「十六撃目。」領主のガキ
ちょい短め
おいおい、マジかよ。
「?、どうしました?」
「…いいや、何でもない、ボレトーニャのとこの跡継ぎだったのか」
あの悪徳領主サマの
「 …ええ、やはり貴方も父の事をあまりよく思っていないのでしょう」
「いや、あまりボレトーニャについてはよく知らなくてな」
とりあえずは様子見、下手な事言って不敬罪にでもなったら面倒だ、
「いえ、隠さなくても結構です、父も周囲からの悪評に関しては特に気にしてはいませんので」
「…」
なんとも言えない、なんだかんだ言って税金代わり人をさらう様な奴の子共だ、信用できまい、
『僕は喋っても大丈夫だと思うけどな。』
『なんでだ?』
『領主の話題になったとき。クストアの掌に爪の跡が出来てる。多分相当強く握りしめたんじゃないかな?。それに。女の子の方を見てみろよ。』
妹…確かエレナノーアとか呼ばれてたか、そっちに目を向けると、
「…」
下を向いて服の裾を握り、唇を噛んでいる
執事の方も何やら困った様な顔でクストア達と俺を交互に見ている、
「無言は肯定ということでいいですね?」
クストアがこちらの様子を伺う様に確認を取る
これはまぁ、
『暗殺のところはボカしてればいいか』
『僕もさすがにそれを言うのはまずいと思う。』
クストアの方へ向き直る、
「…ああ、正直、あんまり良い噂は聞いちゃいない」
「そうですか…、なあ、爺」
「なんでございましょう?」
「僕はこの男に話して見てもいいと思う」
「坊ちゃん」
執事がいきなり身に纏う空気を重くする、
「いいですか、坊ちゃん、今回の事はけして失敗は許されません、一分の隙も作ってはならないのです、それをよく考えてください」
何のことだ?
「失礼致しましたヤマシロ殿、先程の事は忘れてください」
忘れろ、と言われてもな、
…
まあいいか、
「何のことだかよくわからんが、俺の依頼はあんたらをボレトーニャまで連れて行くことだ、」
「…ありがとうございます」
執事は深々と頭を下げる、
「そろそろ行こうか、」
クストアが声を掛けるとどこに隠れていたのか、御者が出て来てビクビクしながら馬を操る、
こうして、俺は足を手に入れた
「そういや執事さん、あんた名前なんて言うんだ?」
「おお、これはすっかり失念しておりました、私、ドナートと申します、御者を承っているのはカセレス、そして妹様は」
「エレナノーア ボレトーニャ ノーレです、先程は失礼致しました」
少女は深々と頭を下げる、
「いや、気にしなくていい、俺も悪かった」
「…それにしても、不思議な方ですね」
「ん?」
「先程まではとても教養のある知的な喋り方をしていらしたのに」
「あ、」
やべえ、完全に忘れてた、
「今からでも直した方がよろしいでしゃうか?」
「いえいえ、敬語だなんてそんな、敬語と言うのは真に敬意を払うべき方にするものなのです、私なんか護衛してもらっている身なのに」
「私は雇ってもらってるんですからお気になさらず」
「もう…それにですね」
エレナノーアは少し怒りながら言う、
「堅苦しく行くより、楽しく笑ってる方がいいじゃない」
「それもそうだな」
2人でケラケラと笑う、ドナートさんも困った様に笑う、そしてエレナノーアがクスクス笑いながらクストアに言う、
「ほら、お兄様も、」
「…僕は素面がこの喋りだからいいでしょう」
「そんな堅苦しいのは民も望んでませんよ?」
「そういうのはエレナノーアに任せます」
「全くお兄様は、エレナで良いと申してますのに」
少し膨れっ面をするエレナノーア、印象がコロコロと変わる娘だ、
最初は鋭い目をしたかと思えば、次の瞬間は穏やかな顔で笑い、そして子供の様に笑い、膨れっ面をしている、
逃亡生活の俺からすればなんと羨ましい、
「ヨウヘイさん、あなたもエレナでいいよ」
「そうか、エレナノア」
「むー」
語呂が良いな、エレナノア、5文字だし、なんか言いにくいと思ってたんだ、
膨れっ面をするエレナを見て小さく微笑むクストアを見る、さて、こんな子供達の親はどんなツラをしているんだろうか、
今からこの子達の親を殺しに行くことに胸が痛くなる、だが
「俺がやらなきゃな…」
あの盗賊に襲われ、死を待つだけの様な村を増やすわけにはいかないだろう
「見えてきましたよー」
御者の声を聞き外を見に行く、
ガタガタと馬車に揺られて1日、歩いていたら掛かっていた時間を考えると本当に馬車に乗れて良かった
大きな外壁が見える、壁の上には旗と共に兵士が等間隔で立っているのが見える、ミラルや王都と同じ様に街をグルリと一周しているんだろう、
「…」
馬車の中の空気が悪い、御者は後ろ姿から伺えないが、ドナートさんは顔が険しくなり、クストアとエレナはさっきまでの談笑が嘘の様に黙り込んでいる
馬車が外壁の門の前に着くと兵士に声をかけられた
「御子息様方でよろしいですか?」
「…ああそうだ」
クストアが返事をする、どんどん目が険しくなって行く
「…護衛の者たちはどうしました?」
「かなり大きな盗賊団と思わしき者たちに襲われ、…全員死んだ」
「そうですか…後ろの方は?その様な者に見覚えはないのですが」
「…彼は恩人だ、襲われているところを助けてもらった」
「そうですか、ですが今現在この街は閉鎖されておりますゆえ…」
閉鎖?どういうことだ?
「彼は私の恩人だ」
「ですが御領主様の命令ですので、何卒お引き取り願いください」
「…貴様、この街の跡継ぎの僕に逆らうのか?」
クストアの口調が変わる、鋭い眼光と会いまってかなりドスが効いてるが…
「…跡継ぎ様と言えど御領主様の命令を違えることは出来ません」
取りつく島は無し、か
仕方ない
「御子息様、無理になさらずとも私は結構です、」
「しかしヨウヘイ!それでは…」
「………良いから早く行け」
小さな声でぐずぐずしてるクストアに呟く
「…わかった、しかしいつか後で必ず、謝礼は贈る」
俺は防寒用に着いてるフードを深く被りながら馬車を降りて見送る、
「すまんな…」
申し訳なさそうに謝る兵士に疑問を覚える
「?、どうして謝るんだ?」
「いや、ここまで送っていただいたのに追い返す様なことになってしまって」
「ああ、そのことか、別に良いよ、領主の命令なんだろ?」
「ああ、申し訳ない」
「それはもう良いんだけどさ、東の方の町の行き方って外壁沿いにぐるっと回れば良いんだよな?」
「そうだが…」
「ん、ありがとさん、」
申し訳なさそうな兵士を尻目に外壁沿いに歩くことにした、
「さて…ここら辺で良いかな」
外壁の途中で腰を下ろし保存食を齧る、まずい
「にしてもバレなくて良かった、まだ俺の顔はここまで知れ渡っていない様だ」
『これからどうすんの?。』
「夜になるのをまってから壁か地面に穴を開けて街に入る」
水筒を取り出して口に残る保存食を流し込む。
「そんで、領主殺って速攻で次の街に向かう」
『あの子達の目から逃げるため?。』
「…」
クストアとエレナの顔が脳裏に浮かぶ、
『でも結構良い子に見えたんだけどねぇ。』
「…確かに、人格の形成において両親や周囲の環境が与える影響は大きいと思う、が、生来生まれ持っていた精神の強さが、それに打ち勝って人格を形成する事が有るのを、俺は知っている」
『…。元の世界の友人?。』
「ああ、いい奴だったよ、両親から虐待やネグレクトを受けながら育った奴でな、しかもソイツの住んでる地域が県内でトップの犯罪率を誇る地域だったんだが、それでも奴は澄んでいた、羨ましいくらいだったよ」
もう二度と名前を言うことのない友人を思う。
『女の子?。』
「いや?そんな色気のある話じゃないぞ?男兄弟の2人だ」
元気にやってるだろうか、多分あいつは俺が消えたら泣いてくれるんだろうなぁ
…ヤバい、帰りたい、
『男か…ホモぉ…』
「ちげーよ、ぶっ飛ばすぞ」
頭の中で豊がケラケラと笑う声が響く、
まあ、どうなるにしてもこっちでやることやんないと帰る気は無いしな、
…帰れるのかどうかもわかんねーけど
「そういやお前は俺の居た世界のことを知ってるみたいだけど何処から来たんだ?」
『さあ?。いつの間にかそこに居たよ。精霊ってそういうもんだろ?。』
こいつはまだ精霊設定を引っ張るのかよ、
…
「…喋る気は無いってことで良いのか?」
『今の所はね。』
鼻歌を歌う声が頭に響いた
さて、
辺りは完全に暗くなり城壁の上では火が灯り始めた、
「さて、どうしようか、」
壁に穴を開けると少々不味いことになるのを思いつく、いきなり壁に穴が空いてそれを万が一向こうに人が居た場合どうなるか、どう考えても騒ぎになる、
というわけで、
「ドアにして見ました」
ギギギと音を立てて外壁の中を見る、これなら外に人がいても、なんだ非常口か、で済むかもしれない、
『いや。無理だろ。』
城壁の中は石が詰まっており、それを破壊して前に進む、石同士はセメントか何かで固められているのか、崩れる気配は無い
そしてついに壁の端に着いて来たので壁をドアにする、
ギギギィと石が擦れる不快な音と共に夜のボレトーニャが姿を現した
…まあ昼の姿なんて見たことないんだけど
ゆたか「暇なんで。次回から前書きにあらすじを書くよ!。まあ誰もこんな作者のオナニー小説なんて見ねーからどうでも良いんだろうけど。」




