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魔王大戦記  作者: エドゥアルト・ミールケ
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魔王大戦記1

いよいよ始まりました、ミールケです


少し恥ずかしいです。


初っ端から戦闘あります、グロくはないです

冷たい風が吹き荒れる、城壁の隙間からヒューヒューと風が抜ける音が聞こえる。


「うぅう、今日も一段と冷えるなぁ、もう少しで冬かぁ」


ぼくは一人で立哨に立っている、いつもなら二人だが、なぜ?

それは相方が暖かいコーヒーを獲得し、ここに凱旋するのを待っているから。


ここはステラの城塞線23番通用門、そこを守備するのはぼく達、城塞線防衛機構軍第6警備大隊だよ。


見渡す限りは灰色の荒野、うっすらと地平線にリッチェンスブルグの時計塔が見える、目の前には二重の堀と土塁。

お堀の水は黒々としていて夜に見下ろすと奈落の底の様で恐ろしげ、ぼくが子供の時だったらきっと泣いているに違いないよ。


「おーい、コーヒーを持ってきたぞぉ。」


待ってました、立哨の楽しみ。


コーヒーを啜りながら相方のエーリヒと他愛無い会話をする


「お前は魔王軍なんて…本当にあると思うかい?」


なんだい不躾に……近頃話題になっているものね


「なんだい不躾に、ぼくは信じているさ。

お母さんがいるって言っていたものね」


エーリヒは苦笑いしながら


「なんだそりゃ」


困り顔だ。


帝国では近々魔王復活の1000年目であるという話題が、ラジオ等でも取り上げられるほど賑わっていた。

帝国軍が軍の移動を行うなど、まるで何か大きな事件が起きる前兆の様だった。


ふとエーリヒが腕時計を覗く


「定時報告の時間だ」


魔信機に魔力を流すと


「こちら第4立哨地点、定時報告異常な–」


その一瞬、リッチェンスブルグの時計塔が光った気がした。

それはどうやら気のせいではなくエーリヒも見たらしく、叫ぶ


「今リッチェンスブルグの時計塔が光らなかったか?」


ライフルスコープを取り出し覗き込む


黒煙が見える、黒煙が立ち上っている。


時計塔が倒れる瞬間を見た。


「時計塔が!!?!?」


エーリヒが報告を言い直す


「リッチェンスブルグが炎上中!繰り返す!リッチェンスブルグが炎上中!!」


司令部もどうやら情報を整理しきれていないらしい、曖昧な返事が返ってくる


《現在状況を確認中である、別命あるまで待機》


背中がゾクっとした、リッチェンスブルグには友人2人が在籍している第3小隊が警邏に出ているはずだ。


「おい、大丈夫か?翼が仕舞いきれてないぞ」


頭の中に色々な憶測を巡らせていると



ゥゥウウウウーーーーーーーー


突然けたたましく警報が響き渡る


「非常呼集だ、ほら、ボサボサしてないで早く行くよ」


警報の音ではっとして、エーリヒの肩を押す


とにかく走った、集合地点まで走る走る。


はあ、はあ、と荒い呼吸に白い吐息が口から漏れる。

狙撃長銃は重い、普通の歩兵銃よりも長いからそれは仕方ない…それを抱えて飛んでいるぼくらって偉いよね…?



木製の扉を開けると広場に出る、見慣れた面々が整列しかけている。


「ペトラ・アーレンス軍曹!」


大声で名前を叫びながら隊列に加わる、と後ろから同じ鳥人族の飛行偵察兵のヴィルヘルムが声をかけてくる


「おいペトラ、聞いたかよ。

リッチェンスブルグが何かに襲撃されて壊滅したらしい、第3小隊も行方が知れねぇんだと」


ドキッとした、チラッとヴィルヘルムの方を見ると不安そうな顔だ


「確かお前の友達のハンスとフリッツも第3小隊だったよなぁ、あいつら良いヤツらだったから心配だぜ」


整列が完了すると中隊長が壇上に上がる


『諸君!我々は現在、正体不明の敵に攻撃されている!

飛行偵察兵によると、

リッチェンスブルグは壊滅した!急遽、緊急編成の攻撃隊を派遣する事が決定した!

一番槍は我々だ!訓練でした事を思い出せ!敵が何に手を出したのか思い知らせ、後悔させろ!

以上!!』


慌ただしく動き始める

そこかしこで指示する声が聞こえる


『弾薬の配給をうけよ!』

『準備が完了次第トラックに分乗せよ!』



突然サイレンが鳴ると拡声魔法で叫び声に近い命令が響く


《警報!警報ッ!敵勢力の一部と思われる一団が接近中!!

至急!至急、迎撃体制に移れぇぇッ!!!》


中隊長が指示を変える


『中隊は先に迎撃体制に移行する!要塞戦用意!まずは城塞線を防衛するッ!!』


ダガンダガンと要塞砲が砲撃を始めた、排莢口から大きな薬莢がガランガランと音を立てながら飛び出してくる


それを横目にペトラは要塞上段に上がる為に翼を広げて飛び上がる、他の兵士がわざわざ階段を駆け上がっているのが見える。


「おい!あれ!」


ヴィルヘルムが指を指した方向を見ると、恐ろしげな光景が広がっていた。


「なんだあれ、化け物がいっぱいだ」


実感できないけど、現実だ。

ちっちゃい頃に両親と見に行った映画の1シーンみたいだった。


狙撃兵用の櫓に取り付くと既に要塞狙撃兵が射撃位置に着いていた。


「敵はどれくらいまで近づいてます?」


その中で最先任のアルベルト少尉に声を掛ける


「アーレンス軍曹か、500mといったところだろう…

十分引き付けてから撃つぞ。


跳ね橋の北側では既に交戦状態だそうだ。」


確かに耳をすませば銃声が響いている


こちらでは要塞砲が効果を発揮しているようで、駆け寄ってくる化け物の鼻っ柱に着弾しては怯ませているようだ。


「ほんとに魔王軍は居たんだ、ご先祖さまは正しかったんだね。」


隣にいるヴィルヘルムに話しかける


「勇者サマとやらは未だに出てきてないしなぁ、この城塞線がなかったらとんでもない事になってたな」


ご先祖さま達が現実主義で、技術発展に余念がない人々で良かったとしみじみ思うのであった。


「射撃統制線侵入まで300m!」


ボルトを引き出し薬室を剥き出しにすると、腰のポーチから5発の弾薬クリップを取り出す

弾倉部にクリップを押し込むとカチカチカチカチと弾薬が弾倉に装填される。

最後にボルトを押し込むと弾薬が薬室に装填され、クリップが飛んでゆく。


「150m!」


スポッターの叫び声に気を引き締める


十分に整備の行き届いた自慢の長銃の安全装置を外し、スコープのツマミを捻る


カチリ チリチリ


「50m!」


スコープを覗きながら深呼吸をする。


「侵入!侵入!撃ち方始め!」


兼ねてから照準を定めていた犬の様な怪物に向けて引き金を引く


ッターーーン


乾いた銃声と共に銃口から僅かな発砲炎を発すると、7.5mm徹甲弾が勢いよく飛び出す。

弾はライフリングに沿って回転しながら真っ直ぐ化け物に向けて飛んで行く。

ヒット!犬の様な怪物は頭から盛大に倒れる、効果はある!


スコープから顔を離すとボルトを持ち上げ思いきり引っ張る。


ピーーン


と子気味いい音とともに薬莢が排莢される、それを見届けるとすぐ様ボルトを押し込み倒すと、次弾が薬室に装填される。


「次!」


ボソリと呟くと再びスコープを覗くと次の敵に照準を定める、何時もならスポッターの指示が必要だがこの距離ならそれも必要ない。もはや目と鼻の先だ、小銃ですら応戦できる


ターーーン、ピーーン


素早くこなしていく、隣では同僚のヴィルヘルムが何か呟きながら狙撃を行っている。


「我らが神よ…… 力を与え給え…」


…神に祈りを捧げているようだ



一体どれほど経っただろうか、日が傾きかけているのが見える


跳ね橋周辺では戦車隊が未だに戦闘を継続しているようだ、ふと背後にあった長距離魔信機に通信が入る。


《ザ……こちら戦車隊、残敵の掃討に移る。どうぞ》


《こちら司令部、了解した、1匹たりとも生かして返すな。通信終了》


どうやら終わったようだ、こちらもほとんど敵はいない。

安心したのかどっと疲れが出てきた、軍支給の遮陽眼鏡を取ると目頭を抑える


「はぁー、疲れた。

取り敢えず乗り切ったみたいだな」


ポンと肩を組んで話しかけてきたのはヴィルヘルムだ


「セクハラだよ」


咄嗟に出た言葉は何故かそれだった


ヴィルヘルムは慌てて手を退けると、それを見ていた少尉が笑いながら話しかけてくる


「ははは、仲が良いのはいい事じゃないか。

どうやら陸軍の戦車隊がこちらに急行中だそうだ、お前らの第2中隊はそれに随伴する事になったそうだぞ」


先程まで連絡将校と話をしていた少尉が、ポケットから紙とタバコの葉を取り出すと、巻きタバコを巻きながら話を進める


「どうやら第25通用門では更に大規模な襲撃があって陸軍はそちらにかかり切りだったらしい」


少尉は巻きタバコをペトラとヴィルヘルムに差し出すとポケットからマッチを取り出す。


ペトラはタバコは吸わないので断る


火をつけるとフゥーっと一息


「リッチェンスブルグの奪還作戦は陸軍機甲連隊と空艇艦隊の共同作戦だそうだ、なんでも最新鋭のリューベック級航空巡航艦が編成された第15艦隊が来るらしい。」


その話に飛空艦マニアのヴィルヘルムが食いつく


「リューベック級ってあの5500t級軽巡空艦で、初めて最先端の重武装を施すことに成功したって言う、あの!?」


少尉は引き気味に返事をする


「あ、ああ、確か来るのは3番艦のゴトラントらしいぞ」


ヴィルヘルムが目を輝かせている


「ペトラ!お前確かカメラ持ってたよなぁ、貸してくれよ!」


え?嘘でしょ勘弁して欲しいけど、こんな顔されちゃぁなぁ。


「良いけど、壊さないでよ…

高かったんだ。」


城塞線防衛機構軍に入隊してからコツコツと貯めたお金で買った念願のポラロイドカメラだ、まだ数回しか使っていないと言うのに。


元々風景写真を撮るのが趣味だったから買ったものの、中々休みが取れずに撮りに行けていないのだ。


カンカンと鉄製の螺旋階段を降りて扉を開けるとエーリヒが立っていた


「エーリヒ、無事で何よりだよ。」


片手に煙草を持ってコーヒーを飲んでいたらしい


「ああ、ペトラにヴィルヘルム、そちらこそ無事でよかった」


よく見ると足元が血で濡れている


「その血はどうしたんだい?」


エーリヒはバツが悪そうに足を見ると

「第2小隊の奴が跳ね橋の防衛戦闘で負傷しちまって、その救護の手伝いをしてたのさァ」


「死んじまったみたいだけどなあ」


俯きながら話していたが、残念そうな顔をしていた。


「そんな事より奪還作戦のブリーフィングがあと30分くらいで始まるらしいぞ」


それは大変、急いで行かないと


「ありがとう、エーリヒ」


「じゃあな…そういや小隊を再編成するらしいぜ。」


エーリヒはヒラヒラと手を振ると、着替える為にロッカールームに向かう


ふと気がつくと肩に埃が溜まっている、軽くポンポンと叩くとブリーフィングルームに向けて歩みを進める


道中には呻き声をあげる兵士が担架で運ばれていたり、所々焦げたボーデンプラッテ中戦車が通り抜けて行ったりと痛々しいものが多々あった。


ブリーフィングを受けるため中隊本部の天幕に入ると大声で名乗る


「第2中隊第1小隊選抜射手ペトラ・アーレンス軍曹!」


「同じく測距員ヴィルヘルム・ゲーデ軍曹!」


中隊長が声を掛けてくる


「ご苦労、そこに掛けてくれ。

まだ他の小隊の隊長達が到着していないのでね。」


副官の曹長がコーヒーが入ったカップを持ってくる


「まあ飲んで待っててくれ」


そう言うと天幕の外に出ていく


「はああ、これからどうなるのだろうか。」

ヴィルヘルムが大きくため息をつく


ふと目の前にラジオが目に入る


スイッチを入れると、ザーという音と共にピィィィンという反響音が響く、周波数のトリムを回すと帝国国営放送の周波数に合わせる


《午後のニュースです、城塞線襲撃事件に続報が入りました。

この襲撃は賊徒によるものではなく、魔王軍と自称する武装集団による計画的軍事行動であった事が示唆されました。

現在、軍上層部は、城塞線防衛機構との協議を継続し…》


天幕の外からザワザワと声が聞こえる


「お前の小隊は損害が大きかったらしいな」


「あぁ、フランツの奴が殺られちまった。

良い奴だったのに…」


「戦車隊は2両が丸焼けにされたらしいぞ」


「中は酷い有様だったそうだ」


そんな話をしながら天幕に入ってくるのは小隊長達だ。


「おお、ペトラ軍曹とヴィルヘルム軍曹か、早かったな。」


声をかけてきたのは第1小隊の小隊長エルンスト・スコルツェニィ少尉だ


「小隊長が遅かったんですよ」


とペトラは相変わらずの口の悪さ


ドカッとペトラの隣の椅子に腰掛ける。

眼帯の隙間から痛々しい傷跡が見える、歴戦の小隊長といった感じだ。


「総員傾聴せよ、これよりリッチェンスブルグ奪還作戦の作戦概要を説明する。作戦の詳細は後日伝える。」

中隊長の大声が天幕の中に響く


「まずは…」


「我が第2中隊は…」

説明は続く

「第2中隊は中隊規模での戦闘を行う、選抜射手で1個小隊として再編成し欠番の第3小隊とする。」


「小隊長は新任のクラウス・ベルファー少尉だ」


クラウス・ベルファー少尉が立ち上がり軽くお辞儀をする。


「私はクラウス・ベルファー、階級は少尉です。

よろしく。」


挨拶もそこそこに着席する。


どうやら新しい上官らしい、少し不安だ。


それに気づいたのかスコルツェニィ少尉が声を掛けてくる


「あんな感じだが、悪いやつじゃなさそうだ。

お前らの方が先輩だから色々教える気で行け。」


こう見えてもぼくは射撃大会で賞をもらった事がある、勲章だって貰ってる。

射撃には自信があるつもりだ。


それにしてもいよいよだ、行方知れずの友人2人を探しに行ける。


「以上だ、作戦決行は2日後、それまで各々体を休めるように。」


パンッと資料を軽く叩きつけると天幕を出ていく中隊長。


それを見届けるとガヤガヤと立ち上がる


「じゃあ2日後だな、小隊は別々だが結局は狙撃支援はお前らに頼むんだ。

頼りにしてるぜ、ゆっくり休めよ」


スコルツェニィ少尉は後ろ手に手を振りながら去っていく


「少尉もゆっくり休んでくださいよ、呑んでばかりいないで」


冗談を言って天幕を出ようとすると後ろから声を掛けられる


「君たちが今度配下に加わる2人かな?」


振り向くと先程のクラウス・ベルファー少尉が立っていた


「はっ、選抜射手のペトラ・アーレンス軍曹です。」


「同じくヴィルヘルム・ゲーデ軍曹」


自分たちよりも若そうに見える


「私は今年士官学校を卒業したばかりなので、現場の事はよく分からないんだ。

色々と教えてくれると助かるよ。」


不安だったが人柄は悪くなさそうに見えた。


「ぼく達も組織戦は初めてなのでなんとも言えませんが、一緒に頑張りましょう!」


ヴィルヘルムも頷く


「他の選抜射手の皆んなも紹介しますよ」


そう言ってヴィルヘルムがクラウス連れていく


「ペトラは立哨のあとなんだから休めよ」


言われてみれば今まで気を張っていて気づかなかったが、体がフラフラだ


「ふぁ〜、安心したら眠くなってきた」


本当だったら今頃非番で街に出ていたのに。


フラフラと自室に向かって歩いていると同部屋のフランチェスカが声を掛けてくる


「ペトラ〜、狙撃兵のアンタが負傷することはそうそう無いだろうけど無事で良かった〜」


そう言う彼女は魔導衛生中隊の魔導衛生兵で戦線を駆け回っていたようだ、右目の下に切り傷が見える


「フランチェスカも怪我だけで済んだみたいで良かったよ」


と言うと少し欠伸がでる


「ごめん」

謝ると彼女も眠そうな顔をしている


「ペトラは立哨だったし私は救護所の不寝番だったから眠い、今日はもう寝よう」


そういいながら部屋に入るとランプの火を消す


布団に潜るといつの間にか夢の中だった。




有翼貧乳と人間お○ぱいです、悪しからず


では、また

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