落日 / 朝霞 / 飽和 / 氷床下 / 林檎
《 お題 》
今日のお題は……『夕陽』『机』『天災』 Lets 創作
【落日】
夕陽に染まる教室の、
窓際の机に腰掛ける、
君はひとつの影法師。
丸まった背中。
脚は他の机の上。
身動ぎもせず。
僕はとくんとくんと高鳴る鼓動を押さえようと、
きゅっと拳を握り込む。
まるで天災。
昨日までは普通の日常だったのに。
いきなり恋に落とされて、嵐に呑まれて途方に暮れる。
《 お題 》
「朝のグラウンド」で登場人物が「髪を撫でる」、「水」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【朝霞】
陸上部の朝練を見る為に、私の朝はかなり早い。
空を眺めているフリをして、
教室の窓からそっと探すトラックの上のあの背中。
黒髪を無遠慮に撫でる風にすら嫉妬するのに、
練習後、ふざけて水飲み場の水を掛け合う無邪気な声には頬が緩む。
ふいに見上げる視線。
慌てて顔を伏せる臆病な私を彼は知らない。
《 お題 》
今日のお題は……『学校』『コーヒー』『節制』 Lets 創作
【飽和】
学校という閉じられた時空の中で、
僕は今日も夢想する。
眩しい青に眇められた赤い目を擦りつつ。
コトリと机に置かれたまだ温かい缶コーヒー。
「少しは節制しろよ」
呆れた笑みに、僕もニヤッと笑い返す。
「後もう少しで世界征服できるんだ」
広がる意識が空気に溶ける。
目を瞑るだけでどこにでも飛べる。
《 お題 》
今日のお題は……『メモ』『恋人』『氷河』 Lets 創作
【氷床下】
行方不明の恋人の唯一つの手がかりメモに残されていたのは、
グリーンランドの地図だった。
探検隊に加えて貰い、氷河に覆われたその地を目指した。
何もない。
見渡す限り何もない白い世界。
吹雪に襲われ一人取り残された。
朝日が昇る。
蒼く光る足下に氷床に閉じ込められた古代都市が広がっていた。
《 お題 》
「昼のアパート」で登場人物が「嫉妬する」、「林檎」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【林檎】
赤く熟した嫉妬する心を下ろし金に当ててみる。
甘酸っぱい匂いが、
昼下がりの空気がむわりと歪む、四畳半のアパートに不釣り合いに充満する。
林檎の芳香と生々しく混じり合う汗の匂い。
チリン、と申し訳程度の風鈴の音。
液体になった想いは生温く、
ごわごわの繊維質を残して口内に不快にへばり付く。




