「十五撃目。」 渡りに馬車
村を出て1日が過ぎた、
『領主サマをぶっ殺すのはいいけどさ。どうすんの?。まさか正面突破するわけじゃなかろうし。』
まあ正面突破しても行けそうな戦力はあるんだろうけど、
『普通に、夜忍び込んで暗殺でもすりゃ余裕だろ、』
破壊と創造、[完全なる幻想]の力があればなんとかなるだろう、
『てか普通にぶっ殺すとか言ってるけど。いいの?。』
『は? 』
『いや。普通こう倫理観的にさ。』
ああ、なるほど、確かに今まで日本で生きていたのならそう考え辛いだろうけどな、
『そりゃ、俺は快楽殺人者じゃねえからな、確かに銃を撃つのは好きだがサバゲーや射撃場で満足できるしな、』
『じゃあなんでよ?。』
『すでにこの前殺したんだ、今更だろ、それにこの世界はそういう物なんだろ?じゃあ郷に入っては郷に従えだ、』
…とかなんとか言っときながら、結局は勝手に理由付けしてるだけなんだろうか、だがこんな事でうだうだ言ってて世界を変えるなんて出来るわけ無いだろう、
必死になって気づいてないだけか、
…いやそれは無いな、人の命を奪う事の重大さはよく分かってるつもりだ、必死になってるなんてことで見失うわけがあって良いはずがない、
あるいは目を逸らし続けているだけなのか、それとも正義のためなら何をしてもいいという傲慢さからなのか、
まあどっちにしろロクな死に方はしないと思っておこう、
しばらく歩くと分かれ道に出くわした、
地図によると東側がボレトーニャへ行く道なので南側は関係ないのだが、
『なんか争ってるね。』
どうにも盗賊らしき小汚い格好の集団が大きな馬車…っていうか豪華な家にも見えるな、
まあ 、多分馬車だろう馬が引いてるし、
そんな感じで豪勢な馬車が襲われているようだ、
『行くの?』
『ああ』
ただ単に正義感で行くわけじゃない、恐らくだがあんなに立派な馬車に乗っているのはよっぽどの金持ちだろう、
それに馬車の向かう先はおそらくボレトーニャ、もしかしたら領主サマかもしれん、
そうなりゃ好都合だ、
たとえ違ったとしてもあんだけ大きな馬車なら余程の金持ちなんだろう、礼に馬車に乗せて一緒にボレトーニャに行くのも悪くない、
歩くのは疲れるしな、
さてはて、盗賊と馬車に近づいたわけだが、
「ハァッ!セイッ!うぉるぁぁ!!」
『すごいね。あのおじさん。』
執事服を身に纏った初老の男が盗賊相手に奮闘している、その周りでは鎧姿の男達が血を流して辺りに倒れている、
剣を振るい、近くの敵を払いのけ、矢が飛んでくれば周りの死体を盾にして馬車の中を守っている、
「…とりあえず助けに行くか」
そんなわけでRPG-28創り出し手に取る、
RPG-28、おそらく知っている人も多い、対戦車兵器で有名なRPGシリーズだ、
ソ連、ロシア生まれのこの兵器の特徴は何と言っても使い捨てだ、
RPGの弾は大きい上に落として大爆発なんてしたら洒落にならない、ゆえに弾をこめたままの状態がデフォルトで撃つと邪魔なので使い捨てにされる、
一発どデカいのを撃つと直ぐに機動力のある歩兵に変わる、中々に素晴らしい兵器の一つだ、
まず近くに一撃、地面を殴りつけるような轟音に全員の視線が此方に向かう
「今なら逃がしてやる、死にたくなきゃさっさと失せろ」
大きな音と破壊力によってか、盗賊達が混乱に陥る、しかしそれも一時の間だけでリーダー格のような奴が統率を取る
「落ち着け!ただの魔法だ!!弓を使え!」
向けられる弓を尻目に機関銃、AK-47を創り出し構える
Avtomat Kalashnikova-47、通称AK-47、世界で一番人を殺した銃だ、
扱いが容易な為、一般人をものの数日で殺戮マシンに変化させられる悪魔の武器、
素人にも扱えるように作られたおかげで雑なメンテナンスでもしっかり仕事をしてくれる優れものだ
…まあ優秀な銃ではあるんだが、如何せん有名になり過ぎて俗に言う“にわか"御用達の銃みたいに扱われることがある、
…いい銃なのになぁ
『あれ?。なんでさっきのミサイルぶっ放さねえの?。』
『てめえは好んで人がバラバラになるのを見たいのか?』
AK-47をフルオートにして引き金を引き続ける。狙いは腹部、わざわざ頭を吹き飛ばす必要は無い。
ババババババッ!っとある意味規則正しい銃声が響く、
「ウゲェ!」「ぎゃっ」「何だありゃあ!」
銃で敵を乱射する、凶弾を弾き出す銃がけたたましい音を立てながら振動する、まるで人を撃ち殺すAK-47の悦びの震えや歓声にも聞こえる、
一陣の矢が飛んでくる、が、俺がそれを視認した瞬間“破壊”されていく
『だいぶ慣れてきたね…。』
しばらくすれば、そこには物言わぬ死体と呻き声を上げながら地面を這いずる者しか残らなかった、
「うーん」
やっぱり人を殺すのは気分が悪いが同時にその気分の悪さがまだ人である事の証明を得てる様で安心感を抱くという奇妙な感覚を感じる
『つまり人を殺して安心感を得てると。』
『ちょっと待てや』
端折り過ぎだろ、只の快楽殺人鬼じゃねえか、
「そこの方」
「はい?」
初老の男性が声を掛けてくる、そういえば居たな、
「…先程は助かりました、ありがとうございます」
さて、上手く領主の馬車だったら良いんだが、
「いえいえどうも」
「つきましてはお礼をしたいのですが、なにぶん今は少々余裕が無くて…」
「ええ、お礼なんてそんな、それよりもそちら、少々お困りの様でしょう?」
「…はい、護衛も死に絶え今は私と馬車の御者と中の御子息様と妹様しか居ません、誠に恐縮なのですが…一つ、依頼を…」
御子息様?領主じゃあ無いのか、ならせめてボレトーニャに行ってくれるとありがたいのだが…
「ええ、構いません、承りましょう、行き先はどこまでですか?」
「本当ですか!ではボレトーニャまでお願いします」
おお、良かった良かった、多分この道だとボレトーニャか近くの小さな村しか行き先はなかったんだけど、上手いこと事が運んで良かったぜ、
すると初老の男性が何やら思いついた様に話しかけてくる
「ではその前にギルドカードを持って居ますか?、有れば見せて頂きたいのですが」
ギルドカード?
「?、はい、構いませんけど…」
そういってギルドカードを手渡す、ギルドカード?身分証明かなんかか?
「はい…はい、ありがとうございました、ではよろしくお願いします」
ギルドカードを返してもらい、初老の男性は馬車に乗り込む、
とりあえずは中の御子息様とやらに挨拶するため初老の男性の後に続いた
「坊っちゃん、もう大丈夫ですぞ」
初老の男が馬車に入る前に一声掛ける、
「…大丈夫だったのか爺や?凄い音が聞こえたが…」
男が1人、ドアの影から剣を構えながら出てくる、
身体は引き締まってるが、なにぶん細いせいか、剣が不似合いだ、だが目には闘志が宿っている、が、やはりこれも身体と不似合いである、長めの金髪の髪は手入れされている様で気品がありおそらくは貴族の出だと見える
「ええ、このお方が助けてくださいました」
「そうか…だがその男、信用出来るのか?」
「…ギルドカードは確認致しました、」
「なるほど、しかしギルドにもあの男の息がかかってるやもしれん」
「…」
どうやらこの男は俺の事を暗殺者かなんかだと疑っているようだ、
まあ高貴な身分の様だし、命を狙われてても不思議じゃない、
…でもまあなんとか疑いを解かねばならない
まあ疑いを解くのは簡単なんだがな
「で、ですが」
初老が反論している脇を通り抜けて男に素早く近づく
男は近づく俺に驚き手に剣を取る、が
「遅い」
完全なる幻想を使用する、
パッ、っとまるで元からそこにあったかの様に刃が現れる、それは次々と現れ男の身体を蛇がまとわりつく様に囲っていく、そしてついには首を少しでも動かせば刃が当たるまでに刃が創られた、
凍りつく空気、突き刺さる視線、気まずい、
「…と、まああんたらぐらい殺そうと思えばいつでも殺せるんだから気にすることは無いんじゃないか?」
すまんかったな、っと御子息様の肩に手をポンッとやると同時に刃を破壊する、ばらばらと崩れていく刃に驚きを隠せないでいる御子息様、
「まあ、こういう訳だからよろしく頼…」
最後まで言いかけた時、馬車の荷物の影から小さな影が飛び出してくる
「お兄様に近づくなああぁぁ!」
ナイフを片手に少女特有の高い声を挙げながらで突っ込んでくる影、だがしかし!
「対ナイフに関しては対策を取っている!」
突き出されたナイフを余裕を持って避ける、と同時に突き出されたナイフを握っている手の親指に軽い手刀を当てるとあら不思議、自然とナイフが真下に落下する
手から行き良いよくはたき落とされたナイフは馬車の床に突き刺さる、やべえ後から修理費請求されねえよな?
「はあ…はあ…」
「…」
息を乱しながらもこちらを睨みつける少女、その目は御子息様とやらに似て鋭く闘志が篭っている、おそらくだが…
「やめろ!エレナノーア!」
「お兄様?!」
やはりと言うか、当然と言うべきか、
「妹さんか…?」
「はい、すみませんいきなり…」
エレナノーアと呼ばれた少女が落ち着いたのを見計らって話しかける、
「いや、良いんだ、こっちも少々バイオレンスな方法を取ってしまったんだ、誤解されても仕方が無い」
「ばいおれんす?」
2人して首を傾げる兄妹、まさか横文字は通じないのか?
今まで特に気にすること無く喋って来たが何らかの法則があるのだろうか?
要検証だな。
それにしてもこの兄妹、似てるところが無い、
兄と比べると髪の毛は茶色で口も鼻も輪郭も似てるところが無く、目は鋭い眼つきに見えたがいつの間にか穏やかな目をしている、
見間違いか?
こうして見ていると華奢な王子様と町娘の様に見える
「似てないな…」
「よく言われます、妹は母が違っていて」
声に出てたか、とにもかくにもだ、
「俺の名前は…」
さて、ここで思いつく、恐らく相手はお偉い貴族さん、つまり勇者の事は知っている、ならばここはひとつ、偽名を名乗るべきなんだろうか、
『ギルドカード見られてるんだから意味無くない?。』
…それもそうか、失念していた
「俺は洋兵 山城だ、」
「申し遅れた、僕の名前はクストア ボレトーニャ ノーレだ」
ミドルネームにボレトーニャ?まさか、
「あんたボレトーニャ出身か何か?」
「はい、一応父が領主をやっています」
………なん…だと?
『いや。薄々そんな気はしてたよ。』




