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作り手のいる風景

 《 お題 》

『理想』『黄色』『路地裏』


 Lets 創作

 #三題話から



【ガラス職人】


 その部屋に一歩踏み込めば灼熱地獄。

 玉となり流れる汗を今日も拭う。


 光の色を生み出す事が長年の彼の願い。

 どろどろの夢を救い取り、くるくると廻す彼の技。


 ただの黄色ではなく太陽の様に内側から輝く黄色を。

 膨らむ熱が凝固するまで、彼は飽くなき理想を追い続ける。


 この路地裏の小さな工房で。



 《 お題 》

『絶望』『毒』『退廃』


 Lets 創作

 #三題話から




【人形作家】


「退廃的だと言うけどね、」


 彼は笑みを浮かべ、棚に並ぶ気怠げで背徳的な香りのするビスクドールに愛おし気な視線を投げかける。


「たかが人形遊びじゃないか」


 愛した女の面差しそのままの、甘美な毒に蝕まれ絶望に喘ぐ表情が、彼を人気作家に押し上げた。


 人形のモデル、彼の妹はもうこの世にはいない。



 《 お題 》

『学校』『方言』『科学』


 Lets 創作

 #三題話から




【タイル職人】


 新設される学校の広場を、

 漆喰の匂いを纏う一人の少年が黙々とモザイクタイルで埋めていた。


 親方らしい男が何か叫んでいる。

 返す少年の言葉も方言がきつ過ぎて判らない。


 翌日、紡ぎ出された世界は一つの宇宙。

 科学的な螺旋構造にモザイクの星が唄う。


 名も知らぬ職人の描く眩暈に似た渦がそこにあった。




 《 お題 》

『コーヒー』『サバンナ』『雪』


 Lets 創作

 #三題話から

 


【喫茶店主】


 そのコーヒーの名前は「サバンナに降る雪」と言う。


 シマウマが群れをなし、ライオンが微睡む草原の地に雪が降るのかと苦笑すると、マスターは、キリマンジャロがベースなので、と微笑んだ。


 漆黒の山に被る淡雪のようなクリームは、混ぜずにそのまま飲んで下さい。


 寒と暖。

 彼の夢が喉を伝い流れ落ちる。



 ***


 おまけ… 作家でくくらないならこっちの方が好き。


 《 お題 》

『コーヒー』『サバンナ』『雪』


 Lets 創作

 #三題話から

 


【故郷】


 乾いた草原にシマウマが群れなすサバンナに、

 白い粉雪がちらちらと舞う。


 飲みかけのコーヒーを片手に立ち上がり、

 蒼く澄み渡る空を仰ぐ。

 晴れ渡る蒼穹の何処から雪が舞ってきたのか…。


 最後の時に見たこの奇跡は、

 私を故郷の空へいざなってくれたのだと、

 気付いた時には視界から空は消えていた。






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