秘境散歩
《 お題 》
『彼』と『暁』を使って140字SSを書きましょう!
【暁の色】
「絶望の色は何色だと思う?」
傍らの彼に尋ねた。
「日の出前の、仄暗い暁の色」
そう彼は答えた。
氷点下を超える眼前の風景が、
昇らない朝陽で仄かに白む頃。
凍り付いた雪の、
闇空を吸い込んだ群青が蒼白い輝きを放ち出す。
光に照らし出される雪原。
広がる、色も、音もない世界。
何もない世界。
《 お題 》
今日のお題は……『少年』『森』『希望』 Lets 創作
【黒い森】
腕を絡ませ生い茂る常緑樹は、
燦々と輝く真夏の太陽さえ覆い隠し、
強い光に比例した黒い影を大地に刻む。
昼なお昏く冷涼な帳の中、
唯一の案内人コンパスを片手に、
樹々の狭間を足早に、少年は南へと向かう。
一筋の希望を胸に秘めて、
この黒い森を抜け国境へと。
銃弾の届かぬスイスを目指して。
《 お題 》
〔掠れた声〕です。〔会話文のみ禁止〕かつ〔風景描写必須〕で書いてみましょう。
【トロフィー・ハンティング】
乾ききった窪地に散らばる枯れ枝を踏みしだき、
象の群れが茶色く濁った水溜りに姿を現した。
視界を歪める熱気を銃声が切り裂く時、
一頭の古象の断末魔が蒼穹に向けて放たれる。
掠れて揺れて消える、永遠の祈り。
日に褪せた草原に横たわり、天を映す虚ろな瞳。
その下の牙が、狩猟者の熱情のトロフィー。
(トロフィー・ハンティング… 趣味として合法的に野生動物を射止め、その剥製・牙・毛皮などを持ち帰るスポーツ)
《 お題 》
〔永遠の知らんぷり〕です。〔二次元ネタ台詞の引用禁止〕かつ〔風景描写必須〕で書いてみましょう。
【狭間】
天空の鏡を滑る様に彷徨っていた。
白く固まる塩の上に、
足首まで浸かる水を切り裂いて、
薄れる星屑を蹴散らして。
黎明の光が分断する空と空に挟まれた、
足元には鏡合わせの僕が続く。
一足ごとに歪む自画像、歪に嗤う影。
踏み締める、狭間の奥へ。
知らぬ振りをして永遠に埋め込む神秘の芥。
僕の虚像。
《 お題 》
『口笛』と『空』を使って140字SSを書きましょう!
【空中楼閣】
口笛を吹きながら、
心も軽く螺旋階段を昇りつめ、
空に最も近い高殿から僕は下界を見下ろした。
棚引く雲のまにまに煌めく紺碧の海、霞む大地。
繰り広げられる終わりのない悲喜劇を眺めつつ、一人ほくそ笑む。
ここは僕の空中楼閣。
世界を遍く覆い尽くす欲望の届かぬ、最後の秘境。




