんは呆れたように言った
「ハァ…腹が減っては戦もできん、好きに頼め、」
おお、頑固オヤジかと思ったが思いの外良い人のようだ
「サンキューおっちゃん」
「さんきゅう?なんだそれ、呪文か?」
?、そう言えばこの世界に来てから横文字を聞いてないな、
何か特別な意味でもあるんだろうか
「ありがとうって意味だよ」
「そうか」
出される料理は酒のつまみのような物が多い、まあ酒場だしな、
出された料理を平らげる、うん美味かった、
久しぶりのまともな食事に感激する、
「おっちゃん美味かったわ、ご馳走様」
「ご馳走様?」
「ああ、料理を作ってくれてありがとうって意味だ」
「そうか、そりゃあーーー」
おっちゃんは少し考えたあと、ニヤッと笑って言った、
「サンキュウな、」
2人で顔を見合わせて吹き出す、
「おっちゃん最高だよ、それじゃ、ちょいと準備してくるわ」
「おう、この件が終わったらまた呑みに来い、」
「ああ、必ず」
そう言って宿を出た、
視点変更クストア
ついにやって来た、この時が、
応接室で父を待つ、応接室は赤い絨毯が敷かれ、この家にしては珍しく、調度品が少なく、ソファに机、棚があるくらいだ、
懐には毒を持ち、小指の腹には小さな魔法陣が書いてある、
魔法陣に書いてあるのは風の魔法、最も、小指ほどの大きさなので起こせる風は人の吐息程度、しかし粉末状の毒を父の飲み物に入れるには十分だ、
ガチャ、と扉が開く、中年の男が部屋に入ってくる、それと同時に腰に剣を携えた痩せ型のヒョロイ男が
入ってくる、恐らくあいつが最近雇ったという用心棒だろう、
…ヒョロさでは僕も人の事は言えないのだけれど、
まあ、僕と違って男は身長が高い、それが余計にそうさせているんだろう
男は窓から外を眺めている、父は向かいのソファに座った、
「お久しぶりです、お父様」
「うむ、王都はどうであった?」
「大変素晴らしい所でした、」
「それは良かった、」
父は満足気にヒゲをさすっている、
そこでメイドが飲み物を持ってきた、
父は心配そうに尋ねる、
「道中で賊に襲われたと聞いたが…大丈夫であったか?」
「はい、冒険者の方に助けていただきなんとか、ですが護衛の方は…」
「そうか、まあ、あやつらも、お前を守るために死ねたのだ、本望であろう」
父は事もなげに言い捨てて立ち上がり窓の外を見る、
チャンスだ、
サッと懐の毒を手に持ち、小指の魔法陣を発動させる、小指の魔法陣は魔力を通され光が漏れるが、握りこぶしを作り光を隠す、
風に吹かれて毒は父の杯の中に入る、
やった、心の中でガッツポーズをする、
父は席に戻り、杯を手に取る
そして、
そのまま中の飲み物を父は僕の顔にぶち撒けた
「愚か者が、その程度の浅知恵、ワシが気づかんとでも思うたか」
飲み物が目に入らないように目をつぶる、
失敗した、だがそのことに反して僕の心は冷静だった、
いや、有る意味分かっていたのだろうか、
「何故ワシが、悪政を敷いていると言われるワシが、これまで生きてこれたかわからんかったのか?それはワシが優秀であったからだ、絶対な警戒心を持って、冷静に、踏み越えてはならぬ線を見極め、慎重に、この世を渡って来たからだ、」
窓際の男がクックックと笑う声が聞こえる、
父は僕を嘲る
「お前ら兄妹が何やら怪しい事をしていたのもお見通しだ、最初は半信半疑であったがな、王都に行った時、有力な貴族達に根を回しておいて良かったわい、案の定、パイプ作りをして来おったと報告が来たわ、それを聞いて賊に襲わせたが、あの役立たずどもめ」
父は続けて自慢気に話を続ける
「それに、お前等がおらんうちに街のことも調べさせて貰った、どうやら反乱を企てていたようだが、すでに王国軍に連絡をとっておいた、反乱が起こったとしても全員罪人として鎮圧されるわ」
目が開くようになる、目の前で父は残念そうに言う
「しかし残念だ、せっかく妹の方はともかく、お前は小さな頃から優秀であったからな、期待しておったんだが…所詮その程度であったか、まあいい、代わりなど、いくらでも作れる」
父はニタリと笑う、
「そうだ、もうそろそろだろう、」
その言葉と同時に、部屋のドアが開かれる、
そこには兵士に後ろでを掴まれ、押さえつけられている妹がいた、
「お兄様!」
「エレナ!!」
「夜にこそこそしておったから注意しておいたが、どうやら外と連絡をとろうとしてたようだな」
畜生、せめて、せめて
「ああああ!!」
せめて妹だけはと兵士に掴みかかる
「そんなひ弱な腕じゃあ何も出来ませんよ?」
いつの間にか窓際から僕の後ろに移動して僕の腕を掴んでいた、
「クソっ、離せ!」
「さて、そろそろ終わりにしようか、王国軍も時期に来る、…殺れ、」
父は男に命令する、しかし男は
「そんな、もったいない、こんなに可愛い顔をしているんだ、眼つきは悪いが、少々楽しんでも良いでしょう?」
「…かまわん、好きにしろ、ただし王国軍が来るまでには終わらしておけ」
「了解っ」
男はニタニタと笑う
「しっかし、男のガキの叫び声が好きだとか、変わっておるなあ、なにがいいんじゃか」
「ダンナ、“可愛い”男の子ですよ、ダンナも理解頂けるとおもうんですがねぇ」
「…ワシは女の叫び声がすきなんじゃ」
父は興味なさげに僕の杯の飲み物を飲んでいる、
「じゃあ、そろそろ始めましょうかね」
男は剣を引き抜き僕に向かって構える、と言うには雑に、剣を振り上げる、
ここまでか…
「お兄様ああ!」
妹を守れなかったのが無念でしょうがない、
振り下ろされる剣、思わず目を瞑る、
しかし、振り下ろされることはなかった、
窓が盛大な音を立てて砕け散ると同時に、一人の大男が窓の外から窓の破片とともに目の前の男を蹴り飛ばした、
そのままズザザッと音を立てて着地する、
その男はぶっ倒れている男と僕を見て、したり顔をでこういった。
「きちゃった☆」




