協力
「それでアリアはどうしてダンジョンへ? 冒険者なのか?」
「いいえ。そんな凄いものじゃないです。ダンジョンに落ちてるものを拾って魔法で綺麗にして売ってるんです」
「ほう。魔法か。魔法が使えるなんて凄いな。私は使えないから素直に尊敬するよ」
「えへへ」
「……」
「……」
そこで互いに無言になってしまう。
人類と魔物? のスケルトン。
話題がなくなってしまった。
「そ、そうだ。魔法を見せてくれないか?」
「あ、はい! 良いですよ! え〜と。これで良いかな?」
アリアは落ちていた枯葉の一枚を握る。
「《復元》」
手の中でふわっと光る。
そしてイザベラの前で掌を見せる。
すると、枯葉は新緑の葉に変わっていた。
「あはは……地味、ですよね?」
「いいや。凄いじゃないか。葉っぱ以外にも出来るのか?」
「はっ、はい! じゃあ、え〜と」
辺りを見回すアリア。
だけど目ぼしいものは見つからない。
「ここには何もないですね〜」
そこでふと視線がイザベラに止まる。
イザベラは数年ぶりに人類に会ったと言っていた。
そのため、スケルトンにしては上等な鎧を着ているが、錆びついてしまっている。
「何かイザベラさんのをお借りしても良いですか?」
「私のを? 構わないが」
イザベラは一瞬悩み、兜を脱いでアリアに渡した。
ザラついた赤錆の兜。
「《復元》」
両手で包んだ兜が光り始める。
赤錆が消えていき、金属光沢を取り戻していく。
そして鉄本来の銀色に変わる。
「これでどうですか?」
「ああ! 素晴らしいじゃないか!」
手渡された兜にイザベラはない瞳を輝かせる。
「《復元》の魔法か。元に戻す魔法ってことで合ってるか?」
「はい! それで合ってると思います! そうやって生計を立ててるので!」
「貧しいのか?」
「ま、まあそれなりには」
「だったらこの兜を持って行くと良い。鉄だから多少の金にはなるだろう」
綺麗になった兜をイザベラはグイッとアリアに手渡す。
「そ、そんな! いただけませんよ!」
「気にしないでくれ。これは礼だ。その代わりといってはなんだが、たまにで良い。ここに来てくれないか? 私はほら、スケルトンだから人類の場所には行けないのだ」
「もちろん! 私も友達が出来て嬉しいです!」
「友達?」
「あ、すみません。烏滸がましかったですよね。亡くなってるとはいえ、騎士様と友達なんて」
「……いや」
イザベラはアリアの肩に手を置く。
「今から私たちは友だ。何かあれば頼ってくれて良い!」
「ーーっ! はいっ! イザベラさん!」
二人はそこで固い握手。
それからはアリアはこのダンジョンに通うようになり、その見返りにイザベラの物を《復元》の魔法で直して売ることになった。




