玉響の夢 / 遊戯の匂い / ENDLESS / 赤い雨 / 石段の女神
《 お題 》
「夜の床の上」で登場人物が「貪る」、「トランプ」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【玉響の夢】
旅人が意図せず勝ち取った賭けの報償は夢だ。
白い指先から一枚のトランプがはらりと落ちた時、
ハートの女王は射干玉の夜の床の上に波紋を刻んだ。
闇を貪り赤く燃え立つ熱に変え、濡れそぼる。
この夜、偶然の孕んだ気まぐれと戯れの子どもが嵐に育つなどと、いったい誰に予測できただろう。
《 お題 》
〔あそべない〕です。〔固有名詞禁止〕かつ〔匂いの描写必須〕で書いてみましょう。
【遊戯の匂い】
どこもかしこも同じ人工の匂いで囲われて。
これではとてもあそべない。
心を身体を刺激してともに戯れることのできるのは、
自然の中の生きた香り。
伸びる野草の放つような。
忍び足で行き交うふわふわの名残りのような。
囁き合う誰かの吐息のような、絡みつく、柔らかな、微睡みに似た匂いなのに。
《 お題 》
〔何度でも、繰り返す〕です。〔格言、名文の引用禁止〕かつ〔「黒」の描写必須〕で書いてみましょう。
【ENDLESS】
恐怖の気配に怯えて、
ケースの中の二十日鼠は漆黒の闇を走り回る。
この迷路から抜け出る道は一つ。
決して乗り越えられない金網を越えること。
よじ登り、落とされる不毛な行動が唯一の希望。
終わらない悪夢。
何度でも、繰り返す。
充分な、実験データを得るまでは――。
《 お題 》
『ドアを開けて』を最初に使ってSSを書いてください。
【赤い雨】
7番目のドアを開けて目にしたのは、視界を遮るほどの赤い雨だった。
艶やかにねっとりと滴る細やかな雫たちが集まり、川となって流れる。
黒光るゴンドラが滑るように進んでいる。
鳥頭の渡し守がゆっくりとオールをあげて呼んでいる。
応えようと手を伸ばした。
踏みいれる。
粘り気のある赤のなかへ。
《 お題 》
「深夜(または夜)の階段」で登場人物が「溺れる」、「蜜柑」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【石段の女神】
蜜柑色の太陽が波間に溺れて断末魔の輝きを放ち息絶えると、
冷ややかな月は我が物顔で空を奪う。
破壊された神殿の廃材の女神像が深夜の階段から起きあがる。
我が身を濡らす波を蹴りあげ踊りだす。
還ってくる子らの標となるために、つま先立ちで飛び跳ねる。
今宵も目を細めて高らかに笑い興じながら。
完結にしていたのですが、またときどき書いていくかなぁ、とツイノベ置き場復活させていただきました。




