虹の橋シリーズ2【七の姫】
《 お題 》
『姫君』と『描く』を使って140字SSを書きましょう!
【大変だ!】
雨が上がるよ。急げ。急げ。狭間の国の七人の姫君、輝くドレスを翻し絵筆片手に虹を描く。一本、二本…さぁ、仕上げの紫の虹。これで完成。すいっと腕をしならせた時、宵の明星のとんがりが、ぴっとドレスに引っかかる。ツルツル、スベスベのはずなのに、誰が磨くのサボったの?姫君は空に真っ逆さま。
《 お題 》
『夢に見たよ』を最初に使ってSSを書いてください。
【ジョウロ】
「夢に見たよ」その子は興奮した様子で告げました。「とても可愛いお姫様が、一本杉の天辺でしくしく泣いているんだよ。虹の橋が掛からないと帰れないって。僕、雨を降らせてあげるんだ」窓を開けジョウロで水をあげました。芝生に顔出すタンポポに。射し込む朝日にキラキラの、小さな虹は靄のよう!?
《 お題 》
『当たりだね』を最初に使ってSSを書いてください。
【くじ】
「当たりだね、おめでとう!」七色の縞模様にとんがり帽子の不思議な男が、パンパンパンと手を叩く。小さな袋から摘み出した七色の欠片が、くじで当てた僕の使命だ。世界を巡る特別切符で、空を駆けゆく特急彗星に乗っかるよ。さあ、急げ急げ!消えてしまった七の姫、見つけなきゃ虹の橋が掛からない。
《 お題 》
『急いで』を最初に使ってSSを書いてください。
【旅】
急いで! 僕は彗星の尾っぽを引っ張って、スピードアップの拍車を掛ける。漆黒の闇から、薄靄の紫を纏い、太陽の下の僕は透明。黄金色に染め抜かれ七日七晩。薄闇に、僕は片手でとんがりを握り締め、身を乗り出して腕を振る。七色のスカーフを巻きつけてふわふわ漂う姫君を、やっとの思いで捕まえた。
《 お題 》
『多分上手く笑えていない。』をお題にして140文字SSを書いてください。
【困惑】
白黒マーブル模様の薄闇に僕の七色の服を光らせて、僕はがっかり溜息をつく。やっと見つけたと思ったのに、七の姫君じゃなかったよ。灰色ドレスの汚れた娘。確かに紫のドレスに見えたのに。目を開けた灰色の瞳に映る僕は、多分上手く笑えていない。特急彗星から放り出す訳にもいかず困った僕は思案顔。