言葉のかたち
《 お題 》
『あげられない』を最初に使ってSSを書いてください。
【礫】
あげられない言葉を丸めて壁に叩きつけた。
パンと弾けて砕けて落ちる。
粉々になった言の破片は、粒子になってきらきら光る。
決して溶けることなく、混じり合うことなく漂う言の波。
意味をなさない音になっても、ただそこに在り、光り続ける。
掛けられた想いを反射して。
時の狭間に揺蕩い移ろう。
《 お題 》
今日のお題は……『メモ』『晴天』『夜』
Lets 創作
#三題話から
【メモ】
「すぐに戻る」の走り書きを、何度も何度も繰り返して読んだ。
晴れ渡る空は今日も青く、果てしなく遠い。
幾千幾万の昼と夜を繰り返しても、もう戻って来ないあのひとを、
何故か未だに待ち続けている。
ただ残された僅かな言葉を信じている。
インクの色が褪せ、紙の色さえ黄ばんでしまった今となっても。
《 お題 》
『気持ちいい』を最初に使ってSSを書いてください。
【美食】
気持ち良い文章は、美味しい料理に似ている。
香りを吸い込み、舌で転がし、噛み砕き、
その食感を味わい尽くす。
咀嚼する音に恍惚としながら、
嚥下し腹に収める時の喉越しがまた堪らない。
冷たく、熱く刺激する。
五感で堪能する命の糧。
だがその逆もまた然り。
腹を壊すような文章は、残念だが頂けない。
《 お題 》
今日のお題は……『砂漠』『時間』『ナイフ』
Lets 創作
#三題話から
【砂漠】
僅かな風に舞う砂塵のように、
虚ろな言葉は蒼穹に浮く。
悠久の時が作り上げた真砂のような、
数多の言葉が景色を作る。
時に美しく形を整え、昼の金、夜の銀に照らされて。
時にその砂塵は風に翻弄され嵐となり、ナイフとなって胸を裂き。
やがて語り得ぬ言葉を呑み込み、粒子に還す寂膜の砂漠。
《 お題 》
〔恋を忘れて〕です。〔三人称(彼、彼女等)の使用禁止〕かつ〔キーワード「朝日」必須〕で書いてみましょう。
【朝陽】
昇る朝日が夜を払い、我がもの顔であなたを追いやる。
もしも私に翼があるなら、自ら羽ばたき追いかけるのに。
残念だけど、それは無理。
この地に縛られた私には籠を破る手すらない。
だからせめて、この寿ぎを朝露を生む淡光に託し放ちましょう。
恋を忘れて、約束を捨て、どうぞ生きて永らえて。




